大学と共に自然エネルギー100%を目指す学生団体SONE
千葉県/千葉商科大学 学生団体SONE 北嶋寛太さん、渡辺美月さん、戸澤涼花さん
大学と共に自然エネルギー100%を目指す学生団体SONE
千葉県/千葉商科大学 学生団体SONE 北嶋寛太さん、渡辺美月さん、戸澤涼花さん
千葉商科大学からは学生団体SONEに所属する3人の学生が参加。長野県・上田高校で視察した断熱ワークショップを自分たちも実践し、その事例と効果を発表しました。小学生を招いて断熱説明会を開催するなど、学生たちが主体的に断熱に対する意識啓発活動を行っている様子が紹介されました。
|SONEについて
断熱ワークショップの説明の前に、大学で掲げている自然エネルギー100%大学、そして学生団体SONEについて説明します。
自然エネルギー100%大学とは、創るエネルギーと使うエネルギーが同量になるよう取り組んでいる大学です。千葉商科大学では2019年に電力において自然エネルギー100%を達成しています。ガスに関してはまだ97%で、そちらに関して100%になるようにいま取り組んでいるところです。
学生団体SONEは、本校の原科学長が発足させた、環境に関する活動を行う学長プロジェクトです。自然エネルギー100%を目指し、学生に無理をさせない省エネ活動を目標に活動しています。SONEという名前はStudent Organization for Natural Energy、自然エネルギー達成学生機構の頭文字から名付けました。学生と教職員が一緒に、自然エネルギーに対する取り組みをしていくことを目指しています。
これまで私たちは様々な省エネ活動を行ってきましたが、その中でも断熱ワークショップは大規模なものとなります。断熱を意味するInsulation と学生団体SONEを合わせてInSONEtionと名付け、プロジェクトを開始しました。
|ワークショップと結果
今回断熱ワークショップを実施するきっかけとなったのは、2021年12月、長野県の上田高校で実施された断熱改修ワークショップの視察です。本学も省エネ意識向上の促進を目標に掲げており、視察で学んだことを本校でも実施しようと思いました。
本校における断熱ワークショップは、教室の窓の二重窓化および窓の上下の壁に断熱材を入れるというものでしたが、エネルギーまちづくり社さんと千葉商科大学OBが経営する畔蒜工務店に協力していただきながら、作業はすべて学生たちで行いました。
今回断熱化をしたのは4号館の413教室。このワークショップの目的は2つあり、1つは学生が多く利用する教室で実施することで、改良前後の変化を多くの学生が体感できること、2つめはSONEを中心に断熱前後の比較調査を実施し、学内外への発信を行うことです。
こちらの表は断熱ワークショップ2日間の流れです。1日目は断熱材を入れる木枠の作成、断熱材の加工と挿入、窓の設置を行い、2日目は木材の加工と欄間部、ポリカ設置、木板の設置などを行いました。また、両日とも昼休憩にはエネルギーまちづくり社の竹内先生、内山さんに断熱について講義をしていただき、ワークショップへの理解を深めました。
写真は断熱ワークショップ実施後の413教室です。こちらは文化祭の際に多くの方に見ていただいたのですが、温かみがあっていいね、などたくさんの言葉をいただきました。施工前の写真と比べても、かなり温かみのあるオシャレな教室になったと思います。
今回の断熱ワークショップには、私たち学生団体SONEのメンバー以外に学内ボランティア10名、また学外から5名の学生が参加してくれました。参加した学生からは「普段できないことを体験できてよかった」「明るい教室になったので今回参加していない学生にも体験してほしい」「家でも出来ることから取り組んでみたい」「木の香りが教室に広がって心地よい」など様々な声をいただきました。
また、千葉テレビさんが取材してくださり、1分半ほどにまとめてくださいました。よろしければご覧ください。
検証・調査では、温度変化を計測するためのボタン型温度データーロガーと、室内外の消費電力量を計測するための簡易電力ロガーを設置しました。また、断熱効果を検証するため、ワークショップ実施前の7月22日から8月26日にかけて、413教室の空調温度を28℃に設定して事前調査も実施しました。
事後調査では、ワークショップで使用した413教室と断熱を施していない412教室を比較しました。こちらが結果になりますが、だいたい5℃ほどの違いがあることがわかると思います。9:00~18:00の暖房がついている時間帯、413教室は、断熱実施前は412教室同様温度が低めでしたが、実施後は廊下側、窓側ともに腰の高さの温度が安定して20℃を超えています。また、天井付近は暖房を止めると温度が下がりやすいのですが、こちらも412教室と比べて413教室は夜になっても温度が下がっていません。結果として、413教室の断熱化は成功していることになります。
こちらは暖房が入る前の朝の時間帯に、412教室と413教室の壁をサーモカメラで撮影したものです。表面温度は5.3℃の違いが出ました。
この結果を踏まえて今年の4月1日、小学生向けに大学構内で断熱化の説明を行いました。学内の太陽光パネルを見てもらったり、断熱材の入った壁と入っていない壁を実際にさわってもらって温度の違いを感じてもらったりしました。
また、二重窓を施した発泡スチレンの壁でできた断熱化した部屋と、窓一枚、紙の壁の無断熱の部屋を用意し実験も行いました。実験前はどちらも空間温度が20.1℃だったのですが、両方の部屋にカイロを入れて30分ほど置いた結果、断熱化した部屋は無断熱の部屋より約3℃ほどの高いことを実際に小学生たちに見てもらい、断熱が省エネにつながることを説明しました。
|達成したことと今後について
ワークショップをして達成したことは、断熱について学生に知ってもらえたこと、また、今日のように外部発信する機会を多く設けていただき、意識啓発活動の幅が広がったことです。
今後についてですが、今年は隣の414教室を断熱化する予定です。また、秋に開催される朝日地球会議で、朝日新聞の方とも一緒に断熱改修を協力してやることになっています。こちらは10月の終わりに朝日新聞に記事が掲載されると思うので楽しみに待っていてください。また、春と同様、小学生向けの説明会も行います。今回は学生団体SONEだけでなく、一般学生も一緒に、小学生に対して説明をする予定となっています。学内の学生にもどんどん環境に対する意識が広まってきています。