フォトフェントン反応を用いたウーロン茶廃水の脱色・分解
清涼飲料水工場で生成するウーロン茶を含む廃水は非常に高いCODを持つ上に、ウーロン茶ポリフェノール由来の難生物分解性着色成分を含有しています。そのため、現在、排水処理技術として幅広く用いられている活性汚泥法では、その着色成分の分解が非常に困難です。着色排水は光の透過を妨げるため、川などに放出されると、川底の水草などの光合成を阻害し水環境に悪影響を与えることが知られています。そのため、有効な処理方法の開発が求められています。
本研究では、フォトフェントン反応を用いたウーロン茶ポリフェノール由来の難生物分解性着色成分の脱色、分解実験を行いました。
フォトフェントン反応によりウーロン茶廃水の脱色処理を行うと、まず、急激に色が濃くなり、その後、徐々に脱色していくことが分かりました (Fig. 1)。フォトフェントン反応によるウーロン茶廃水の処理は、ウーロン茶ポリフェノールの分子構造内に含まれるπ電子共役系に、フォトフェントン反応によって生成されたOHラジカルが付加されることで行われます。それに伴い、電子吸引基であるOH基とπ電子共役系の相互作用により濃色効果が表れるため、実験初期に吸光度が上昇します。その後、OHラジカルによりウーロン茶ポリフェノールは徐々に分解され、最終的には脱色が行われます。
Fig. 1 フォトフェントン反応によるウーロン茶廃水の脱色過程
Fig. 2にTOC(全有機炭素)濃度の経時変化のグラフを示します。図から分かるように、フォトフェントン反応を用いることで初期TOC濃度228 mg/Lから18 mg/Lにまで150分で低下させることができました。
Fig. 2 フォトフェントン反応によるウーロン茶廃水のTOC処理実験
以上の成果をIWA World Water Congress & Exhibition 2010で発表を行った時のポスターを以下に示します。
Fig. 3 IWA World Water Congress & Exhibition 2010で発表を行った時のポスター
参考資料 (より詳しく知りたい人は参照してください)