大阪都構想について
8月29日「大都市地域特別区設置法」が可決されました。
これにより東京都以外の道府県でも、政令市単独または政令市と隣接する市町村域と合わせて総人口200万人以上であれば、東京23区のような特別区の設置が認められる。ことになりました。
いわゆる橋下現大阪市長が掲げていた「大阪都構想」にまた一歩前進したのです。
ではこの大阪都ですが、橋下維新の会によるとこのようなメリットがあると述べています。
- (1)府庁と大阪市役所を合併・統合することで、広域的・長期的視点に立った都市戦略を実行できる。
- (2)人口266万人を擁する巨大な大阪市役所を解体し、8から9の特別区に分割。中核市並みの権限(教育委員会、保健所等の運営権限など)を与え、区長も公選に。
- (3)水道、地下鉄、バス、ごみ収集、卸売市場などの公共サービス事業を市役所本体から切り離し、別法人に。場合によっては民間企業へ事業譲渡する。
文章はYahooニュースより
一見よさそうに見えます、しかし私はこの大阪都構想に反対です。その理由は次のようにあります。
公務員数の削減による行政サービスの低下
現在大阪市には24の区があります。これを周辺の自治体と合併し、中核市並みの権限の持つ8〜9の特別区に分割。
おそらく周辺の自治体というのはおとなりの政令指定都市の堺市のことでしょう。堺市には現在7つの区があります。
これを合計すると31の区が8〜9の特別区になることになります。ということは3〜4つの区がひとつの行政としてまとめられることになります。
2012年現在大阪市堺市の人口の合計はおおよそ340万人います。これを仮に8で割るとしましょう。そうなるとひとつの特別区あたり40万人になります。まさに中核市並の人口です。
橋下率いる大阪維新の会はこのように述べています。
区独自で予算編成をすればよく、わざわざ区の上に存在する市役所に予算編成をしてもらう必要も理由もありません。そして区毎に、区の実情に合わせて、住民が住民サービスを選択していけばいいのです。どのような住民サービスのあり方になるかは、まさに区長が公選され、通常の市と同様の予算編成権を握ることによって、住民のニーズに合わせたものになります。
つまり大阪都構想が実現した後に、区民が自ら住民サービスを決めることによって、大阪市内の住民生活が変わることになるのです。大阪都構想は、ただちに住民サービスをどうするこうするというものではなく、区民が自ら住民サービスを決められる仕組みにするというものです。
区長公選制になれば、公選区長は他の区と競争します。役人区長では、年功序列の市役所人事の一環に乗せられ、しかも大阪市役所の市政運営の歯車となりますから、必然横並びとなってしまいます。公選区長は、有権者から票を得なければならないので、他の区で良い行政サービスが実施されれば、当然自分の区でも実施する方向に向かいます。これは公選市長を擁する市町村の動きを見れば明らかです。
しかしここには大きな欠点があると私は見ています。というのも
- 区役所数の削減が考えられる
- 図書館など公共施設の減少
これにより大規模な公務員のリストラが考えられます。よって失業率の増加の恐れがあります。
そこで維新の会では民間による委託を検討しています。しかしこれは逃げているとしか言えません。
実際に民間委託でサービス向上、予算削減が達成できた自治体は存在します。しかしいずれも地方自治体です。
国家レベルで見てみましょう。民営化になってサービスが向上したものはありますか?
日本国有鉄道は都市部および観光地に限っては成功と見ていいでしょう。しかし地方では相次ぐ廃線の波・・・
郵政民営化、サービスがよくなりましたか?あまりそのような意見は聞きません。
電電公社、現在はNTTなりKDDIなりいろいろ分かれました。なにか変わりましたか?
またここに掲げてあることはすべて理想論です。投票率が低い某政令指定都市(近畿)を見れば分かる通り、住民の意見が反映されるとは限りません。
結局は大阪府、大阪市の借金を減らしたいのです。小さな政府を作ろうとしているのです。
区による格差の発生
2007年現在の大阪市、市内総生産額がおおよそ21兆円です。しかし大阪市の区でも様々な区があります。
ビジネス街、歓楽街として名高い北区・中央区。
一方で浮浪者の街として名高い西成区。
ここで市内総生産額を見てみましょう。おそらく北区、中央区で半数を占めると思います。多くの企業の本社はこのあたりに集中しています。
一方で平野区、住之江区などは住宅地が多いです。
一体いくらの総生産額の格差があるのでしょうか。これにより税収も区によりかなり格差が出てくると思います。
そうなるとお金のない区はやりたくてもお金がなくて区民の求めている行政サービスができなくなってしまいます。
橋下の目標は独裁
これは維新の会のQandAでも質問されていることです。
ここでは維新の会は「大阪再生のためならば独裁は仕方がない」と正式に答えています。
そもそも橋下徹氏は昔から独裁賛成派であり、核武装推進派であり、徴兵制賛成派の人間です。
核武装に肯定的であるというのは、非核三原則に反しており、一政治家としていかがなものかと思います。
また一方で原発反対運動を実施するなど、正直ぶれています。
原子力発電所ことがもっとも手軽に核兵器と化すものであると私は思っています。
それなのにもかかわらず反対だとか、人気取りのパフォーマンスとしか言えません。
最後に
橋下徹氏はタレント弁護士時代に比べて意見がブレていると私は考えます。これは人気取りのためでしかないです。
またコスプレ不倫などが報じられましたが、すぐにその話題は消えてしまいました。果たしてこのような人が大阪を本当に再生できるのでしょうか。
橋下率いる大阪都構想、それは格差社会ではないのかと考えます。よく投資家が「トータル的に見ればプラス」などといいますが、
橋下氏はまさにそれを実行しようとしています。このトータルというのは『大阪都』というものであり、一部の区の財政が悪化しても一部の区がそれを上回る利益を出せばプラスになる。ということです。
結局は「僕達橋下の大阪都が成長するように。ま、みんな頑張って」と特別区に言うだけ言っといて自分はなにもしないのです。
これにより利益があるのは大阪都と橋下だけです。区を見てください。下は何も見ていません。庶民の見方でもなんでもありません。
現在の政策では私は大阪都に反対です。