研究テーマ編

Q.研究テーマはどうやって決めますか?

A.面談を繰り返して、学生さんの興味対象に可能な限りマッチしたテーマとしていました。研究室の主力テーマに最初から興味あった学生さんや、「特に自分でテーマ思いつかないし、まぁ、格ゲーとかFPSとかMOBAのプレイ分析や観戦支援システム作ってもいいかな~」となった学生さんには、研究室の主力テーマに取り組んでもらいました。一方、私の興味対象外のテーマを行う学生さんもいました。学生さんからかなり明確な卒研テーマを持ち込まれた場合、修士や博士レベルではなく学部の卒研に収まる範囲になるよう、調整していきます。プロ演などで他の教員から指摘されたことあるかもしれませんが、学生さんの考えるテーマが大きすぎて4年生(3年生からにしても2年間)では無茶過ぎだろという場合があるので。テーマ自体は、ぶっちゃけ、e-Sports、特に格ゲーと全く関係なくても問題ないです。例えば、ゲームや音楽、映画のレビュー記事を対象にした研究とか、アニメの声優を対象とした研究とか、その手のものも全然アリです。過去の卒研テーマを見て頂ければ、災害や野球中継や麻雀などを対象にした研究があるのもわかると思いますし、Web系ぽいもあったと思います。

 ただし、学生さんの興味に応じたテーマの場合でも、Web系(特に情報可視化ユーザインタフェース、それから情報検索、情報推薦)、システム系(ニコ動とかYoutube関連を入力データとする、ユーザインタフェース構築系の課題)からは離れにくいと思います。「暗号理論に興味あるんスよね。情報系だから、先生大丈夫ですよね!」とかニコニコ笑顔で言われても、まず無理です。あと、Web関連でもガチンコで数学モデルを扱うものは、私の頭が追いつきませんし、自然言語処理そのものの研究も難しいです(本学科にはガチンコ専門家いないかな??)

 また、最初の面談では、まずはお互いを知ることが大事だと思うので、ガチ研究の話よりもまずは、普段の生活や趣味、バイト状況、高校時代の部活、その他いろいろお話して頂いていました。私の方も、今期見る予定のアニメとか、最近ハマっているものとか、いろいろお話しています。で、研究についての濃いめの話は、場があったまった後で、みたいな流れが多いです。もちろん、最初からガチで卒研テーマ持ち込みの相談をしてくる学生さんもいらっしゃいます。

 一応、配属された学生さんのうち最低2名は、本研究室の主力テーマに取り組んで頂きたいのが本音です。研究室としての、社会的な責任(外部へ成果を公開する)を果たすためです。

Q.なにげに過去形がまじっていますが、文教大に来てからは違うと?

A.人数とスペース(PCや実験機材)の関係によって変化します。本当は、面談を繰り返して学生さんひとりひとりに合わせて、ご本人が「面白いかも~」と思える研究テーマ(1人1テーマ)にするべきですが、場合によってはプロ演同様、あまり乗り気ではないが他の(押しが強い?)学生さんが主導のテーマを一緒に……となる場合があるかもしれません。すみません。

Q.それなら、主導権握って他の学生に俺様の研究手伝わせるために先生と相談した方がよいですか?

A.言い方悪いかもしれませんが、アドバンテージとれる可能性が高まります。

Q.デザイン領域の科目を担当されていますが、研究室はシステム開発領域の方面の研究をすると認識して良いですか?

A.良いです。私は、「システム」デザイン研究科の出身です。「エンジニアリング」であって、「アート」ではありません

Q.今までの卒研テーマとは関係ないらしいですが、IoTとかフィジカルコンピューティングの授業うけてみて、センサ使う工作が必要な研究したくなったんですが?

A.悪くないですよ。なかなか挑戦的で良いのではないでしょうか。研究室にノウハウがないので、ショートカット攻略が難しくなり、ハード絡まないでソフトだけの研究テーマより、地味な試行錯誤が必要になると思います。

 正直、コントローラからリード線引っ張ってPC接続のマイコンにぶっこんで操作ログをPCに流し込む系のツール、または逆にマクロ系のツールを自作して頂けると嬉しいです

Q.デジタルゲームじゃなくてアナログゲームの研究したいんですけど……

A.別にOKです。カードゲームでもボードゲームでもどうぞ。大会優勝とか全国ランキング上位とかの学生さんだったら嬉しいかも。

Q.情報検索とか情報推薦とかのWebの研究は?

A.しても構いませんが、お勧めしません。その手の研究をする研究室は全国や世界に数多く存在する≒ライバルが多い、状況です。また、私自身が大学院生時代に取り組んだ研究がWeb系です(Webの研究者の元で学んだわけです)。ぶっちゃけゲーム研究分野より背景知識の量が多く、研究をみる目が肥えていると思います。

 研究室の過去の実績からしても、Web系の研究テーマでは、誰も学外で発表できていません。お外に出しても恥ずかしくないレベルに達さないからです。というより、あまり成績の良くない学生さん、他の研究室からあぶれた学生さん(つまり、ゲーム関連研究には興味示さないタイプ)が取り組む傾向があります。

Q.大学院進学したい場合に卒研テーマは難しくなりますか?

A.なりません。理由としては、卒研は卒研で完結させる必要があるからです。学位論文はそれ単体で研究が完結している必要があるので、続き物のファーストステップですといった体で、卒論完成することはないです。卒研の続きを大学院でするか、また別のテーマにするかは、ご本人と相談の上で決めることになると思います。とはいっても、ご本人の頭の中で、卒論完成時点で、修士論文の完成系までイメージできていると嬉しかったりします。

Q.逆に大学院へは絶対行かなくて就職1本ですが何か不利になりますか?

A.特になにも。というか、現実的にはそれが普通だろうなぁと思っています。でないと中堅以下の私大の教員なんてやってられません。ただ、研究をより発展させるのは大学院へ進学してから……とはならないわけで、意外に思うかもしれませんが、就活組の方が進学組よりガッツリ研究することになる場合があるので注意しましょう。

Q.今までプロ演などでは、お絵かきや作曲していました(システム開発はノータッチです)が、ゲーム「研究」に興味がでてきてテーマを探したいです

A.お絵かきや作曲が、「Processingなどのプログラミング言語を使って」じゃないですよね……。楽に卒研を終わらすこと優先であれば、多分ですが、別の研究室で、ゲームと無関係のテーマした方が良さそうです。

 どうしてもゲーム研究したい場合、何かアピールポイントありませんか? ゲーマーコミュニティとのつながり、要は人脈武器にするか、または、ゲーム関連の人文系調査研究(もともとゲーム研究は人文系が主流ですので)したくて、どんな先行研究があって自分がどんな研究したいのかお話できますか?

 システム開発0の卒論を書く場合、参考文献リストに50件以上の文献が載っていることを要求します。勉強ターンがとても長くなると思うので、ちょっとずつ何か動くものができてきてモチベ保てるシステム開発とは異なり、自分自身と向き合って根気よく研究する感じになるでしょう。文系のガチ研究なら、多分、孤独との闘いといった傾向が強いのではないでしょうか。

 あ、そうだ、文系でも心理学系統の研究するなら、確かにシステム開発は不要かもしれませんが、統計の勉強がそれなりに必要だと思います。数字を見るのが大嫌いとか、数学の勉強は残りの人生で絶対にしないという強い意志がある場合は、よーく考えて本研究室を選んだ方が良いです。

Q.自分で新しい技術を提案する力は微妙ですが、将来CGモデラー(またはサウンドクリエイターとか)とかでゲーム会社入りたいので、ゲームについて学びたいです!

A.卒研としては、ザ・文系卒論の執筆みたいな感じになりそうですね。単独で研究遂行し3桁数の文献を引用し、内容を分類し、考察を加える、みたいな。普通に100ページ超える卒論になると思います。上記のとおり、孤独な闘いになるかもしれませんし、「勉強すること」からは逃げられないです。ただ、「ゲームで使われいてるCG(またはサウンド)の調査と分類(技術面or芸術面の観点で)をし、そこからゲームで使われる技術or芸術がどうなるか今後の展望を述べる」とか「独自の視点でゲームのCGやサウンドの歴史を考察」みたいな、システム開発0の卒論が書けるかもしれませんね。あと、卒研とは直接関係ないかもしれませんが、3Dで生きていくならば、高校数学(特にベクトル関係)のお勉強をし直すのもよろしいかと思います。

Q.もしかして、継続して勉強する根気があってきちんと進捗報告できれば、文献調査をまとめる系の文系卒論テーマでも良いですか?

A.プログラムから逃げたくて楽したくて文系卒論選ぶような場合は、正直、やめた方が良いです。学部長から教えて頂きましたが、遊びやバイトのついでに気が向いたときだけちょっと勉強する残念文系タイプは、持久力がないのかも……。学生の本分は勉強することで、勉強のついでにバイトとか遊びをするんですよ? 参考までに伝えておきますが、文系卒論で卒研クリアした学生さんはまだいません。

 文系卒論は、難易度面でみると、私のサポートアビリティが役立たない確率が高まるので、実はシステム開発系より難しかったりします。今まで職場を渡り歩きながら書き溜めた研究室内の資料(文献調査報告の仕方とか、論文の書き方のテンプレみたいなやつ)は、基本的に理工系ベースで構成されていますから。文献を読み漁る量自体も、システム開発が絡む研究テーマより遥かに多くなりますし。ゲーム関係の学会などで文系学生の発表をみることがありますが、単純に読み込んでいる文献の量に関していえば、本研究室の歴代エース学生より遥かに上だとわかります。総合的な研究レベルは、分野が違うので比較できませんけれど。また、プロ演みたいなグループワークではなく一人で行う単独卒研確定です

 あと、本研究室は、あくまで情報工学系の研究を好む学生さんを優先的に受け入れたいので、「実はプロゲーマー(orセミプロ級です)」といったゲームプレイスキルや人脈面でのアピールポイントがない場合、もしも定員枠超えた場合には、すみませんとなるかもしれません。

Q.卒研テーマの種類に関係なく、学会発表レベルに達さないで卒論提出するパターンになった場合、卒論の分量の目安みたいなものはありますか?

A.システム開発と評価実験を行うスタンダードなタイプの単独テーマなら参考文献15件以上(ただし、学術論文、国際会議論文含めて10件以上)、ページ数的に15ページ以上が目安になります。大抵の場合、普通に内容が充実しているので、露骨なページ数稼ぎなんてしなくても勝手にクリアできる感じになります。複数人の共著となる場合は、単純に人数増えるほど2倍3倍と増加することを想定して頂ければよいと思います。つまり、グループの誰かに書かせるだけ書かせて自分はノータッチ、というのはダメです。また、システム開発とあまり縁のない卒研については、やや上の質問項目を参照しましょう。一人で研究し、参考文献が50件以上、ページ数も100ページ近くなど、相応に多くなります。いうまでもなく、フォントサイズを30ptとかにして1ページにたった10行や20行しかないフォーマットにするなんてのはダメです。また、文献報告の資料を別途、ほぼ毎週、整えて頂くことになると思います。

 なお、学術論文と国際会議論文や研究会や学会予稿との違いみたいなものは、研究室内の資料にまとめています(正式に配属された学生さんには説明すると思います)が、ご自身で調べて頂いた方がよいですね。研究の世界(教員が生きる世界)をある程度知って欲しいなぁと思います。

 ちなみに、以前私が勤めた工科大の卒論は、30ページ以上の条件だったかと思います。ついでに、中間発表会とか卒論発表会で他の研究室の先生からチェックされてボコボコにされるとかが普通にあります。毎年何名か、卒論再提出になっている感があります。というか、ページ数の条件はともかく、中間や卒論発表会があるのは、工学系だと比較的標準だと思います。研究室に配属直後から、かなり厳しく鍛えられますから、偏差値がここより低めでも就活でここより無双できるのは、ある意味当然なんです。