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コケムシは海や池にいる動物で、水中の石や貝殻、水草などの表面に付着して生活しています。
一匹のコケムシ(個虫)は体長1 mm もないような小さなものですが、
この個虫が自分のクローンを無性的にどんどん増やすことで大きな群体を作ります。
この群体が植物のコケのようにみえることから、コケムシと呼ばれています。
個虫はキチン質や石灰質の部屋(虫室)をつくり、その中に柔らかい体(虫体)が入っています。
虫体は、繊毛が生えた触手が円形に並んだ触手冠をもっていて、これで水流を起こして餌を食べます。
口は触手冠の中央にあり、消化管はU字型に曲がって、肛門は触手冠の外側に開きます。
コケムシは熱帯域から南極まで、様々な水域に生息しています。
海であれば波打ち際の潮間帯から数千メートルの深海まで、
淡水であれば平地のため池から高地にある湖まで報告があります。
コケムシは付着生物なので、付着するものが豊富な岩場で特に多くみられます。
コケムシはカンブリア紀から化石記録が知られています(2021年12月現在)。
古生代に大繁栄していましたが、その後に大量絶滅を経験して、
現在は古生代のものとは異なるグループが大部分を占めています。
コケムシは触手冠に生えた繊毛で水流を起こし、水中の有機物片や微生物を集めて食べています。
飼育環境下では、小型の渦鞭毛藻などをよく与えています。
海にいるコケムシを好んで食べる代表的な動物は、ウミグモやウミウシの仲間です。
ウミグモは細長い吻をコケムシの虫室の隙間に突き刺して、中身の柔らかい虫体を食べます。
ウミウシにはコケムシ食の種類も多く、写真集などでもコケムシを食べている光景がよくみられます。
コケムシは現在、世界中の海に6,000種ほどいると考えられています。
一方、化石種を含むとその種数は20,000種を超えるとも言われています。
ちなみに、淡水コケムシは種数が少なく、世界中でも100種ほどしか知られていません。
日本周辺にはこれまでおよそ300種が棲息していると考えられていましたが、
最近の研究成果から、その数は日本近海だけでも1,000種を超えると考えられています。
コケムシは、苔虫動物門(Bryozoa)というグループに属しています。
苔虫動物門が他のどの動物に近い仲間なのかは、じつはまだよくわかっていません。
少し前までは、腕足動物門(シャミセンガイの仲間)や箒虫動物門(ホウキムシの仲間)に近縁だと考えられていました。
しかし、最近の分子系統解析においても、未だ結論には至っていません。
現状で言えることは、下記2点です。
① 苔虫動物門は箒虫動物門や腕足動物門と近縁な可能性がある[=触手冠動物]
② それらはヒモムシ(紐形動物門)やイタチムシ(腹毛動物門)と近縁な可能性があり、
さらにゴカイ(環形動物門)や貝類(軟体動物門)などと共に冠輪動物に含まれる
ちなみに、コケムシはたまに「サンゴやイソギンチャクの仲間」と紹介されますが、これは誤りです。
サンゴやイソギンチャクが属す刺胞動物門と苔虫動物門は、系統的に遠く離れた関係にあります。
形態においても、刺胞動物が触手に刺胞という毒針をもつのに対して、コケムシは刺胞を持ちません。
また、刺胞動物には肛門がありませんが、コケムシには口とは別に肛門があります。
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