髙橋由紀子・松下範久・寳月岱造・原田幸雄
日本植物病理学会報 74(3): 140-147, 2008.
和文摘要
クロミサンザシ白粒葉枯病の病原菌 Mycopappus alni を,カバノキ科,バラ科,ブナ科,マンサク科およびクルミ科の5科15属21種に接種し,これらの樹種に対する病原性を調査した.その結果,カバノキ科,バラ科,クルミ科およびマンサク科の14種で,葉に病斑と繁殖体が形成され,M. alni はこれらの樹種に病原性があった.一方,ブナ科では,ブナとクリで葉に変色が認められたことから,M. alni はこれら2樹種にも病原性があると考えられた.しかし,これらの樹種では, 病斑や繁殖体の形成頻度が他科の樹種より低く,これら樹種へのM. alni の病原力は弱いと推察された.また,コナラ属樹種では病斑が形成されず,M. alni はコナラ属に対し病原性がないと考えられた.本菌をクロミサンザシ葉に接種し,病徴発現部位を顕微鏡観察した結果,M. alni の菌糸が気孔から植物体内に侵入しているのが観察された.
本文 in Japanese with English abstract (link to CiNii)
(解説)クロミサンザシ白粒葉枯病のこと