呼吸リハビリテーション

【呼吸リハビリテーション】

呼吸リハビリテーションとは

定義として、『呼吸器の病気によって生じた障害を持つ患者に対して、可能な限り機能を回復、あるいは維持させ、これにより、患者自身が自立できるように継続的に支援していくための医療である。』

(日本呼吸管理学会/日本呼吸器学会呼吸 編 リハビリテーションに関するステートメント2001より) とあります。

対象の疾患は以下の通り広範囲になります。

・非常に重い肺炎などの急な病気やそれによって生じた肺損傷

・COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのタバコによる慢性の病気

・肺線維症、間質性肺炎などの慢性の病気

・COPDや肺線維症などの慢性の呼吸器の病気が急に悪化した時

・気管切開や人工呼吸器管理を受けている時

・脳血管障害、筋ジストロフィーなどの神経筋疾患などで呼吸が上手くできなくなったとき

・肺がんなどの手術や、肺移植手術などのとき

・肺以外の胃がん、食道がんなどの消化器の病気や咽喉頭の手術前後

身近な自覚症状としては、次のようなものがあります。

・ちょっとした動作で息が切れるようになった

・速く歩いたり、階段の上り下りのときに息が切れる

・酸素を吸っているから、外に出なくなった

・動くと苦しくなるから動かないようにしている

骨折や脳卒中などによる身体障害がある場合は患者さん自身がリハビリテーションの必要性を知っていますが、呼吸器疾患ではリハビリテーションの必要性はほぼ自覚できません。周囲の人の気づきも大切になります。

呼吸リハビリテーションを行うためには病状が安定している、呼吸リハビリテーションを行う上で不安定な合併症、依存症がないこと、なども必要ですので担当の先生にご相談ください。また、患者さん自身に積極的な意志があること がとても重要です。

では、なぜ苦しいのにリハビリテーションを行う必要があるのでしょうか。

肺に病気のある人は「息苦しい」症状があることで動くことが少なくなります。

すると、行動範囲が狭くなり、運動不足におちいり、こうした運動不足は肺ばかりでなく全身の筋力を弱め、

息苦しさをさらに強くします。

そのような負のスパイラルから脱出するために呼吸リハビリテーションを行います。

呼吸リハビリテーションを行うことで運動能力が改善します。

息苦しさが軽くなり、よりいきいきとした生活を送ることができます。

呼吸リハビリテーションの内容は以下のようになります。

①疾患や感染予防に関する知識、疾患の自己管理

②禁煙

③薬物療法

④適切な栄養摂取

⑤呼吸方法

⑥気道にたまった痰を出す方法

⑦弱った呼吸筋や四肢の筋肉を強化する呼吸体操や運動療法

⑧生活に合わせた動作の工夫

などがあります。

たくさんありますが患者さんの状態に応じて、医師、看護師、リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、薬剤師、栄養士、臨床工学技士、臨床検査技師、相談員等多数の職種の指導のもとに習得し、呼吸障害を少しでも軽減しようとするものです。そして、病気の不安に悩まされることなく、心の健康も回復して自立した社会生活を送れるようにすることが目標です。

苦しいのに運動なんてできるの?と不安に思うかもしれません。

実際に行うときには、個人に合った運動頻度、強度、時間、種類で行います。そのため、同じ病名でも行う練習内容や運動の強さは個人差があります。症状が強い場合は呼吸練習やストレッチなど低負荷の運動、症状が軽い場合は全身の持久力アップや筋力アップのための運動を多く取り入れる、など症状に応じた運動を行うことで無理なく行います。

あせらず、無理せず、ゆっくり行いながら継続することが重要になります。

呼吸リハビリテーションは様々な場所で行われます。

・入院 ・外来・通所・訪問

当クリニックでは訪問リハビリテーションのみ行っております。 患者さんのご自宅に伺って、生活環境の中で練習を行います。

(今後、時期は未定ですが入院・外来でのリハビリテーションも検討中です。)

訪問リハビリテーションは制約があり、利用できるのは通院が困難な方が対象となります。

*介護保険を利用の場合 通院が可能でも通院・通所リハビリテーションのみでは家屋内における日常生活動作の自立が困難で、家屋状況の確認を含めた訪問リハビリテーションが必要な場合は、ケアマネジメントの結果、認められる場合があります。担当のケアマネジャーにご相談ください。