花卉園芸学

(1)Moricandiaのアントシアニンに関する研究

学名:Moricandia ramburii

モリカンディア(Moricandia)は地中海沿岸地域原産のアブラナ科の植物です。花色は白からクリーム色、および紫色があります。日本での知名度は低いですが、原産地である地中海沿岸地域や北アメリカ、ヨーロッパなどでは園芸用植物としても利用されています。草姿も美しく、今後日本での園芸用作物としての可能性が考えられます。そのため、本研究では、モリカンディアの日本での栽培記録の作成、主要なアントシアニンの構造解析を行うことを目的としています。

(2)スイートアリッサムの花色と花色素に関する研究

ランブリーの写真

赤褐色系のアリッサムの写真

学名:Lobularia maritima 和名:ニワナズナ

アリッサム(Lobularia maritima)は 地中海沿岸が原産のアブラナ科の植物です。多年草ですが日本の高温多湿な気候は合わず、ほとんどが夏枯れしてしまうため一年草として扱われています。群生 するとカーペット状になるため毛氈花壇、寄植え花壇の縁取りなどに利用されます。花色は白が基本ですが、他に赤、ピンク、紫などがあります。本研究ではこ のうち赤褐色系の花色を持つ品種を用い、主要なアントシアニンを同定することを目的としています。

(3)アラビスの色素について

アラビスはアブラナ科ヤマハタザオ属の多年草で、ロックガーデンを中心に主に花壇用として利用されています。一方 日本で一般的に利用されている品種は少 なく、花色も赤紫、白程度しか見受けられません。そこで今後の育種において重要な情報となる「花色と含有色素の関係」を明らかにするため、2つの品種から アントシアニンをはじめとする色素を取り出し、その構造を調べることで品種ごとに含まれる色素の違いを探っています。

(4)イオノプシディウムのアントシアニンに関する研究

アラビスの写真

学名:Ionopsidium acaule

イオノプシジウムの写真

イオノプシディウム(Ionopsidium)はポルトガル原産のアブラナ科の植物です。花に派手さはありませんが、小さい株を覆うように十字形のとても小さい花を咲かせます。花色は環境により白~紫色に変化し、それほど強くはありませんが香

りがあります。マット状に育ち、非常に多花性なので花壇の縁取りや寄せ植えなどに適しているので、今後多く利用されることが考えられます。そのため、本研究ではイオノプシディウムの花の主要なアントシアニンの生成、分析を行うことを目的としています。

(5)バージニアストックの花色変化とアントシアニンに関する研究

バージニアストックの写真

学名:Malcolmia maritima 和名:ヒメアラセイトウ、ハマアラセイトウ

バージニアストックは地中海沿岸が原産のアブラナ科の植物で、白、ピン ク、紫または赤色の十字形の花を咲かせます。「開花後に花色が変化する」という特徴を持つものがあり、開花時はピンク色でも、時間の経過とともに青みが増 し、写真のように紫がかった花色になります。このメカニズムが明らかになれば、今後さまざまな園芸用植物へ応用することが可能になると考えられます。メカ ニズム解明に向け、本研究はバージニアストックの花色変化に関わるアントシアニンの構造解析を目的として行っています。