妻 洋子より

(詩人の恋より “美しい五月に” ハイネ詩)

夢見るように美しい五月

すべての蕾が 芽吹いたとき

ぼくの心のなかにも

愛の花が咲きいでた

あなたが、いつもドイツ語で口ずさんでいた、大好きなシューマンの歌曲。ドイツの五月はすてきでしたね。

わたしのまぶたに今でも残っているのは、

“じゃ、ちょっと送ってくるねつ!”と、まるでスキップするように親友と、肩を並べて出て行った幸せそうなああなたです。

五月の風と共に、逝ってしまったんですね。

すべての、芽吹きを見届けて安心したのですか?

今日は、大好きだったが、集まって龍三さんの為にだけ演奏してくださいます、なんだか照れちゃうね。そして、こう言って下さるでしょう。“素晴らしい先生でした!”って。

でもあなたは、いつもみたいに、こう答えるんでしょう?

“ぼくが素晴らしいじゃなくてまわりの方達が素晴らしいんです!

ぼくは本当に、師匠や人に恵まれていて。“

龍三さん、今日のメモリアルコンサートを見ていて、どんなに私が、まわりの方々の暖かさに支えられているかわかるでしょう?

こんなに素晴らしい宝物を残してくれた龍三さん、ありがとう!

誰よりも、私のことを大切にしてくれて、本当に本当に嬉しかった。どうか、あなたの59年の人生を幸せにして下さったおひとりおひとりを、今までよりもっと見守って差し上げてください。

別れから始まるものがあるんだ。このニケ月で知ることが出来ました。龍三さんが残してくれた、宝物のおかげで。

これからも、だいすきです。

洋子