就業規則

企業防衛の就業規則★

就業規則の作成や変更はどんな時

    1. 従業員が10人以上になったから(労働基準法で10人以上で作るのが義務)

    2. 新しい法律ができて就業規則に書いたり変更する部分が出てきた

    3. あまり得意でない方に就業規則を見てもらって変更した

こうした理由で作成や変更する場合が多いです
近年だと、「パワハラ規定等の規定が無い」と労働局等に指摘を受けたと言われてご連絡頂いたケースもありました。

就業規則は社労士業務の集大成的部分があるため、労働局の発行しているフォーマットがあり、それを読み込んで規定を定めても、法的に正しいきちんとした就業規則を定めることは可能です。

ところが、労働局フォーマットであっても問題が起こる場合もあります。

・記載されている注釈や注意点を読んでいない
労働局フォーマットは非常に丁寧なので、様々なパターンに応じて、会社にあった条文を選択したり、変更したりする部分も分かりやすく書いてあります。
この「分かりやすく」は、我々社労士的には分かりやすいのですが、労働法をあまり学んでいない方にとって、簡単なものでは無いかもと感じる部分もあります。
ボリュームも多いですし、読むだけでも知識は必要です。学びながら内容を把握することも大切ですが、読むだけで余裕で2時間はかかる就業規則を、学びながら理解するのに、相当な時間が必要になります。
だからどんなに良質なフォーマットでも、きちんと読まないで定めてしまえば、どんなものでも問題作に変わる場合があります。

・消してはいけない部分を消してある場合がある。
会社的に都合が悪いために、法律的に記載義務がある部分を消されている場合があります。せっかく頑張って作られても、結果が違法な就業規則になってしまうと、意味がありません。

・書いてはいけないことが書いてある
もちろん元々のフォーマットにそのような記載はありません。会社の規則を定めるために、作成者が自由に規則を加筆・修正する場合があるのです。
そこには
法律上の問題だったり、企業防衛上の問題だったりする理由で、書いてはいけないものもあります。もしくは文章にすべきでないものもあります。
加筆や修正は、慎重に行う必要があるのですが、結果的に問題がある就業規則になってしまう場合があります。


ということで、ここまでよく理解できた上で、読み込んで作れば大丈夫と、うまくいけばいいのですが、そうはいかない部分も発生します。ここまでも、実はフォーマットの問題ではありませんが、これ以降は、フォーマットとは何の関係も無く問題になってしまうケースです。

・後々の会社の在り方を考えずに定めている
組織の拡大や会社の在り方が変わる中で、安易に決めるべきでない部分まで、踏み込んで定めている場合があります。特に従業員だけで話し合って規則を決めると、恐ろしいものができる場合があります。
人事は性善説でも構いませんが、規則は性悪説に基づかないと、職場を乱す人に対処できません。つまりどれだけの悪人の思考を想定できるかが、重要になります。

・賃金制度や賞与の制度、退職金制度を簡単に決めている
従業員が実は最も気にしている部分です。特にこうした制度を決める際は、業績が伸びている時に決めるのと、業績が停滞している時に決めるのでは、話が違ってきます。
更にこうした内容を詳しく記載した本を読むほどに、かっちりした制度を組んだりしてしまいます。賃金は当然に将来の生活設計にも関わる部分ですが、収益の配分以上の支給が不可能な部分でもあります。
従業員2名の会社で、増員の予定が無い会社に、5等級の等級表の意味があるのかは、大きな疑問になるでしょう。柔軟な部分と確定する部分を、企業規模や企業形態のそれぞれを考慮して、検討するべきものです。


他にも、たくさんの問題を抱える就業規則を数多く見てきました。
史上最高な就業規則と銘打って、50万円も払って作られた就業規則を見たら、第1条で全て破綻している最低就業規則というものもありました。

某有名弁護士監修就業規則で、最高裁まで争えば勝てる可能性が高い内容で、記載されているものもありました。裁判で勝訴する内容でも、監督署の指導対象になったりするので、社労士的にも企業的にも困るものがあります。

だから、規則を作る際は、私もいろいろと考えます。その割には安くないかと思っているぐらいです。