【進化的観点から放射能汚染への反応の起源を探る】
放射能汚染は、生物としてのヒトの歴史から見れば、非常に新しいタイプの脅威です。そのため、放射能汚染というリスクをどう認知するのか、そして、放射能汚染の危険に関する社会的な情報をどう認知するかは、まだ明らかになってはいません。しかし、明らかに認知のバイアス (偏り) があり、そのリスクを過剰に見積もっている傾向が、これまでの分析から見出されています。では、なぜそのようなバイアスが生まれるのでしょうか。その際、重要なカギとなるかもしれないのが、ヒトが進化の過程で獲得してきた、病気感染を回避するという心理メカニズムです。放射能という危険に対する対応は、果たして、病原体の感染と同じようなメカニズムで動いているのでしょうか。それとも、また別のメカニズムが働いているのでしょうか。現在、一般人を対象とした調査データや実験データをを分析しながら、これらの可能性を検討しています。
【関連する論文・学会発表】
平石界・池田功毅・横田晋大・中西大輔 (2013) 福島原発事故による健康被害へのリスク 日本社会心理学会第54回大会(於:沖縄国際大学11月2日-3日)
平石界・池田功毅・横田晋大・中西大輔 (2013) 福島第一原発事故へのリスク認知:行動免疫仮説の視点から 日本行動進化学会第6回大会(於:広島修道大学 12月7-8日)