車室内ダストのスクリーニング

車室内ダスト中の指標元素を利用した FE-EPMAによる汚染物質のスクリーニングと起源解析

車室内ダストは内装材などの添加物として含まれる難燃剤や重金属などによって汚染されており、人への重要な暴露媒体として知られています。本研究では、電界放出型電子プローブマイクロアナライザ(Field Emission-Electron Probe Micro Analyzer:FE-EPMA)を用いて、有機汚染物質(難燃剤)と無機汚染物質(重金属)を同時にスクリーニングし、かつ起源解析を行う手法を開発しました。

車室内ダストのFE-EPMAによる測定結果の例をFig. 1に示します。

元素のカラーマッピングイメージの色や明るさの情報より、元素の含有濃度やその分布が推定できます。また、二次電子像(SEI)からは車室内ダストの表面形状について、反射電子像(BEI)からは元素の組成情報(重元素の方が明るくなる)が得られます。

Fig. 1より、本ダストのPb(鉛)およびCr(クロム)濃度は低く、Sb(アンチモン)を高濃度に含むダストの存在が視覚的に確認できます。

Br(臭素)を高濃度に含むダストの存在が視覚的に確認できました。しかし、C(炭素)のマッピングイメージとオーバーラップしていないことから、有機物質由来ではない、もしくは有機物質の割合が低い物質由来のBrであると推測できます。また、Si(ケイ素)、O(酸素)のマッピングイメージとオーバーラップしている部分が多いことから、ガラス繊維強化プラスチック中の臭素系難燃剤由来の可能性が挙げられます。

Fig. 1 FE-EPMAによる車室内ダストのマッピングイメージ

以上の成果を環境科学会2015年会で発表した時のポスターをFig.2に示します。

Fig. 2 環境科学会2015年会で発表した際のポスター