1.ブラジル大統領に対する根拠なき非難
2020年の8月頃、世界での感染者数・死者数で、米国が1位、ブラジルが2位であったことから、テレビのコメンテーターや専門家(と言われる人々)が「 アメリカやブラジルはトランプ大統領やボルソナーロ大統領がコロナを軽視するから感染が深刻になった。一方、ペルーは国内数例発生時に直ちに厳しいロックダウンをしたから感染者が少ない。ペルー大統領はえらい!」と訳知り顔でコメントしているシーンが、多々、テレビで流れました。
それを受けて、皆さんの周辺でも、皆さん自身も、テレビの受け売りで、そのような話をしませんでしたか?
テレビでは根拠の無い無責任なデマが日々大量に流れています。そのことを常に意識していないと、あなたもデマを拡げる一人になってしまします。
【事実】 絶対数でのランキングと人口比でのランキング
絶賛されていたペルーが、実は世界最悪だった!
(死者数が把握されている国々の中では)
【意見】
① 「米国やブラジルは大統領がコロナを軽視するから感染が深刻」というコメントは明らかに不適切。
・感染の度合いは人口比で見るべきで、絶対数のランキングで感染度合いを評価するのは、そもそもが誤り。
・もし両国の感染度合いが本当にひどかったとしても、感染度合いと両大統領の姿勢の因果関係を証明する科学的な根拠は何もなく、テレビでの発言としては不適切。
② 人口比の表で見ると、厳しいロックダウンを実施した国でも上位に入っており、何を対策したかよりも、どの地域にあるかが重要なポイントになっているように見える。
かなり厳しいロックダウンをした英国やフランスでも上位に入っている。
全体的には中南米・北米や欧州での死者数割合が大きく、中近東は比較的小さく、アジアは最も小さい。アジアの中でも東側になるほど死者数割合が小さい。
(日本が緩い対策でも感染が少ないことについて世界より「ジャパン・ミラクル」と呼ばれていますが、アジアの国であるという要素が大きいように思えます)
【仮説】
何を対策したかよりも、地域か人種による影響が大きいように思われます。
そうであれば、なぜか? コロナウィルスに対する慣れ(免疫機能)なのか?
そうであれば、免疫機能の解明と、そこから見えてくる対策に世界中の全精力を集中するべきではないか?
ブラジル大統領を非難する非科学的で無責任なコメントは、単にデマを拡げるだけでなく、本当に重要なことを分からなくしてしまう重大な悪影響を及ぼしていると思います。
2.スウェーデンの集団免疫早期獲得作戦は本当に失敗か?
2020年12月、スウェーデンの対応は失敗だった、国王も失敗だったと語ったとの報道が多く流れました。
スウェーデンは厳しい対策はとらず、なるべく早期に皆が感染することにより集団免疫を早期に獲得する戦略をとったとされていますが、国内外の非難にさらされました。
スウェーデンの戦略は世界からみると少数派ではありますが、本当に失敗なのでしょうか?
(2021/9/15 スウェーデンとフィンランドの国名を取り違えて表記していましたので訂正しました)
【事実】
話題のスウェーデンは・・
・オーストリアやスイスよりはかなり低い
・イタリアやポーランドよりも比較的低い
・ドイツよりも少し低い
・英国とは同程度
・フランスよりは少し高い
・オランダ、ロシア、スペインよりは比較的高い
・フィンランドやノルウェーよりはかなり高い
欧州全体での平均は不詳
【意見】
周辺の北欧諸国(フィンランドやノルウェー)と比べた場合には、
スウェーデンの人口比死者割合はかなり高く、スウェーデンの対策は失敗だったと言えなくもありません(もっとも、対策内容と死者割合の明確な因果関係が立証されているかは不明)。
一方、欧州全体の中で見た場合には
中間的な度合いであり、必ずしも失敗とは言えないと思います。
ロックダウン推奨派からすると”スウェーデンは失敗だ” と決めつけたいのだと思いますが、一方的な決めつけでは、やはり肝要なことを見逃すように思えます。
私見ですが、スウェーデンの集団免疫早期獲得作戦は失敗したとも成功したとも言えないと思います。
むしろ、「1.ブラジル大統領に対する根拠なき非難」での表と併せて考えると、何をやったかよりも地域か人種の影響が大きく、集団免疫早期獲得作戦もロックダウンも結果に大きな差はない、何か他のメカニズムとそれに対応する対策が重要なのではないか? との仮説も立てられるのではないでしょうか?