タンザニアにおける研究

東アフリカの大部分は気温が年間を通じて高く、降水量が少ない半乾燥熱帯気候下に位置しています。この地域では、土壌中の有機物が急激に分解される一方で一次生産量は少ないため、土地生産性が非常に低いうえに、耕地化に伴う顕著な土壌肥沃度の低下が起きます。そのため、総人口の約3割以上が食糧不足に苦しんでおり、また土壌劣化も近年急激に進行しています。

このような地域において、食糧供給の保証とその向上を目指し、有機資材の施用が土地生産性に与える影響の解明を、特に以下の観点に着目して取り組んでいます。

1、有機資材の施用をタイミングよく行うことで養分の利用効率が向上しないか?

2、1の効果は土壌環境が異なるとどのくらい違うのか?

3、有機資材の施用により土壌中の有機物がどれくらい増加するのか?

4、有機資材の施用効果は何年くらい持続するのか?

5、3,4の効果は土壌環境が異なるとどのくらい違うのか?

2005年~2009年にかけての研究から、有機資材の施用を播種の約2~4週間前に行うことで、従来は生育初期に大量に溶脱(損失)していた窒素を、一旦土壌微生物に蓄えさせることで生育後期の作物生育に利用できることを示唆しました。

また、この効果は土壌が粘土質な場合より顕著であること、一方で砂質土壌の場合は顕著ではないものの、砂質土壌の低い養分保持能を考慮すると、土壌微生物の活用による養分の利用効率の改善は重要な課題であることを明らかにしました。

2009年以降は、特に3~5に着目して研究を進めると共に、窒素とともに作物収量を強く制限する元素である『リン』にも着目して1の研究を進めています。

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