【競争的な個人の特性と集団間葛藤との関連を明らかにする】
集団間葛藤の始まりは一体どういうものなのでしょう。戦争のような大規模な葛藤の場合は政治や経済が大きく絡んでくるので一概には断定できないでしょう。しかし、葛藤に乗り出す決断をする人はいるはずです。果てして、そこに個人差はあるのでしょうか。言い換えれば、集団間葛藤に率先して参加する人とそうでない人はいるのでしょうか。もし率先して葛藤に参加する人が葛藤のきっかけとなってしまうとしたら、それは集団間葛藤において重要な役割を担っていると言えます。本研究では、集団間葛藤への敏感さに関する個人差を示す一つの指標としてサイコパス(精神病質)に注目しています。サイコパス傾向の高い人の特徴は、共感性の欠如、マキャベリ的知性の高さ、カリスマ的な魅力、衝動性の高さ、などです。これらの性質は、日常生活の中ではある意味で厄介なものです。しかし、集団間葛藤状況になった場合、これらの性質は外集団に果敢に向かっていく勇猛な戦士にさせる可能性があります。すなわち、サイコパスの適応価は、集団間葛藤状況で最も高まるのではないか、との仮説です。本当にそんなことがあり得るのか、現在その証拠を集めているところです。
【関連する論文・学会発表】
Yokota, K. (2012). The validity of a three-factor model in PPI-R and social dominance orientation in Japanese sample. Personality and Individual Differences, 53, 907-911.
横田晋大 (2011) サイコパスと集団志向性 日本社会心理学会第52回大会ワークショップ (於:名古屋大学9月18-19日)