Zakkan.

この場は,'Zakkan',「雑感」として,私が日ごろ考えていること,気づいたことなどを書き留める場です.

20171229

大掃除は梅雨の時期にするのがよいと聞いた記憶があります.とくに,水回りの掃除は,寒い時期よりも,寒くなく菌類が繁茂しやすい時期のほうが,効率的かつ効果的という理由です.確かに理にかなっており,水回りだけは梅雨の時期の休日に実施済みです.

もう一つ厄介なのは,印刷した論文の束の整理です.エントロピー増大の法則を実証するかのごとく,この時期にそれなりに整理しても,一年後の年末には散らばります.散らばり方には一定の傾向があるようで,そのときの研究テーマに沿って散らばる傾向にあります.さらに厄介なのは,複数の研究に関係する論文たち(=ローカルな意味でimpact factorの「高い」論文(笑)です.結果として,行方不明状態になることも.幸い,電子データがあるので,見つからなければ印刷すればよいわけです.この時期に複数発見されることも.

論文の束を整理すると,それがきっかけで,新たな研究ネタを見つけることもあります.論文の束を整理する唯一の楽しみです.

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20171225

様々な楽曲を聴いては,様々な風景を連想します.定点から眺めた静止した風景というよりも,車窓から眺めた動的な風景です.とくに,1)谷地の沿線や沿道の集落,高速道路や鉄道の法面のように,視対象が近い状態における動的な風景と,2)谷地や法面の連続が終わって広大な扇状地に至ったときのように,視対象が遠方の山々のように遠い状態における準静的な風景の両者の不連続を楽曲にアナロジーさせることもできます.

視対象が近いことによるハイテンポな風景の変化と,視対象が遠いことによるスローテンポかつ悠長な風景の変化.両者のコントラストが大きいほど,後者の雄大さはより誇張されます.

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久々に,奥深い統計学の世界を知りました.文献によると,とある関数形の極限として得られるとの説明があるものの,演繹過程は記載されておらず.まさに,出発地と目的地のみ知らされて,あとはご勝手にどうぞ的な状況を過ごしておりました.

目下修正中の論文にて,この地図のない状況を突き進まざる得なくなり,先週あたりから四苦八苦..特性関数から天下り的に導出するのかと思いきや,予想ははずれました.演繹の考え方自体は,二項分布からポアソン分布を導出する過程に通底するかと思います.統計学では,スターリングの近似式がブレークスルーの鍵となることも多いのですが,今回もまさに鍵でした.極限をとるも,よくある「ゼロに近づけて∞…,あれ….」的な状況に難航していたときに,スターリングの近似式が突破口に.

私にとってのクリスマスプレゼントとなりました^^

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20171222

某飲食店にて、鈴木亜美のBe Togetherが流れていますが、リリース当時、現役のや学士課程の学生は産まれてないことにショックを。

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20171220

フォローしているルーマニアの研究者が、Physical Review Eに面白そうな論文を発表したので、早速読みました。発想がユニークかつ面白い!

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20171208

早朝に受け取ったメールにて,further workをfuture workと読み間違え,scepticalをspecialと読み間違え.どうも手紙の内容の辻褄が合わないと思ったら,読み間違えが原因でした.前者の読み間違えがわかって少々安堵..scepticalという単語は初めてみたかもしれません.skepticalと同義のようで,英国英語のようです.cとkの違いです.

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日本建築学会計画系論文集に論文が採用されました.

研究の着想を得たのは,化学の構造式だったかと記憶しています.

炭素Cの原子価は4,窒素Nの原子価は3,水素の原子価は1なので,平面上で適当に結合させることをイメージしました.

もちろん,四叉路や三叉路を炭素と窒素に対応させる必然性はなく,思考実験です.

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20171203

映画「探偵はBARにいる3」を鑑賞.主な舞台は札幌市です.先月に札幌市を訪れたばかりのせいか,見慣れた街並みでした.

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20171201

気分転換に地図を見ることができるのはスマホの効用かと実感します。その反面、図郭という概念がないので、空間的な範囲で相対的に位置関係を把握することはできません。これはデメリットなのか、メリットなのか、即断もできず。縮尺を自在に調整できることは、意外とデメリットかも。

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20171129

8月中旬から中断していた研究論文の執筆を再開.昨日まで寝かせた状態のままでした.中断の理由は,相次ぐ査読結果と修正対応に専念したためかと思います.

前職時代は,一年に一本と決めていたので,現在のような「中断」という状況に直面しませんでした.若手研究者として,研究を進めて,論文を書いて,精力的に投稿することは最重要任務ですから,その結果としての「中断」は回避できません.

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20171126

11月10日に玉置浩二の「あの頃へ」を初めて聴いてから,アルバム「安全地帯ベスト2」に収録されている「あの頃へ」,アルバム「T」に収録されている「あの頃へ」,そして,1992年12月8日の日本武道館コンサートver.の音源を購入.当時の玉置浩二の歌唱力に感動.

1992年リリースなので,小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」とほぼ同時期.なぜ,「あの頃へ」を知らずに歳をとってしまったのか.幼稚園児にして,久石譲の「冬の旅人」に感動したオマセなガキだったので,「あの頃へ」を聴いたら,間違いなくカセットを購入していたと思います.

本当に名曲であると思います.

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20171124

ほぼ終日,文献レビューと論文執筆に専念.ハードカバーの文献とハードカバー並みに重たいペーパーバックの合計三冊を持ち歩きながらという,要領の悪い仕事の仕方です.軽くするための前向きな唯一の方法は,読み終えること.

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20171122

札幌駅にて疑問に思ったことは,新幹線ホームの設置場所です.それらしき用地もなく,在来線ホームを転用するのかなと思っていたところ,報道によれば,複数案で迷走中とのこと.

迷走中の案についてはさておき,札幌駅および新幹線と在来線(函館本線)の接続部の区間を三線軌条にする方法は案にすらならないのだろうか.

フランスやドイツの鉄道網は標準軌であり,TGVやICEの高速運転区間では新線が建設された一方で,都市部の駅周辺は在来線の設備が共用されています.もちろん,列車の発着本数の密度によっては得策ではないものの,札幌駅でのfeasibilityはどうなのだろうか.

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20171120

昼過ぎから夕方まで,フランス人とイタリア人の研究者と研究内容の議論をしました.国内的にはともかく,国際的には似たような興味関心をもっている人もそれなりにいることを実感.コラボレーションを模索しつつ,面白い貢献ができればと思います.

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20171112

「市電BOOK」を片手に車内から街並み調査.

車内にて,'Enjoy our beautiful city'と書いてあります.とある文献(タイトル失念)にて,複数のgridsが境界部でoverlappingすると,境界部での直交性が崩れる旨の説明を読みました.有名な例は,東京の道路網の軸の取り方であり,一つは富士山,もう一つは筑波山です.冒頭のパンフレットを読むと,今日の札幌市街南部はまさに複数のgridsのoverlappingであり,かつての市域の境界付近で直交性は崩れています.

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20171111

日本都市計画学会@北海道大学札幌キャンパス.

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20171108

磯崎新氏の「空間へ」.1964まで読み進めました.半世紀以上前の論考とは思えないほど,今日の論考としても十分通用するほどに色褪せておりません.とくに,「都市デザインの方法」を読み終えて,磯崎氏に対する私の印象は明確となりました.

本書を読み進めていく過程において,無意識に芦原義信氏の「街並みの美学」「続・街並みの美学」「隠れた秩序」,槇文彦氏(編)の「見えがくれする都市」を対置させていたことは確かです.これらの名著を繰り返し熟読しては,新たな発見と研究テーマの着想を得ました.おそらく,今後も再読する度に,新たな発見をすることになるかと思います.

「空間へ」を読むことで,上述の文献を読みながら考えに考え抜いたことを補強する何かを得る感覚はありました.「補強」では説明のつかない,新たな構造フレームとして私の思考過程に実装されたのが「都市デザインの方法」です.

この論考が発表されたのは,奇しくも東京大学に都市工学科が設立された年です.「都市解析」という講義も1964年にスタートしたと聞いております.磯崎氏も「都市解析」というキーワードを用いて「方法における相補性ー都市デザインとは,数量解析と形態操作のもつ相補的性格の方法的総合によってはじめて達成されるものなのではないかー」と問いかけて,「かりに数量的に都市が解析されたところで,具体的な提案は,必ずある形態をもったはずである」と説いています.

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20171105

Googleの検索画面を見て、11/5は赤池弘次先生の生誕90年であることを知りました。

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20171104

栗子トンネルが開通したのですね。

地図を見る限り、福島市と山形市の両都市間を移動する場合、東北道と山形道経由、東北中央道経由、ほぼ等距離です。福島市と米沢市の往来の利便性は確実に向上しますね。

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20171102

モデュラープランニングとスケルトンに関する論考を読みながら、空間的な最小単位をエレメントとして規定した全体について悶々と自問自答。アナロジカルには、古典物理学をミクロに突き詰めた先に量子という離散的かつ確率論で記述されるエレメントと、その全体としての我々が我々の認識できる空間スケールで認識するものに対応させたくなります。

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20171031

磯崎新,2017,空間へ,河出文庫.購入して読み始めました.

冒頭の「都市破壊業KK」を読んだときに,非常に後悔したかと思いきや,杞憂でした.

磯崎氏の著書を読むのは初めてです.

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20171029

GIS学会@宮城大学にて研究発表をしました.

OR学会に続いて最終セッション(空間解析)にて発表しました.

私の発表の前の発表を興味深く拝聴いたしました.

勾配と曲率の制約の下で,電気自動車の電池消費を最小化する道路網の構築(だったかな?)です.

着眼点は面白い反面,現に整備されている道路網をゼロベースで整備するのは至難かと思いました.こうした疑問はオーディエンスも抱いていたようですね.質疑では,発展途上国での応用を想定とのこと.うーん,ゼロベースで都市計画できるのは,フィジカルプランナーとしては幸せの極みかもしれません.また,交通工学の観点からは必ずしも望ましくないという質疑もありました.興味深いのは,異なるバックグラウンドをもつ研究者の無知は,その分野で当然とされていた考え方を批判的に検討するきっかけを与えるという効用です.この点,GIS学会は面白いのかなと期待しております.

私の発表タイトルは「道路延長と街区総数」です.

道路延長を推定する理論モデルのブレークスルーは,腰塚武志先生が1978年にご発表された「道路網と交差点」であるかと思います.その後,岡部篤行先生と金子忠明先生が1985年に「道路延長を求める簡便な方法(メッシュ交点法)の精度と作業量」をご発表されております.1997年には,栗田治先生が「任意の領域の道路延長を推定する公式 –Thickness函数を用いた腰塚の推定公式の一般化–」をご発表されております.古山正雄先生は,これらを都市解析研究の金字塔として位置づけておられます(*1).

1978年当時は,GISという概念すら黎明期であり,道路網の延長を簡便に推定する手法は実務的にも重要でした.ところが,今日では,道路網の空間データさえあれば,GIS上に瞬く間に計算できてしまいます.論文では,今日においてこうした理論モデルをレビューする意義を明確にしたうえで,街区総数と道路延長の両者の間には一定の関係があることを理論的かつ実証的に明らかにしました.

腰塚(1978)では,道路網のパターンを捨象し,道路網を一様ランダムの直線分の集合としてモデル化することによって,積分幾何学の諸定理を応用する道筋を得ました.他方,岡部・金子(1985)では,道路網のパターンは捨象せずに,道路網上に正方格子を一様ランダムにオーバーレイしたときの交点数から推定する発想です.では,薄井(2017)のアプローチは何かというと,規範的な平面分割パターンとしてポアソンボロノイ領域を想定し,ボロノイ辺の総延長を道路網の延長のモデルとみなしました.つまり,道路網パターンを捨象するアプローチを採用した訳です.このような発想は,腰塚(1978)の一見すると大胆と思われる発想からヒントを得ました.また,地球儀を平面へ投影する方法(投影法)からもヒントを得ています.三次元から二次元平面へ次元下げする際に,面積,距離,方位をすべて保存することはできず,いずれか一つを捨象することを余儀なくされます.

*1: 古山正雄(1999),都市計画研究の現状と展望:都市解析,都市計画,no.221,pp.54-58,日本都市計画学会.

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20171028

GIS学会@宮城大学にて発表をしました.

今回,初めて教育をテーマに論文を執筆しました.

今日の取組みを数十年後のGIS教育史に残すことができれば幸いです.

恩師より,国際会議で戦うようアドバイスを賜りました.

国際会議は2009年11月のパリ以来ご無沙汰しています.理由は,就職したためです.

いま振り返れば,多少の無理をしてでも,2011年9月のSTGISには参加すべきであったと後悔.

(当時,政策課で総合特区等を担当していたので,平日に年休をとって参加する余裕はなく.)

言い訳ですね.

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20171027

後藤治,関澤愛,三浦卓也,村上正浩,2009,それでも,「木密」に住み続けたい! 路地裏で安全に暮らすための防災まちづくりの極意,彰国社.再読了.

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20171026

藤井聡,2017,クルマを捨ててこそ地方は甦る,PHP新書.読了.

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20171020

論文のreferencesとして行政文書を記載する必要があるものの,行政文書のタイトルの英訳がないので,適当な英訳を考えなければなりません.理想的には,行政文書の英語化を希望するものの,現実的には非常に難しいこともよく知っています.妥協案として,行政文書タイトルの英訳だけでも公表してほしいです.微妙に英訳の異なるreferenceが多数出現するのは気持ち悪いですね.

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20171019

未明のラジオ深夜便にて、歴博の青山宏夫先生が、地理学と地図について解説していました。ご専門は歴史地理学のようです。アンカーの問いかけに対する私の回答を用意しつつ、青山先生の地理学と地図に関する解説を確認。

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20171015

過去に読んだ論文を綴じたキングファイルを開いて,とある論文とそこに書き込んだはずのメモを探しました.経験的に,何らかの書き込みをすることで,思考の形跡を残すことができます.こうした形跡を数年後にふと思い出すこと,多々あります.

既往研究のワンセンテンスから,新たな研究のアイデアを思いつくこともあります.毎度不思議に思うことは,そのワンセンテンスを見ればいつも同じことを考えることは稀であることです.そのときの関心事,前後の思考過程に規定されることは確実でしょう.

そう考えますと,着想する研究のアイデアの内容は多分に偶然的かもしれません.こうも書きますと,研究は明確な問題意識に基づき計画的に遂行するものという規範を思い出さずにはいられません.明確な問題意識という基軸をもつことは大前提です.計画的かどうかはさておき.

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20171014

三菱総研の手帳を購入しようとしたところ、入荷予定は10/21とのこと。昨年も入荷前に入荷時期を聞いたような。

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20171007

数年ぶりにBayfmのパワカンを聴いています.DJは小島嵩弘さんに変わってビックリ.僕にとっての小島さんは'I'm alive'の小島さん,'mosaic night'の小島さんなので,パワカンのDJとは意外な反面嬉しいです^^

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20171004

The following research article has been published in the International Journal of Geographical Information Science:

Usui, H., and Asami, Y., 2017, Size distribution of urban blocks in the Tokyo Metropolitan Region: estimation by urban block density and road width on the basis of normative plane tessellation, International Journal of Geographical Information Science, (doi: 10.1080/13658816.2017.1384550).

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20171001

本日は北陸新幹線の長野開業から20周年の節目.いま振り返ると,20年間はあっという間です.20年前に購入した碓氷峠関係の車輛や長野新幹線E2系の鉄道模型のコレクションがあるものの,少なくとも就職してからは開封していません.そして今後もしばらくは開封しないかもしれません.

碓氷峠を廃線に追いやった長野新幹線の存在を快くは思わなかったものの,当時からある種の割り切った考え(?)には慣れていたようで,E2系のカラーリングは素直に美しいと思いました.浅間山の麓や長野盆地を新幹線が駆け抜ける映像を観ては,新たな時代の幕開けを実感しました.

今年の11月15日は,東北・上越新幹線の大宮暫定開業から35周年です.この間,新潟県中越地震や東北地方太平洋沖地震をはじめ,数々の災害に遭ったにも拘らず,安全運転が継続していることは素晴らしいことだと思います.

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20170927

先日にacceptされた論文の校正原稿のpdfが届きました.早速精読したところ,明らかに文法的なミス,数式の番号の誤りを発見しました.前者は削除忘れかと思います.校正の段階で気づいてよかったです.

一部の図の鮮明度が低いので,改善するよう依頼しました.acceptされると,図のみTIFF形式で提出します.TIFFの解像度は十分に高いので,おそらく,pdf化する際に鮮明度が低下したのではないかと推察.

校正原稿ver.2でokしたいです.

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20170925

映画「ダンケルク」を鑑賞しました.音響効果による臨場感の演出は秀逸です.反面,ラストシーンにて,鉄道客車の座席のシートが妙に今日風であることに違和感.1940年当時の座席はレザー調のシートではなく,裸木のシートが主流であったのではないかと推察します.

細かい指摘はさておき,興味深かったのは戦闘機の操縦です.

パイロットに要求される空間認知能力の高さについて考えさせられました.具体的には,旋回中の自機の姿勢,敵機と味方機との位置関係などです.

日常生活では,xyzの右手系(あるいは左手系)の座標空間に基づき位置関係を把握します.目の前の視界をxyzの位置づけることに加えて,適度なzを設定し,bird's eyes的な座標空間もパラレルで無意識に意識しながら,空間認知という難業を軽々とこなしているように思われます.

これが空中の戦闘機となると,xyzの座標空間がベストではなく,自機の位置を相対的な原点とする疑似平面座標を捉えることで,実質的な次元下げの処理をしているのではないかと思われます.うまく疑似平面を捉えたとしても,平面上にない敵味方もありますから,この仮説を支持するのは難しいかもしれません.おそらく,自機に対する相対的な位置関係を捉えることができれば必要十分なはずです.

とても厄介な性質は,自機も味方機も敵機も時々刻々と位置を変えることです.視覚的に捉えることのできる三次元空間に加えて,聴覚を四次元目の情報として有効利用しているような気もします.音であれば,音波の向きと振幅の大きさから,相対的な位置関係を推定できそうです.非視覚的な情報を視覚的な三次元空間にうまくマッピングさせる能力です.また,視覚のみでは背後の情報を知ることができません.これを補うという意味でも,聴覚情報はとても重要であると思います.

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20170920

医院の待合室にて、予防接種スケジュールを見ていたところ、おたふく風邪のワクチンと日本脳炎のワクチンの同時接種ができますと記載されています。私が幼児期だった頃は、同時接種ができず、日本脳炎のワクチン接種のみ受けたと、母親から聞きました。

その後、5歳の7月に重度のおたふく風邪に罹り、12月に小児糖尿病を発症しました。おたふく風邪と小児糖尿病の因果関係は実証されていないものの、当時は医師の話では、おたふく風邪が悪さをしたかもとのこと。それを言われた母親は自身を責め続けていました。私にとっては、むしろ、母親は命の恩人です。

今日、日本脳炎とおたふく風邪のワクチンの同時接種はできます。備えあれば憂いなし、我が子ができたら、絶対に同時接種を受けさせます。

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20170919

街並み調査@高岡市,富山市岩瀬浜.

調査中,国際誌に投稿していた論文が無事に採用されました!

振り返れば,2010年に日本建築学会計画系論文集に掲載された論文の採用通知を頂いたのは,旅先の金沢にてでした.

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20170918

街並み調査@飛騨古川,白川郷

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20170917

街並み調査@高山市.

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20170915

OR学会@関西大学にて研究発表をしました.

フロアより建設的なコメントを頂戴しました.感謝.

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20170914

OR学会@関西大学にて研究発表を聴きました.

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20170906

毎日新聞に掲載された「影鳥海」の写真からいろいろ考えました.

鳥海山の標高は2,236m.鳥海山の山頂から日本海までの直線距離は約10㎞あるようです.写真の山影は日本海上にはるか遠くまで伸びています.写真に海岸線らしきものがあります.影の先端は,遠近効果も勘案すると,数十キロメートル先でしょう.

冒頭の「何か」とは,影鳥海そのものではなく,影鳥海が生じていない状態で,我々はどの程度遠くを見ているのかです.つまり,影鳥海の出現により,空間の遠近,直感とのずれを自覚することができるわけであり,そこになにもなければ,空間の遠近も直感とのずれも自覚することはないかと思います.

同様の感覚は,東京スカイツリーから約30kmの地点で東京スカイツリーを望むときに,東京スカイツリー越しに見えるもの,具体的には空や雲に対しても抱きます.普段,我々は遠くのものを見ながら生活していることを実感する訳です.

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20170902

データの大きさを相対化して捉えると、今日のビッグデータは近い将来にビッグでないデータとして取り扱いやすくなるはず。このようなことを考えるたびに、ティコ・ブラーエの天体観測記録を想起します。16世紀当時、この記録は間違いなくビッグデータであったはず。ケプラーがそれと対峙して三法則を見出した訳です。ケプラーが第三法則を見出すまでには相当の年月を要したようです。

もし、今日であれば、人工知能がケプラーの第三法則を見出すことはできるのだろうか。寺田寅彦曰く、科学者にとって直感は重要であると、直感を作業仮説に見立てて試行錯誤の踏み台にする旨の随筆を遺しています。学習と圧倒的な計算能力は、直感と試行錯誤にとってかわる訳で。

結局は、思考の節約を追求するようになると確信しています。ケプラーの法則が見出され、万有引力の法則が導かれたように。問題は、一見すると因果関係がないように思われる、人工知能が吐き出す相関関係に対して、いかにして原理・原則に基づく説明を与えられるか。政策担当者にありがちな、盲目的に相関関係を鵜呑みにするのではなく。そう、ケプラーが成し遂げたように。

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20170830

寺田寅彦の随筆を何編か読みました.「科学者と芸術家」,「田園雑感」,「ねずみと猫」です.とくに,「科学者と芸術家」を読んでは多くを考えさせられました.以下,抜粋すると:

「(前略)想像力も(科学者芸術家の)両者に必要なものである.総合という事がなければ多くの科学はおそらく一歩も進むことは困難であろう.一見なんらの関係もないような事象の間に密接な連絡を見いだし,個々別々の事実を一つの系にまとめるような仕事には想像の力に待つ事ははなはだ多い.また,科学者には直感が必要である.(中略)長い間考えていてどうしても解釈のつかなかった問題が,偶然の機会にほとんど電光のように一時にくまなくその究極を示顕する.(中略)もっとも,このような直感的な傑作は科学者にとっては容易に期してできるものではない.それを得るまでは不断の忠実な努力が必要である.(中略)常人が見のがすような機微の現象に注意してまずその正しいスケッチを取るのが大切である.(中略)科学者の中にはただ忠実な個々のスケッチを作るのみをもって科学者本来の務めと考え,すべての総合的施策を一概に投機的とし排斥する人もあるかもしれない.また反対に零細のスケッチを無価値として軽侮する人もあるかもしれないが,科学というものの本来の目的が知識の系統化あるいは思考の節約にあるとすれば,まずこれらのスケッチを集めこれを基として大きな制作をまとめた渾然たる系統を立てるのが理想であろう.」

以上,抜粋終わり.

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20170824

今年の9/30で信越本線の横川駅〜軽井沢駅間が廃線となってから20年も経ちます。廃線間近、碓氷峠に陶酔しては、現地に何度も足を運びました。

当時の僕にとっての長野新幹線は、ブルーノ・タウトの言葉を借りれば「いかもの」であり、横軽を駆逐する憎き対象でした。横軽の難所を機関車に推されて登坂するさまは、忘れられた日本の美し何かを再発見したかのようでした。たいてい、再発見されたと同時に失われようとしているのは、日本ではよくあることかもしれません。無くなることを知ってその存在を惜しく思うわけで。

この数ヶ月間、仕事に集中していて、20年という節目を忘れるところでした。いま気づいたので、この場で雑感を書いておこうと。ただ、高い可能性で、9/30に碓氷峠を思い出さないまま、10/1を迎えそうです。

9/19に碓氷峠を「いかもの」で降坂する予定です。もちろん、いまの私は北陸新幹線を「いかもの」とは思いません。考えさせられるのは、こうした考え方の変化そのものです。

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20170806

吉原祥子,2017,人口減少時代の土地問題 「所有者不明化」と相続,空き家,制度のゆくえ,中公新書.読了.

大月敏雄,2017,町を住みこなす -超高齢社会の居場所づくり,岩波新書.読了.

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20170805

David Salsburg(著),竹内恵行・熊谷悦生(訳),2006,統計学を拓いた異才たち 経験則から科学へ進展した一世紀,日本経済新聞社.再々々読了.

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20170731

この場を始めてちょうど一年が経過いたしました.

「統計学を拓いた異才たち」を読み進めていると,コーンフィールドの話でいつも笑ってしまう件があります.

1940年代のアメリカ,24×24の逆行列を計算するために,レオンチェフとコーンフィールドはハーバード大学のコンピュータを使用しました.問題は,コンピュータの使用料の支払いです.当時の政府の方針は「物品には支払うが,無形のサービスには支払わない」とのことで,使用料を支出する理屈を考えるのに難儀したとか.苦肉の策は,「政府はハーバード大学から一つの鋳型(one matrix),反転もの(inverted)を購入した」というものです.

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20170725

David Salsburg(著),竹内恵之,熊谷悦生(訳)2006,統計学を拓いた異才たち 経験則から科学へ進展した一世紀,日本経済新聞社を再々…再読.前回は2015年3月3日に再々読了していますから,約二年半ぶりです.

毎度,本書を読むことで,数理統計学の教科書を読破するためのモチベーションを得ています.通しで読む必要はないものの,無用の用もあります.

今回は,studentのt統計量について,いろいろ思うところがあります.端的に言うと,標本平均 / 標本標準偏差 を少々いじった統計分布に興味があるわけです.

毎度,本書の第3章:かの親愛なるゴセット氏(studentのt統計量の生みの親)を読むたびに,ゴセット氏の二足の草鞋に畏怖の念を抱きます.ギネスビールに就職し,offの時間に研究に専念し,論文を発表する姿勢.尊敬いたします.

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20170724

竹内啓,2010,偶然とは何かーその積極的意味,岩波新書.再々再読了.

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20170722

学問体系と法体系のアナロジーを考えました.

とある法律が「スパゲティ」と揶揄されたように,法律は制定後の幾度の改正を経て,必ずしも体系的にわかりやすいとは言えないものになります.そして,先達ほど詳しい傾向にあります.後進は明文化された法体系をより短期間で理解することで,巨人の肩に相当するものを得ては,先達との議論に備えていると理解しています.

学問も然り.万有引力の法則,エネルギーと運動量の違い,熱力学の第二法則,光量子仮説など,その時代では長い時間を要して発見ないし理解しようとしてきた数々の学説を,今日の我々は,要領さえよければ,ほんの僅かな時間で巨人の肩に相当するものを得たような気になれます.

中心極限定理や統計的仮説検定も同様です.表面的には,わかりやすく著された書物や講師の説明を受けることにより,ゴールすることはできます.しかし,果たしてそれで良いのでしょうか?ゴールを優先するあまりに置き去りにしてきた「理解に難航しつつもわかったつもり」の数々と対峙したくなるのではないかと思います.

問題は、要領の良し悪し云々です.

頭脳明晰とは,こうした知識を難なく理解できることを言います.それは良い反面,難なく理解できてしまってよいのかという素朴な疑問があります.そして,理解に難航する過程から,新たなものの見え方や新たな学説を提唱するきっかけを得るのではないかと,そこにこそ学問的な面白さ,知的好奇心を満たしてくれるものがあると思います.

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20170721

バラツキの議論と比較すると,平均または実質的に同義である総和の議論は,なんと身動きをとりやすいことか.

総和であれば,バラツキのあるデータを積み上げてしまえば良いわけです.発想はまさに積分です.

一様ランダムの仮定のもとで,辛うじてバラツキの議論をすることもできる反面,現実に接近するためには,構造を適用できる部分とそうでない部分のバランスを如何にとるか.

面白くも悩ましい問題です.

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20170718

15時過ぎ,雷鳴とともに,窓に固体が衝突する音を聞きました.

屋外の様子を見ると,明らかに白い物体が舞ってました.白い物体の正体は雹でした.

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20170715

先日の研究会にて,積分をしたものをどのように解釈するかという話題提供がありました.回答期限は無期限の宿題を頂いたような感覚です.お話を聴いていたときに漠然と思ったことは,運動量と運動エネルギーの違いに関する長年の論争です.とりあえず,積分したものを'potential'として扱い,敢えてそれ以上の意味を付与しないという考え方もあるのかなと,あれこれ考えていました.

たとえば,距離分布を計算するとき,二次元平面上の微小領域と微小領域のペアを考えますから,四次元空間を扱うことになります.上述の問題と対比させてみると,この四次元空間の解釈は如何ということになります.私の理解では,四次元量そのものに意味は与えられていません.この四次元の量は累積分布関数に対応しますから,確率密度関数を導出すると,三次元の量を扱うことになります.厳密には,測度を基準化することで,実質的には無次元量になります.

次元を上げれば異なる世界を見渡せるとは,学問の世界に限らず,耳にするお話です.

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20170714

学部四年の演習の最終ジュリーが無事に終わりました.私は昨年に続いて,密集市街地改善班を担当いたしました.

実は,今年も昨年同時期も,学生が密集市街地と対峙している間,私自身も密集市街地と対峙していました.

昨年は,数値計算で難航し,その後は研究の改善は進まず.今年は,何とか(研究を)改善できそうです.

最終ジュリーを目途に論文を完成させることはできませんでしたが,年内を目標に論文を投稿できればと思います.

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20170713

午後は夕方まで数値計算.

一年前に,東京23区スケールで計算しようとしたところ,メモリ不足のため計算はパンクしてしまいました.それから約一年も放置してしまいました.重たい腰を上げて,某区に絞って計算することで,何とか計算できました.ゼロになることを実証しようとしたところ,10^-7になりました.限りなくゼロに等しいことを実証できて満足です.

18時からは研究会@駒場に参加.話題提供し,有意義な議論ができました.感謝.

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20170712

Urban AnalysisをStatistical Physicsとのアナロジーに帰着させられない,あるいは帰着させるのに躊躇してしまう最大の理由は,前者と後者の系(システム)の構成要素の総数の圧倒的な違いにあると思います.

後者の出発点は,10^23のシステムである気体分子の運動エネルギーと温度という状態量の関係を厳密に定式化したことにあります.比例定数はボルツマン定数です.他方,前者の場合,東京23区の建物棟数でもせいぜい10^6のオーダーです.常用対数で17も違います.

都市空間に固有な問題として,統計的性質を見出すには十分でない母集団サイズのもとで,何らかの性質を見出そうとする営みがあります.たとえば,東京23区全体を母集団とすると統計的には様々な性質を見出すことができても,その性質を知ることで何を知ったことになるのかという問いに対して真摯に向き合う必要があります.

もちろん,東京23区全体を見ることでわかる有益な情報もあります.しかし,地区のスケールを考えるとなると,我々が扱うべき母集団のオーダーはせいぜい10^2から10^3であり,そこからわかる諸性質は何かという問いに対して真摯に向き合う必要があると思います.母集団を大きくするのではなく(それゆえ,ビッグデータの恩恵はなく),このオーダーの母集団という制約の下で考えなければなりません.Statistical PhysicistsによるUrban Analysisの一連の研究をレビューしていて,物足りなさを感じる主な原因です.

この程度のオーダーであれば,「見ればわかる」反面,見方は人それぞれ,捉え方も人それぞれ,解釈も人それぞれです.「見ればわかる」こそ,共通理解を困難にしているとも言えますし,そこが面白いのかもしれません.

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20170709

先日のランチにて,トウガラシは朝鮮半島固有の植物ではないという話題になりました.確かにその通りで,原産はアンデス高地です.ナス科の植物ですから,ジャガイモ,トマト,ナスと同じ分類になります.

振り返れば,小学生の頃の理科のサブリーダーにて,ジャガイモとトマトを接ぎ木するとどうなるかというコラムがありました.サブリーダーに掲載されていた写真は当時の私に強烈な印象を与えたようです.最近では,ハイブリッド野菜として注目されているようです.当時はグロテスクな印象でしたが,最近の事例では,見事に上はトマト,下はジャガイモですね.

以前,山本紀夫先生の「ジャガイモの来た道」を図書館で借りて読みました.きっかけは,毎日新聞の書評を読んだことでした.確か,冒頭部分でジャガイモの伝播経路の地図が載っています.

山本紀夫先生は2016年に「トウガラシの世界史 辛くて熱い「食卓革命」」を中公新書として上梓されています.冒頭部分では,やはり,伝播経路の地図が載っているものの,朝鮮半島へどのように伝播したかは描かれていません.読むのを中断したままなので,再開できればと思います.

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20170624

学部の演習にて学生さんと話していた時のこと.ある学生さんが「敷地」と連呼するものの,私がイメージする「敷地」とは明らかに異なりました.学生さんは'site'の意味合いで「敷地」という言葉を使用しているのに対して,私は'lot'の意味合いで「敷地」という言葉を使用しています.'site'も'lot'も多義的な概念です.より狭義の意味合いに限定すると,空間の一部,それも平面の一部という意味合いになります.

私の理解では,空間スケールの意味で,lot < siteです.冒頭の状況では,「敷地」という同一の概念を適用しようとしていたわけです.学生さんは課題対象地を「敷地」と捉え,私は個々の建物敷地を「敷地」と捉えています.もちろん,辞書的な意味,ジャーゴンな意味での「敷地」は定義されています.

重要なことは,議論の過程で双方の認識の違いに気づき,気づいたほうがその違いを指摘することです.こうした状況は,演習に限らず多々あるかと思います.学生さんと私の間でも認識の違いがあるわけですから,学生同士でも多々あること必至です.それに気づくには,議論を交わすほかないと思います.

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20170619

列車の種別の一つに「普通」があります.改めて考えてみると,何のことだかよくわかりません.ちなみに,私が「普通」という熟語を覚えたきっかけは,冒頭の列車の種別です.確か幼稚園児の頃だと思います.「普通」は「特急」でも「急行」でもないもの.遅いもの.ホームで待っていて残念に思うものでした.このため,後になって日常会話で使用することになる,'normal'な意味での「普通」との意味の違いに混乱しました.

路線によっては,「各駅」という種別を使用しています.こちらのほうが的確かと思います.英訳は'local'です.これをカタカナの「ローカル」と表記すると,元々の意味からの飛躍は甚だしくなります.その一例は「ローカル線」です.「地方の田舎の単線を一両で運行する路線」のイメージです.たぶん,山手線をローカル線と呼ぶ人は少ないのではないでしょうか?「ローカル」を地方の田舎のようにとらえると,'local'の意味,その対義語としての'global'の意味はますます理解しかねます.(かつての私はそうでした.)非線形最適化法を勉強していると,'local optimum'なる概念に直面します.globalとlocalは,相対的に大きな円と小さな円というイメージでとらえるのが無難ではないでしょうか.

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20170615

草津白根山の湯釜周辺の通行規制は解除されました.

湯釜火口から500メートル以内は規制されているものの,湯釜を望むことはできるようです.

湯釜は何度見ても神秘的です.

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20170612

使用不能になってしまったマウスを購入店へ持参.

初期不良とのことで,同一品に交換してくれました.

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20170611

二日前に購入したばかりのマウス.使用不能になりました.

マウスを使う作業をしないことにしました.

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20170610

科研の合同研究会に出席しました.

研究分担者として,このような研究会に出席するのは初めての経験でした.

日本の地理学をリードする先生方のご発表を大変興味深く拝聴いたしました.

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20170609

共著者として論文投稿いたしました.

投稿するまでの過程において,非常に多くの重要なことを学ばせて頂きました.感謝.

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20170607

論文ゼミをスタートしました.

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20170603

澤野弘之氏のアーティストブックがあることを知りました.

p.15-の「音楽家,澤野弘之の足跡」を興味深く拝読.久石譲氏のサントラ,TKサウンズ.これらは澤野サウンズの方程式を構成する主要な項であることを知りました.そして,私が澤野サウンズに傾倒する理由もわかりました.

1980年代前半世代として,久石譲氏の一連のサントラは,私の音楽に対する嗜好を決定づけたと思います.ちなみに,私が初めて購入したレコードは,久石譲氏の「冬の旅人」です.当時は未就学児でした.未就学児に哀愁(?)とは何かを教えてくれた音楽作品です.冬の旅人が何たるかも,華の別れが何たるかも,歌詞の意味が何たるかも,何もわからなかったものの,instrumentalという非言語的コミュニケーションから,何かを感じ取ったのは確かです.

私がTKサウンズに求めたものも哀愁でした.思いつく限り挙げると,'survival dance', 'masquerade', '恋しさと せつなさと 心強さと','feel like dance', 'face', 'close to the night', 'mystery of sound', 'I Believe', 'compass'などです.

この点,澤野氏の作品タイトルから意味を理解するのは困難です.それもそのはず.タイトルに意味を持たせないことで,タイトルが音楽作品のイメージを規定することを意図的に避けていることを知りました.この点,'face'と聞いて,あのメロディーを想起するのとは対照的です.澤野氏の作品タイトルにはメロディーを想起させるものはありません.敢えて言語的な不規則性・無意味性を与えることで,音楽という言語化されない対象に,時間軸を持った非言語的なコミュニケーションを実践しているように思われました.

2000年代に入り,久石譲氏でもなく,小室哲哉氏でもなく,私の音楽に対する嗜好にfitしたのが澤野サウンズでした.2006年,医龍のサントラを聴いた時の感動は今でも忘れられません.2017年,クライシスのサントラを聴いています.'machine-motion-investigation-squad','10/9sawHALF'を聴いては,哀愁を求めます.

冒頭の「足跡」では,澤野氏曰く,「澤野の音楽の特徴は,エンタテインメント性があることだと思ってくれたら嬉しい」と.澤野氏は「エンタテインメント性」を厳密に定義していません.文脈から,「僕が強く影響を受けてきた方に共通するもの(p.22)」,「人が単純に聴いてカッコいいと思える曲(p.22)」がエンタテイメント性であることの条件であることがわかります.後者の意味では,少なくとも私の場合,哀愁という感想を抱くほどにentertainされていることを実感します.

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20170513

最近,自宅の椅子や職場の椅子との相性がよろしくないようで,座面の硬い椅子の方が相性は良いようです.もう一つの要因は,自宅や職場の椅子の座面の高さが低すぎるかもしれません.椅子と机の相性も一因です.人間工学の観点から,私にとって最適な椅子と机の高さを知っておきたいと思いました.

現実には,量産品とうまく付き合うほかないでしょう.なんらかの標準規格があり,それは典型的な日本人の身体を規範にしているのではないかと思われます.座高の統計分布は椅子と机の関係の規範を考えるうえで,とても重要かと.

オフィスの椅子といえば,座面は柔らかいのが定番かと思いますが,敢えて,座面の位置は高めで硬い椅子にするのも良いかもしれません.

椅子は日々のパートナーですから,相性の良いパートナーに出会いたいですね.

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20170505

沖大幹,2016,水の未来—グローバルリスクと日本,岩波新書.読了.

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20170504

遠田晋次,2016,活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること,講談社ブルーバックス.読了

地学や地震学に関する基礎知識,内陸地震の定義,活断層の定義(は実は一意に定まっていないこと),活断層の調査方法,活断層の推定とグルーピング問題にまつわるやっかいな課題,地震発生確率モデルとその前提ならびに課題など,著者の平易な説明は目から鱗です.都市計画による防災・減災に向けた具体策にも言及されています.米国の活断層法や徳島県における条例です.

第一章では,正断層,逆断層,横ずれ断層などの概念の説明が続きます.正直なところ,第一章の単調さは否めません.ところが,第二章以降において,過去の内陸地震を多数取り上げることで,読者が諸概念の理解をしやすいように工夫されているように思われます.

本書のタイトルは活断層地震であるものの,本書を読めば地震に関する知識を深めることができます.とくに,1)地震発生確率モデルにおいて,変動係数は全国一律に0.24に設定されている点,2)東工大の野村先生が変動係数に地域差があることを実証している点を大変興味深く思いました.「首都直下地震の発生確率は30年以内に70%」と予測する根拠もわかるでしょう.

毎年,政府の地震調査委員会は,全国地震動予測地図を公表しています.重要なことは,自然現象としての活断層地震について正しく理解すること,地震発生確率モデルの前提と課題を正しく理解すること,そして,正しく恐れて備えることであると思います.本書は,そのために必読の書であると思います.

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20170503

沖大幹,2014,東大教授,新潮新書.再読了

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20170418

学部演習にて,淡路町~日本橋~湊~月島にかけて実態認識しました.

数ある都市工の演習のなかで,実態認識は特徴的かつ特長的な演習であると思います.

比較対象として,つくばの社工では,こうした授業はほとんどない(なかった?)かと思います.学類二年の後半にGISを知り,三年の一学期にひたすらグループワークをし,二学期になってはじめて住宅地設計です.都市データ分析という授業もありました.これが実態認識に相当すると思います.明確に異なるのは,東京とつくばの違いです.つくばの都市部において,二項道路や三項道路もなければ,ガワとアンの対比もありません.この雑感をご覧の学生さんは,ぜひ筑波研究学園都市を実態認識すべきです.まちびらきをしてから40年が経過し,筑波研究学園都市を特徴づける公務員住宅などは解体され,その土地は民間に払い下げられ,まちの様相は劇的に変化しつつあります.

東京と対照的なつくばにある大学にて,「東京の都市学」というオムニバス形式の授業がありました.

当時の私は,いまさら東京学もないだろうと,履修しませんでした.(後悔してます.)

その後,越澤明先生の「東京都市計画物語」や「東京の都市計画」,陣内秀信先生の「東京の空間人類学」,槇文彦先生(編著)の「見えがくれする都市」などの東京学の名著を読み,改めて東京という都市の特殊性,奥深さ,面白さを学ぶことができました.2006年には,西村幸夫先生(編著)の「路地からのまちづくり」を熟読しては,神楽坂,谷中,月島などの地域を踏査しました.

とくに,「東京の空間人類学」にて,東京は起伏に富んだ街であるものの,地下鉄に乗ってしまうとそれを感じづらく,歩くのが一番良いという趣旨の一節があります.この一節を読んで以来,なるべく歩くようになりました.とくに,地方都市を訪れたときは,なるべく公共交通を使用せずに歩くようにしています.

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20170416

午前中に半屋内空間で執筆に専念していたところ,スズメ一羽が迷い込んできました.カーテンウォールだからか,必死に外へ出ようとするものの,コツンコツンを衝突しては途方に暮れているようでした.何とかしてあげたいものの,どうにもなりません.スズメの脱出作戦は一時間以上継続していたかと思います.スズメの脱出を見届ける前に,私が場所を変えてしまったので,どうなったのか気になります.

しばらくして,カバンをよく見ると,白くなっていました.置き土産かもしれません.

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20170413

取り扱いに慣れない英単語の一つとして,dimensionがあります.'Longman Dictionary of Contemporary English'によれば,the length, height, width, depth, or diameter of somethingであり,複数形で面積や容積を意味します.ほかにも意味はあるものの,割愛します.たとえば,'the dimension of a cube'と'the dimensions of a cube'は似て非なるものであり,前者は立方体の寸法(幅,奥行,高さのいずれか),後者は立方体の体積ということでしょうか.'the dimension of a cube'と書くよりも,widthかdepthかheightのいずれかを明示するのが通例なような気もします.

とある論文にて,'the dimension of the plot frontage'という記述を見てから,dimensionについてあれこれ考えては,これまでテキトーな取り扱いをしてきたと反省しました.

直感的には,長方形の面積を'the dimensions of a rectangular'と呼ぶのはわかるものの,多角形の面積を'the dimensions of a polygon'と呼ぶのは違和感があります.多角形を複数の三角形に分割すれば,the dimensionsが見え隠れしますが.

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20170411

服部龍二.2015,中曽根康弘 「大統領的首相」の軌跡,中公新書.読了.

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20170409

デジタルテレビが修理されて帰ってきました.故障原因は結露などによる電源基板の不良でした.修理費用は見積もりで¥25,000,実際は¥18,000で済みました.電源基板の交換のみなので,チャンネル設定等は修理前とそのままです.

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20170407

学部演習の二日目が終わりました.

通称,実態認識と呼ばれている,現地見学です.一年前にも同じ地域を見学しました.

学生さんは無論,教員にとっても,実市街地を認識する貴重な機会であると思います.とくに,同じ地域を定期的に認識することは,居住地や勤務地を除くと,そうあるようでありません.

まちは一年間では大して変化しないように思う反面,あれ?と思うこともありました.私は本郷キャンパスの変化を一ヶ月間隔で記録しています.一ヶ月間で変化するのは,せいぜい樹木の葉の色や葉の有無です.なかなか劇的な変化を認識することはありません.ところが,一年間では,たとえば東大病院の周りや背景のマッス感が増しました.一ヶ月間では緩やかな変化ークレーンが忙しなく動き回る程度ーであっても,一年間では,建築物も竣工します.

たまたま,青木義次先生の著書にて,同様の問題意識が論述されているのを拝読しては,思わず大きく頷きました.

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20170406

学部演習の一日目が終わりました.

学生さんに説明すると,「〇〇先生から教わりました」との反応.この点は昨年度とのとても大きな相違点かもしれません.

学生時代,東京23区のすべての町丁目を踏査する野望を抱いていました.単純計算で,毎日5町丁目ずつ歩いたとしても,約3,000町丁目 / 約5町丁目 = 約二年要します.この単純計算から,地域選定は不可避であると納得した訳で.

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20170402

昨晩から液晶テレビが故障.

メーカーに問い合わせたところ,電気系統か画面に問題が生じているようです.電源ボタンを長押ししても駄目,リモコンのメニューボタンを押しても駄目.

2010年製ですから,製造後7年目.統計的にも故障率は高まる訳です.

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20170401

科研費の交付内定がありました.(エイプリルフールでないとは思いますが.)

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20170329

異業種交流会(?)にて,今後の建築や行政のあり方についてざっくばらんな議論をしました.数年前に同じスタートラインに立った同期との議論は大変有り難い機会でもあります.来年度から新たな任地で活躍する仲間を祝福するとともに,お互いの成長を見守れればと思います.

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20170326

高根正昭,1979,創造の方法学,講談社現代新書.読了.

恩師から薦めていただいて読みました.

冒頭から,清水幾太郎先生の文体の雰囲気を感じ取りました.事実,p.150-にて,お二人は大学の同僚であったことを確認しました.

とくに,第1章から第4章までの内容は目から鱗です.記述と説明の違い(pp.40-44),最初に思いついたアイディアは大切にしなければならない(p.49),概念と経験的世界と事実の関係(pp.57-61),因果法則を満足させるための三つの条件,理論は単純明快でなければならない(pp.94-96).著者の文章の明快さに感動しながら,これらの警句や方法論を夢中で読みました.

確かに,IBMのコンピュータカードの説明は時代遅れな感を否めません.それでもなお,社会学研究の定量化,多変量解析の考え方を学ぶうえで,本書の第5章の存在意義は,とかくブラックボックス化の感が甚だしい今日においてこそ大きいと思います.

今後も繰り返し再読しては新たな発見をするであろう,味わい深い文献に出会えました.恩師に感謝.

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20170324

学部の卒業式が挙行されました.

ご卒業,誠におめでとうございます.

謝恩会にて,マグカップを頂きました.

学生さんのスケッチとのことで,ストーリー性を感じます.

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20170323

大学院の学位記授与式が挙行されました.おめでとうございます.

帰宅の通勤列車内で,境界(delineation, demarcation, boundary)について考えていたところ,流氷の「境界」を思い出しました.上空から眺めると,流氷の境界部分は明瞭に見えます.ところが,間近に見ると,境界は曖昧です.

一見すると境界は明瞭に見えても,実は曖昧.世の中にはphysicalにもnon-physicalにもファジーな様相を呈するものが多々あるかと思います.前職時代には,様々な案件を組織内にさばく仕事もしていました.ファジーな案件ほど取り扱いに困ることも多々.

明瞭な境界はapparentなだけかもしれません.

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20170321

世界の車窓からを視聴していて,日欧の違いが明瞭なのは食堂車の有無であると思いました.欧州では食堂車が健在であるものの,日本では国鉄末期には絶滅危惧種となり,今日ではクルーズトレインのみです.主な理由として,日本における長距離列車の減少があるかと思います.かつては東海道・山陽新幹線,東北・上越新幹線でも食堂車はあったものの,平成に入ると消滅しました.

日本で最高の売り上げを誇るコンビニが東京駅新幹線改札前に立地する現状からも,日本人は弁当を好み,食堂車が入り込む余地はありません.この点は欧州の列車と対照的です.欧州の列車は様々な面で日本よりも非効率かと思う反面,何か大事なものを伝統として継承していると思われます.

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20170318

ベランダで土いじりをしていたら,キチョウが遊びにきました.一部は越冬するようです.春です.

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20170316

Get Wild 2017, JOBS#1など,TKサウンズのリリースラッシュが続く中,前者をヘビロテで聴き,後者に収録されている'maze'や'Song for ALPINE SKI WORLD CUP 2016'を聴いて全身シビレまくりです.

とくに,'Song for ALPINE SKI WORLD CUP 2016'はイントロから転調です.

winding roadを攻めたくなる名盤です.

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20170311

本日でちょうど六年が経過しました.

前職時代には,間接的にも直接的にも復興に向けてのお手伝いをさせて頂きました.正直言えば,霞ヶ関のデスクワークで現場を見通すのは至難であったと反省しています.

とくに,膨大な案件を一つ一つ見て考えるだけの時間の余裕がなかったのは,大きな反省です.事務方としても,膨大な資料や様式が整理もされずに短期間で対応しなければならないことに,大きな疑問と憤りを感じずにはいられませんでした.その反面,被災地の行政担当者のみなさんが,混乱の中で作成および提出した資料であることを常に意識しました.そして,より中身の議論に時間を充てるためにも,様式の簡素化は重要です.

航空機上からは津波という現象はスローに見えるだろうし,波高を実感することはできないだろうと思いました.鳥の目,虫の目,魚の目,それぞれを常に意識することの重要さと難しさを実感します.

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20170310

運転間隔の調整は全体最適である反面,標準ダイヤ通りに運行しないことによる個人の交通行動への影響を軽視している.田園都市線のように,標準ダイヤとして,ラッシュ時の速達性を犠牲にして全体最適を目指すのであれば,事前情報に基づき個人は交通行動できる.しかし,運転間隔の調整は直前にしかアナウンスされない.

要は,時間に余裕をもって交通行動すればよいわけですが.

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20170308

佐藤直紀,2017,A LIFE,Anchor Records.

菅野祐悟,2017,東京タラレバ娘-MAIN THEME-,VAP.

音源を購入.

どちらも初めて聴いたときに,直観的に良いなと思いました.

前者は,ピアノの主旋律とエレキベースに一目惚れしました.

佐藤直紀さんの作品は,NHK大河ドラマ「龍馬伝」やフジテレビ「コード・ブルー」の作品のイメージが強く,本作品にもこれらの作品の特徴は出ていると思います.なんとなく,日曜劇場「GOOD LUCK!!」のメインテーマを踏襲しているように思うのは,木村拓哉さんへのオマージュ(?)でしょうか?

後者は,軽快でアップテンポなエレクトロサウンズをベースに,ピアノとストリングスの主旋律が心地よいです.後半に変調もあります.朝,気持ちを高めるときに良いかもしれません.

今後,様々な場面でBGMとして使われるだろうと思います.

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20170302

雑誌「都市計画」の最新号を読みました.特集は「都市解析」です.前回の「都市解析:美とリアリティー」の印象が強いため,今回の特集は前回と似て非なるものというのが感想です.

本誌での座談会にて展開されているように,物理学(とくに統計物理学)や生物学(とくに形態学)の分野との他流試合は重要であると思います.その一方で,都市空間に固有の現象と真摯に対峙し続けることで,独自な理論を構築すべきであると思います.

かつて,研究室の同期が嘆いていたように,都市計画学の基礎とは何かを問い続けなければなりません.たとえば,都市経済学は経済学という基礎があります.同期は,「基礎」があることを羨ましいと言っていたのを思い出します.

東秀紀先生の「東京の都市計画家 高山英華」を読む限り,都市計画学の基礎は,高山英華先生の博士論文に帰着すると思います.その背景には,内田祥三先生の存在があり,「体系化された学問」として,都市防災とくに火災現象が挙げられています.確かに,火災現象は物理学を基礎に堅牢な理論が構築されています.

上述の最新号にて,重力波の観測というエポックメイキングは,都市解析に多くの示唆を与えるのではないかという記述があります.私も同意見です.物理学は大きく理論物理学と実験物理学で構成され,理論屋の予想を実験屋が実証するという,車の両輪の関係にあります.理論屋はまれに(でもなく)非現実な仮定を置くことで,見通しのよい帰結や関係を得ようとします.そして,非現実な仮定を置くことを批判されることも(多々)あります.重要なのは,非現実な仮定を置きつつも,常に現実と対峙する姿勢であると肝に銘じています.

こと都市空間は良くも悪くも複雑です.複雑な現象をそのまま見るのではなく,簡潔に記述することで,現象を改善するための処方箋たる政策(法令等による規制やその緩和)を見通しよく検討するための「基礎」を構築したいと思います.

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20170225

アレルギー性鼻炎カプセルを服用したところ,強烈な眠さに悩まされました.

1日2回服用とあるものの,就寝前のみに控えようかと.鼻水とくしゃみは抑えられているようです.

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20170223

聴力検査を受けたとき,敷地内でトラックが後退する際に発する警告音が聞こえてきました.困ったことは,聴力検査のヘッドフォンから聞こえてくる音なのか,トラックから聞こえてくる音なのか,判別できなかったことです.

検査結果は正常でした.

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20170221

これまで,研究の方法としてシミュレーションを用いることを意図的に避けてきました.理由は,私自身がシミュレーションを好まないからです.食わず嫌いだけかもしれません.今日,シミュレーションをやってみたところ,意外と面白いことがわかりました.シミュレーションはあくまでも可視化の道具の一つであると思います.演繹的に何かを説明する際に,答え(解答ではありません)を先に知ることも有効だと思います.これから,解答を考えます.

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20170219

行きつけの美容室で散髪.

4月の某週の土日は休みである旨の張り紙が妙に目立つ.オーナー曰く,開業から30年間,定休日は火曜日であり,土日に休むのは初めてとのことでした.貫き通すとは何か,教わりました.

帰り道,「刃物を研ぎます.長い刃物200円,短い刃物100円」との貼り紙が視界に入りました.長い刃物とは?これはこれで統計分布に従うのだろうと思います.実態は,店主の判断かと思いますが.

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20170216

蔵書の整理をしていたところ,(私にとって)伝説の文献を発見しました:

奥平耕造,腰塚武志,岡部篤行,岡部佳世,古山正雄,1973,都市構成要素の基礎的研究.

私の記憶では,腰塚先生が都市計画学会の論文奨励賞の受賞報告にて,本研究の背景と目的に相当する内容に言及されています.

以下,冒頭の文献から,今日においても示唆に富む文章を引用いたします:

土地利用の現況について,どのような点をどの程度の正確さで知ることが,都市計画に最低限度必要な情報であるかがわからないので,やむを得ず土地利用現況図を描き,それを見て自分なりに概況を頭の中に形づくろうとしているのであろう.このようなあいまいな判断を避けるためには,土地利用を知ることが都市計画の段階でどれだけ必要であり,そのためには,土地利用をどのような基準で何について調べればよいかを明らかにしておかなければならない.

(中略)

都市に対する研究は実証的な面に重点がおかれていた.都市は一つ一つが個性的であり,統一的な理論を現実の都市からはなれて(原文ママ)考えることは困難だからである.しかし,理論的考察によってある程度見通しを得たあとで実証的な調査を行うことの方が,いきなりデータをあつめ強引に帰納的な結論をみちびくよりはるかにすぐれていることは言うまでもない.理論的に考察することが全く不可能でないことが分かっている場合は可能なかぎり理論的な追及をおこなうべきであろう.

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20170213

本日は卒論審査でした.学生さんの発表を聴くことに専念しました.

この場は,学生の発表の場としてだけでなく,私のような若手研究者にとって,T型人間の横棒を広げる貴重な機会でもあります.

また,ほかの先生方がどのような視点で発表を聴いているのか,学生さんとのやりとりを第三者の立場で知ることもできます.

質問やコメントの準備をしつつ,ほかの先生方が同様の質問やコメントをされているのを聴いては,

自分の問題意識は的外れではないと安心します.他方、研究の独自性ならぬ,質問やコメントの独自性を模索します.

やりとりの中には,本質的なものもあり,日頃の私自身の素朴な問題意識が肯定されることを確かめることもあれば,

他人事ではないと反省することもあります.

日々,T型の縦棒を深化させることに傾倒しがちのなか,

半期に一度のジュリーという機会は,Tをバランスよく拡大するために欠かせません.

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20170211

つくばの社工の都市計画同窓会賞の選考会に参加しました.

選考会ということで審査する側ではあるものの,学生さんの優秀な研究を聴くことができる有難い場であると思っています.

今回も,多くを学ぶことができました.

昨年度は,某先生より,「学会のような質問をしないようにね」とのアドバイスと頂きました.

このため,今年度は技術的な質問は敢えてせずに,前職時代の経験を踏まえた「社会人」としての質問・コメントに徹したつもりです.

懇親会に出席する予定であったものの,諸般の都合により欠席しました.

来年度も,できる限り参加したいと思います.

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20170205

信越本線の碓氷峠区間が廃線となってから,今年の9月30日で20年が経つ.

当時は中学生であり,20年後どころか10年後を想像することすら困難であったと思う.

見方を変えれば,それだけ大きな夢を際限なく抱くことができたわけであり,

その後の数年で自分の能力と実力が試されることになる黎明期でもあった.

世相も然りである.携帯電話は10cm×20cmの大型のものが主流.

めざましテレビでは,「いってらっしゃいコーナー」をやっていたと思う.

電子メールという概念すら理解していなかった.

今日と比較すれば,不便に思うことも多々あったかもしれないけれど,当時は当時でそれなりに満足して生活していたと思う.

そんな中,15年ぶりのフル規格の新幹線が開業しようとしていた.

長野駅に新幹線が乗り入れるというエポックメイキングは,当時の僕からすればその現実を受け入れられないほどに,多くを考えさせられた.

なかでも,並行在来線である信越本線の横川駅と篠ノ井駅間の行く末は,最大の関心事であった.

僕が小学生のときに,当時の長野県知事が同区間の存続を断念したことを知り,この国から風光明媚な路線が失われることに絶望した.

それから20年.年月の経過はあっという間であった.

20年前当時では夢であった北陸新幹線の金沢延伸開業が現実となった.

一日一日の変化は微々たるものでも,20年という年月は大きいことを実感する.

そして,その間に私は何をしてきたのだろうかと,反省せずにはいられない.

20年後,碓氷峠区間の廃線から40年,北陸新幹線の開業から40年.

これからの20年の経過は,これまでの20年の経過よりも格段に早く感じるだろう.

20年前に見た信越本線の碓氷峠旧線は,1963年まで現役であった.

1963年当時に1997年を想像するのは困難でもあり,世の中は良くもなれば,悪くもなるだろうという楽観論と悲観論があったと思う.

世相はどうなろうとも,そこに遺構は存在する.

あたかも,関東平野の奥から,悠然と世相を静観しているようである.

朽ちる速度よりも,良くも悪くも変化する速度のほうが桁違いに大きい.

だからこそ,立ち返る場所が必要であり,その一つが碓氷峠なのかもしれない.

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20170203

今年に入って,論文の初稿を二つ書き上げました.うち一つは現在審査中です.

一連の研究の進め方を例えれば,1)見えない糸を見出し,2)見出した糸をより明確にすることです.

先月半ば(1月13日)に,長沼伸一郎氏の「経済数学の直観的方法 マクロ経済学編」を読み終えました.

本書で述べられている事柄に同意する部分も多々あります.

その一つは,帰納的ではなく,演繹的に説明することに対するこだわりです.

この傾向は,アメリカの経済学において顕著なようです.(私には,この傾向を断言できるだけの経験はなく.)

原理・原則から事象を説明しようとする演繹的な態度は,科学の基本的な態度であると思います.

その反面,演繹的に物事を見通すことは容易でありません.

容易さの点では,経験則を発見し,それを見通すことのできる説明原理を探す姿勢が順当であるかと思います.

逆の姿勢を貫くのは,相当のストレスになるかと思います.

姿勢としては堅持しつつ,この逆(経験則の発見)のアプローチとの両にらみをしながら,

あれこれ考えるのが本音かとも思うのです.

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20170201

小田和正の「ラブ・ストーリは突然に」を初めて聴いたのは,1991年です.今から26年前です.初めて購入したカセットかもしれません.

(ちなみに,はじめて購入したSPは,久石譲の「冬の旅人」です.レコードです.)

このカセットは収納のどこかにあるはずです.10年前に,アルバム「自己ベスト」を購入し,「ラブ・ストーリは突然に」を聴きました.

なんとなく,ベースの音色が気になったものの,特に気にすることなく.

最近になって,「自己ベスト」に収録されている「ラブ・ストーリーは突然に」は,「自己ベスト」用に収録しなおしたものである事実を知りました.

改めて,アルバム「Oh!Yeah!」に収録されている「ラブ・ストーリーは突然に」を聴くと,「自己ベスト」のよりもベースの音色が軽いです.

個人的には,26年前のオリジナルのほうが好みです.

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20170130

とある先生の投稿を拝読していたら,私が中学生のときを思い出しました.

記憶している限りでは,A3再生紙に高崎市街の道路地図を描きました.

高崎に興味を持った理由は,以下の三点です:

1)国道18号線が国道17号線から分岐すること,

2)高崎駅は信越本線と上越線の分岐駅であること,

3)碓氷川が利根川に合流すること.

要は,分岐や合流する街として,高崎市街に興味を持ったことは確かです.

A3再生紙に幅のある道路網と街区,鉄道網,河川などを描きました.

地図をトレースするのではなく,道路地図を読みこんで得た情報に基づき,フリーハンドで描きました.

このため,高崎市街を忠実に再現したものではありません.

当時も,忠実に再現すること自体に興味はなく,平面上で地物を構成する際に直面する「矛盾」を解決する思考自体を楽しんでいたと思います.

当時はこうした面白さを説明するだけの文章力はありませんでした.

いまとなっては,高崎市でなくてもよかったのかと.

当時の愛読書はmapple道路地図であり,暇さえあればmapple道路地図を見ていました.

できれば,関東甲信越だけでなく,京阪神の道路地図を読んでおけば,「基礎知識」が身についたかもしれません.

私が現職を目指すようになったきっかけは,これらの行為にあるかと思います.

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20170128

水郡線の水戸駅から那珂川橋梁まで至る縦断線形の謎が解けました.

台地の谷津をつないで造成された水戸城の濠を水抜きして転用したようです.

大町や大工町などの水戸市街は高台にあるので、水戸駅との標高差について理解しかねていました.

市街地から水戸駅東口に至る手前で坂を下る訳ですね.私の記憶からは,この坂の存在が消えていました.

毎度,水戸市街の道路地図を見ては,水戸駅と那珂川橋梁付近との高低差を実感しにくいです.

地形図を見ないとわかりません.

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20170125

ふと,「古畑任三郎」にて今泉を演じる西村雅彦のセリフを思い出した:

「今夜はとってもヒヤシンス」

このセリフを誤解していたようで,「今夜はあなたとヒヤシンス」と聞き間違いをしていたようです.

よく考えてみれば,意味不明な訳で.

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20170124

ONE OF ROCK, 2017, Taking Off, Ambitions, A-Sketch. 音源を購入.

普段,ロックを聴かないものの,FM放送のアルバム紹介を聴いて,気に入りました.

毎度のことながら,その理由はわかりません.早速,strings & piano ver.にしてみたら面白そうかと,脳内でアレンジしています.

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20170122

午前中はGIS学会の若手分科会に参加.

同世代の若手研究者の方々の興味深い発表を聴いて多くを学びました.

とくに,熊本大学の米島先生のご発表から,平成27年熊本地震発生後の様子を数多くを学びました.

マスコミで報道されず,政府の報告書でも取り上げられないお話ばかりでした.

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20170116

先日,学生さんに,「良い地図から学ぶ」ようアドバイスしました.

今日,研究室の学生さんから,「良い地図とは何でしょうか?」と問われました.

アドバイスを訂正したいと思います.

「良い地図から学ぶ」ではなく,「良いと思う,良いと言われている地図から学ぶ」です.

一見すると,GIS(GISystems)の普及により,地図の作製は職人技でなくなりつつあるかもしれません.

ところが,実際にGISを操作してみますと,職人技ないし個人のセンスに依存するところは大きいかと思います.

10年前,ESRI社のArcGISをいじりだしたころ,私自身で作成した地図のセンスのなさに愕然としました.

ArcGISの色彩などのデフォルト設定に吐き気を覚えました.違和感を覚えただけ,ましだったかもしれません.

愕然としたのは,思っていること,やりたい操作を自由にできないことに起因します.

当時は,PCによるGUIよりも,手先で描いてしまうほうが思うように描画できますから,はるかにマシだと思っていたくらいです.

文明の利器の登場により,私自身の器用さが奪われたような感覚でした.

こうした感覚は,GISに限らず,各種アプリケーションの操作全般に共通する感覚です.

地図の作製の話題に戻りますと,私の場合,これまでにコロプレスマップを多数作製してきました.

理論モデルや実測値を計測するまでは,地図を作成する前段階のお話です.

どんなに面白い数値を算出したとしても,ビジュアルでしくじると見向きもされません.

これは,模型制作における塗装の工程に似ていると思います.

組み立てが完璧であっても,塗装がそうでなければ,組み立ての完璧さは台無しになります.

模型のほうは,ワンチャンスしかないだけに,試行錯誤できる地図作製のほうが気楽です.

最近では,モノクロでコロプレスマップを作製するよう心がけています.

主な理由は印刷コストや掲載料の削減です.某学会の場合,論文掲載料は,6ページ分で¥32,400です.

カラーの場合は「えっ?」と驚くくらいの費用が加算されます.

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20170115

三年前の今日は博士論文の本審査でした.

その三年後,某試験の監督を務めることになるとは,想定外でした.

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20170113

長沼伸一郎,2016,経済数学の直観的方法 マクロ経済学編,講談社ブルーバックス.読了.

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20170112

GIS演習の最終回が無事に終わりました.

学生さんに主題図とその概要を2分で発表してもらいました.

先月初め,GISという用語すら知らなかった学生さん.

知識とスキルの習熟ぶりに感心いたしました.

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20170110

書籍部にて,「新訳 明日の田園都市」を購入しようとしたところ,

岩波書店の単行本を15%OFFで購入できる企画を実施中でした.二年に一度の企画のようです.

以下の書籍を購入しました:

久保拓弥,2012,データ解析のための統計モデリング入門 -一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC-,岩波書店.

本書は,世間では「みどりぼん」とよばれているようです.

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20170109

長沼伸一郎氏の「経済数学の直観的方法 マクロ経済学編」のpp.258-254の記述からいろいろ考えさせられました.

主旨は「記号の単純化こそ数学発展の原動力」です.

「思考経済」「オッカムの剃刀」という考え方に言及し,人類が学問や理論を作る目的は,

「最小の知識で最大限の事象を理解するため」であると指摘しています.

和算は思考経済の点で西洋代数学に劣るという状況は,昨今の中学受験に垣間見ることができます.

私は中学受験をしていません.ところが,学生時代に中学受験の生徒さんを指導した(させられた)経験があります.

植木算とか出会い算とか(ほかにも~算シリーズは多数あったかと思いますが,当時も今も覚えておりません.),

いわゆる二元一次連立方程式として定式化される問題が多数あります.

まさに,本質的に同一の問題を,前者は和算,後者は西洋代数学の観点からとらえたもの,後者は思考経済の一例です.

当時,物分かりのよい生徒さんに,二元一次連立方程式とその解法を教えました.

(生徒さん曰く,大手の進学塾では,中学数学の内容を教えていたようです.)

私が和算シリーズを十分に理解していないことを白状すると,それが生徒さんの家庭で話題になったようです.

素直に「わからない」という先生もいることに感心したとか.危うく,指導力不足とも捉えかねられなかっただけに,ホッとしました.

私は和算不要論を唱えているわけではありません.

日本が誇る和算を一つの知識として得ておくことは,知的好奇心を大いに刺激されますし,

西洋と比肩できるもの,本質的に同一の問題を独自に解き明かしたことは,日本人として誇りに思います.

和算不要論ではなく,前述した「思考経済」「オッカムの剃刀」という思想を如何に教育するかに関心があります.

確かに,小学生が理解できるようにこれらの思想を教育するのは容易ではありません.

こうした教育をどこかで行う必要はあると思います.

人工知能のように,長年の基礎研究が実を結びつつある分野もあります.

ビッグデータのように,広義のセンサリング技術により実世界を捉えつつもあります.

ベイズ統計学のように,どんな情報をも与えることで,事前から事後の確率を更新するという手続きにより,実像に迫ることもできます.

こうした現状において,冒頭の警句は対照的であり,本質的でもあります.

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20170106

GIS演習の四回目が終わりました.

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20170105

GIS演習の三回目が終わりました.

年末年始を挟んでの三回目なので,前回までの復習をしました.

その後,測地系,投影法,座標系のお話をしました.

一通り,最低限の知識と作法を教えたつもりです.

課題に取り組むようになると,「閾値ってなんですか?」とか,「ヒストグラムってどうやって作成するんですか?」など,

GISとは限らない質問を多々受けるようになります.

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20170103

長沼伸一郎氏の著書は大変面白く,知的好奇心を大いに刺激する文献です.

その一方で,長沼氏がマクロ経済学編のp.27で「自分(アメリカ)の経済学だけが科学だ」という態度を暗に批判し,

佐和隆光氏が「経済学のすすめ」にて,現代経済学は物理の僕であると批判するように,経済思想についても教養として,

現代経済学を相対的に学ぶ姿勢を貫くために学ぶ必要があると思います.

言うは易く行うは難し.現実には,物理思想と経済思想をバランスよく学ぶのは困難であり,

どちらかに偏りが生じつつ,経年的に結果としてバランスを取れるようになるかと割り切っています.

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20170102

長沼伸一郎,2016,経済数学の直観的方法 確率・統計編,講談社ブルーバックス.読了.

Eテレの「大人のピタゴラスイッチ:ピーマンとハトと数学」にて,ボロノイ図が取り上げられていました.

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20170101

あけましておめでとうございます.