消費者製品のリスク評価

パラベン類の複合暴露を考慮したリスク評価

パラヒドロキシ安息香酸エステル類(パラベン類)はその抗菌力の高さから、防腐剤として世界的に使用されています。その使用用途は多岐にわたり、化粧品や日焼け止め、整髪料、シャンプー、ボディソープなどのパーソナルケア製品全般に用いられています。パラベン類はその幅広い用途から、その暴露経路も多岐にわたります。個々の製品からの暴露量は微量であっても、複数の経路から暴露することにより、トータルとしての暴露量が大きくなる可能性が考えられます。そのため、パラベン類のトータルの暴露量を推定することが重要となります。また、近年、パラベン類はエストロゲン様作用が報告されたことから、その暴露によるヒト健康へのリスクが懸念されております。

本研究では、オランダで開発された消費者製品からの暴露量を推定するためのソフトウェアであるConsExpo(Consumer Exposure Model v5.0)を使って、パラベン類を含む複数のパーソナルケア製品(シャンプー、ボディソープ、ボディローション、口紅、フェイスクリームなど)からの複合暴露を考慮したリスク評価を行いました。

パラベン類としてメチルパラベン(Methylparaben; MP)、エチルパラベン(Ethylparaben; EP)、プロピルパラベン(Propylparaben; PP)、ブチルパラベン(Butylparaben; BP)の4種類を対象としました。

以上の成果を室内環境学会で発表した時のポスターをFig.1に示します。

Fig. 1 室内環境学会で発表した際のポスター

参考資料 (より詳しく知りたい人は参照してください)
  • Masahiro Tokumura, Shiori Nitta, Tomomi Hayashi, Rina Yamaguchi, Qi Wang, Yuichi Miyake, Takashi Amagai, Masakazu Makino, Probabilistic Exposure Assessment of Aggregate Rates of Dermal Exposure of Japanese Women and Children to Parabens in Personal Care Products, Chemosphere, 239, 124704, 2020. (Link) (本研究の成果について書かれております)
  • 徳村 雅弘, 化粧品成分の安全性評価のための製品性状を考慮した経皮曝露量推算スキームの構築 -マニキュア用可塑剤の経皮曝露を考慮したリスクトレードオフ評価-, Cosmetology, 27, 113-119, 2019. (Link) (マニキュアの研究例が書かれております)
  • Masahiro Tokumura, Makiko Seo, Qi Wang, Yuichi Miyake, Takashi Amagai, Masakazu Makino, Dermal Exposure to Plasticizers in Nail Polishes: An Alternative Major Exposure Pathway of Phosphorus-Based Compounds, Chemosphere, 226, 316-320, 2019. (Link) (マニキュアの研究例の成果について書かれております)