研究における興味・関心です。
【問い】
「人はなぜ戦争を起こすのか?」
この問い(命題)が研究の根幹にあります。人はなぜ戦争という悲劇を生み出すのか。人はなぜ人を差別するのか。人はなぜ異なる集団に対して悪い印象を持ってしまうのか。人はなぜ群れたがるのか、群れを嫌うのか。人はなぜ集団になるといつもとは違う心理状態になるのか。集団になることのメリットとデメリットは何か。人はなぜ人を傷つけるのか。人を憎むのか。人を蔑むのか。人を妬むのか。そもそも人は「悪」なのか、「善」なのか。これらの回答を得るため、進化・適応的視点から、実験や質問紙調査などの手法を主に用いて、人が集団間関係に直面した時に働く心の仕組みを明らかにすることを目指しています。
【背景】
研究の命題を検討するにあたり、人の行動や心理を物理的・社会的環境への適応の結果であると分析する進化・適応的なアプローチを採用しています。進化・適応のアプローチでは、人間が集団間葛藤時に見せる行動や心理が、集団間葛藤へ適応する(集団間葛藤で利益を得る)ために生み出されたものとみなして、その行動や心理を分析する試みです。この考え方を元に、集団間葛藤がいかなるマイクロ-マクロダイナミクス(個人の心が社会を作り、社会が個人の心を作るとの動的過程)を経て激化するかを明らかにしたいと考えています。一体、どのように個人の心の関わり合いから集団が生まれ、やがて他の集団と敵対関係になり、互いに引けなくなるほどの戦争へと発展していくのでしょうか。そして、戦争や集団間の敵対関係が、個人の心にいかなる影響を与え、その心を作り上げていくのでしょうか。これらの過程と行動・心理を明らかにすることを目標としています。
キーワード: 集団間葛藤、差別・偏見、進化・適応、内集団ひいき、サイコパス、共感性、多元的無知、社会的アイデンティティ、集団間感情、病気感染、行動免疫システム、など