研究紹介

 ゲームプレイヤーの暗黙知の顕在化と技能継承に関する研究が、広い意味での本研究室で行う研究となります。現在のところ、大きく以下の2つのタイプの研究テーマにわかれています。なお、私(梶並)のすべての研究業績は個人サイトの発表文献一覧にまとめています。

ゲームプレイ技能向上支援

 主に、ゲームプレイヤーのための、プレイ技能向上を目的とした、プレイの振り返り作業を支援したり、プレイ中にプレイヤーの意思決定を支援したりする研究です。表向きの成果物は、プレイヤーやプレイの特徴、プレイヤーの行動の代替案を可視化するユーザインタフェースの提案となるタイプの研究です。インタフェースの構築と評価を通して、プレイが上手いとはどういうことか? 上手くなるためには? を探究します。

【最近の学術論文】

ゲームプレイ観戦支援

 主に、ゲームの初心者観戦者のための、見どころの理解を目的とした、ゲームプレイ観戦を支援する研究です。表向きの成果物は、初心者観戦者へ向けて戦況の特徴や着目すべきポイントを可視化するユーザインタフェースの提案となるタイプの研究です。インタフェースの構築と評価を通して、プレイの魅力とは何か? プレイを魅力的にみせるには? を探究します。

【最近の学術論文や国際会議論文

 以上2タイプ、対比して書いていますが、ゲームプレイ技能向上支援と観戦支援は、相互に関係しています。両者に共通するコア技術は、人間(競技者や観戦者)の意図抽出と可視化です。ユーザインタフェースの評価が人間の理解へつながり、得られた知見をさらなるユーザインタフェース研究へ応用し、また人間を理解するといった研究サイクルになります。

 e-Sportsに限定した話ではなく、デジタルゲーム研究の主流は、人文社会学系だったり、心理学だったりします。ゲームビジネスの世界がどうこう、プレイヤーのコミュニティの特徴がどうこう、ゲームとプレイヤーの暴力性がどうこう、性別とプレイ技能の関係がどうこう、ギャルゲーキャラの特徴がどうこう、などです。あと、ゲーム開発の歴史といったものでしょうか。

 対して、本研究室では、ゲーム研究を、情報学の中でもエンタテインメント・コンピューティングやヒューマン・コンピュータ・インタラクション研究の俎上にのせて成果を出すことを狙います。

 なお、本研究室では、基本的に、配属学生さんの興味対象にできるだけ沿った研究活動を行っています。したがって、主力となる研究テーマは年度ごとに違っていましたし、e-Sports関連であっても、教員があまり興味ないFPSやMOBAなどを対象にしたものがありました。また、場合によっては、デジタルゲーム以外を対象としたテーマが主力となる場合があります。