気功は中国で生み出された健康法で数多くの種類がある。そのうち、4種類の気功が尹千合老師によって1977年にアメリカ合衆国ウイスコンシン州ミルウォーキーへ伝えられた。4種類は練気十八法、八段錦気功、八段錦、科学八段錦である。
これらの気功は呼吸と動作を調和させてゆっくりと行う運動で、それ自体でも健康を促すたいへんよい運動であるが、太極拳の前に行うとよいウォームアップとなる。また、気功を毎日(できれば朝と夜)行うことは、健康な体作りのための大きな秘訣である。
準備
1. 首を左右上下に動かす
2. 肘を曲げて腕を左右に開く
3. 両手を上に伸ばす
4. 肘を伸ばして腕を左右に開く
5. 背中を擦り上げる
6. 片手を上げる
7. 組んだ両手を上げて左右に屈伸する
8. 向きを変えて平手を押し出す
9. 手を腰にあてて上体を回す
10. 腕を開いて前屈する
11. 弓矢式で平手を上げる
12. 両手を足につける
13. 弓仆歩で腰をひねる
14. 右左に膝を回す
15. 両手を水平に伸ばしてしゃがむ
16. 騎馬式で片手を押し上げる
17. 胸の前で膝を抱える
18. 膝と腰を屈伸する
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準備
1. 騎馬式で組んだ両手を押し出す
2. 坐盤式で片手を押し出す
3. 片手を上げて前屈して両足につける
4. 四方向に平手を押し出す
5. 手首の向きを変えて腕を大きく動かす
6. 腕の力を抜いて回しながら腰を回す
7. 手の平を上下に押して腿を上げる
8. 四方向に蹴り上げる
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中国語(ピンイン、発音)、日本語の順に記した。
預備式(yù bèi shì、ユーベイシー) 準備
第1段 双手擎天理三焦(shuāng shǒu qíng tiān lǐ sān jiāo、シュアンショウチンティエンリーサンジアオ)
両手で天を支えて三焦を整える
第2段 左右開弓似射雕(zuǒ yòu kāi gōng sì shè diāo、ズオヨウカイゴンスーショーディアオ)
腕を左右に開き弓で鷲を射る
第3段 調理脾胃単挙手(tiáo lǐ pí wèi dān jǔ shǒu、ティアオリーピーウェイダンジューショウ)
片手を上げて脾臓と胃を整える
第4段 五労七傷向後瞧(wǔ láo qī shāng xiàng hòu qiáo、ウーラオチーシャンシアンホウチアオ)
後ろを見て五労七傷を改善する
第5段 揺頭擺尾去心火(yáo tóu bǎi wěi qù xīn huǒ、ヤオトウバイウェイチューシンフオ)
頭と尾を揺り動かして心火を除く
第6段 両手攀脚固腎腰(liǎng shǒu pān jiǎo gù shèn yāo、リアンショウパンジアオグーシェンヤオ)
両手で足をつかみ腎臓と腰を丈夫にする
第7段 握拳怒目増力気(wò quán nù mù zēng lì qi、ウォチュアンヌームーヅォンリーチー)
拳を握り目を怒らせて力を増強する
第8段 背後七顛百病消(bèi hòu qī diān bǎi bìng xiāo、ベイホウチーディエンバイビンシアオ)
背を7回上下に揺らして万病を防ぐ
三焦:sān jiāo、サンジアオ、さんしょう。五臓(心臓、肝臓、脾臓、胚臓、腎臓)六腑(胃、小腸、大腸、胆嚢、膀胱、三焦)の六腑の中の一つ。舌の下部から胸腔に沿って腹腔に至る部分で上焦・中焦・下焦の3つからなる。五臓六腑のその他の臓器と連携して体に有益な機能を果たす。
五労:五臓(心臓、肝臓、脾臓、肺臓、腎臓)が疲労した状態。
七傷:冷え性、頻尿、下痢、勃起不能、精清(精液が少ない或いは精子が少ない)、早漏、遺精(不随意に精液を漏らす)。
心火:xīn huǒ、シンフオ。心の陽気が強過ぎる状態で不眠やイライラ感、精神的ストレス、顔が紅潮する、口が渇くなどの症状として現れる。
中国語(ピンイン、発音)、日本語の順に記した。
預備式(yù bèi shì、ユーベイシー) 準備
第1段 双手抽糸慢用力(shuāng shǒu chōu sī màn yòng lì、シュアンショウチョウスーマンヨンリー)
段々と力を入れて糸を引くように両手を引き離す
第2段 覇王挙鼎気沖天(bà wáng jǔ dǐng qì chōng tiān、バーワンジューディンチーチョンティエン)
覇王が鼎を持ち上げて気を天に突き上げる
第3段 鳳凰展翅心気平(fèng huáng zhǎn chì xīn qì píng、フォンフアンジャンチーシンチーピン)
鳳凰が翼を広げて心を静める
第4段 仙人作揖練腹腰(xiān rén zuò yī liàn fù yāo、シエンレンズオイーリエンフーヤオ)
仙人が拱手の礼をして腹部と腰を鍛える
第5段 和尚折腰吐濁気(hé shang zhé yāo tǔ zhuó qì、ホーシャンジョーヤオトゥージュオチー)
和尚が反り返って濁気を吐く
第6段 推窓望月運臂力(tuī chuāng wàng yuè yùn bì lì、トゥェイチュアンワンユエユンビーリー)
窓を押し開けて月を眺め腕力を鍛える
第7段 雁落平沙腿仆地(yàn luò píng shā tuǐ pū dì、ヤンルオピンシャートゥエイプーディー)
雁が砂地に降りるように脚を地面に倒す
第8段 騎馬加鞭還中原(qí mǎ jiā biān huán zhōng yuán、チーマージャービエンフアンジョンユアン)
馬に跨って鞭を振るい中原へ帰る
覇王:項羽(紀元前232年―紀元前202年)。秦末期の楚の武将。
鼎:かなえ。古代の銅器の一種で三本脚の丸くて深い器。もとは煮炊き用に使われたが、後には勢力を示す重要な装飾品となった。
拱手の礼:中国の敬礼の一つで両手を胸の前で組み合わせておじぎをする。
中原:黄河中流・下流の地域。現在の河南省の大部分と山東省の西部及び河北・山西両省の南部に対する旧称。