マドレ式対話の場づくりラボ@オホーツク

開催期間:2019年12月1日~2020年2月22日/開催地:北海道北見市/参加メンバー:18名

【開催報告】第3日目 ⇒「第1日目~その1」「第1日目~その2「第2日目」

開催日程:2020年2月1日(土) /オホーツクラボ運営メンバー:櫻井由美子

12月に入っても1月に入っても、雪が降らなかったオホーツクに、やっと雪が降りました。

2月1日のラボに合わせて、東京から運営メンバーが来てくれる予定になっていたちょうどその日に、航空会社のホームページには「女満別空港発着便は全便欠航」との情報が掲載され(最終的には条件付きの運行になりました)、ラボの会場がある北見市に大雪警報も出されるなど、一時はラボの開催自体もあやぶまれる状況でした。

結果的には飛行機もぶじ着陸でき、参加する予定だったメンバーも全員集まることができ、本当にホッとしました。

開催があやぶまれるような状況はできることなら起こらない方がうれしいけれど、このようなイレギュラーな出来事が起こったことでメンバーが自分の状況や気持ちを言葉にしたり、お互いのことを思いやる機会にもなったように思います。

●オープニング

ラボの場で大切にしたいこと(グランドルール)を、まずはみんなで共有する時間を持ちました。

前回までのグランドルールに加えて、今回はオープニングを担当した運営メンバーから、

「実験してみる」

という新しいグランドルールの提案がありました。

わたしがその時に感じたのは、

  • わたしも、「ラボという場は、挑戦できる場であって欲しい」「『あー失敗したなぁ』と思うようなことがあったとしても、そこで得られる経験や学びに価値がある」と思っているなぁ。
  • 「挑戦」というと、なんとなく高い壁を必死でよじ登るような、それを乗り越えなければいけない! というイメージが自分の中に湧いてくるけれど、「実験」という単語からは、理科室で試験管とビーカーを傾けながらとりあえず混ぜてみようという気楽な感じがして良いなぁ。

ということでした。

「実験してみる」というグランドルールがみんなの真ん中に置かれたことで、ラボ3日目はたくさんの「やってみよう!」という場面が生まれたのではないかなと思っています。

●チェックイン

この場に集中するために、今話しておきたいことをシェアする時間を持ちました。

特に今回は前回のラボ(12/21)から1か月以上経っていること、その間に年末年始や子どもの冬休み(オホーツクの冬休みは長い!)を挟んでいたことから、ラボに集中して取り組む時間の確保やモチベーションの維持がむずかしいメンバーもいたのではないかなと感じていました。

だからこそ、今自分の中にあるものをいったん出して自分の中に空きスペースを作るこのチェックインの時間をとても大事にしたいという気持ちがわたしにはありました。

進行役の運営メンバーが、ジュースが目一杯入ったグラスにはもうそれ以上ジュースは注げないと例えてくれましたが、当日はわたしもラボメンバーと一緒に3人組になって話をすることができ、自分の中にあったグラスをいったん空にすることができたなと思います。

そして、スペースを作るだけではなく、自分の気持ちや状況をその場にいるメンバーに知ってもらうことでホッとしたり、相手の話を聴かせてもらうことでお互いの気持ちの距離感が近づくような感覚がありました。

●プログラムの理解~場の意図とデザイン~

ここではマドレ式対話の場としてこれまで10年間にわたって開催してきたNECワーキングマザーサロンのプログラムを題材に、場の意図を持つことや、その意図をもとにプログラムがどうデザインされているのかということをみんなで見ていきました。

たくさんの「ここにはこういう意図があるんじゃないか」「これがここにあることで話しやすくなるような気がする」等の意見が出され、自分ひとりでは気がつけない視点をそれぞれに出し合うことができました。

ここでの学びは、きっとこれからわたしたちがそれぞれに対話の場を作っていく中で、「ここはどうしよう?」と迷ったときに、

  • 迷ったら意図に戻る
  • 意図をもとに場をデザインしていく

という風に活かしていくことができると思いますし、私自身も迷ったときの指針として大事に持っておきたいなと思っています。

●進行役として場をつくる(ワーク進行編)

2つの輪に分かれて、ラボメンバーが進行役となって実際にみんなでワークをして、その後に全員で「進行してみてどうだったか」「参加者としてワークしてみてどうだったか」をフィードバックしていきました。

進行役を体験したメンバーからは、「台本を自分に落とし込んで自分のものにすることが大事だなと思った」「フリップやタイマーなどの小物も、今までそれほど意識していなかったけれど場づくりにとって欠かせないものだなと感じた」という言葉(ほかにもたくさん!)がでてきました。

参加者としてワークをしたメンバーからも、「話すスピードがゆっくりになったり調子が強くなった場面があった。メリハリがあって良かった。参加者にわかりやすいようにしっかり説明したいという進行役の意図があったのかなと思った」「進行役が壁の時計を見やすいようにと時計の真正面の位置に座ったため、窓を背にすることになった。逆光で進行役の表情が暗くみえたので、座る位置を工夫した方が良かったかもしれない」など、それぞれが感じた「良かったところ」や「もっとこうだったら良かった」を出し合うことができました。

進行役をやってみたから感じられることも、参加者としてそこにいたから見えたものも、どちらも貴重な体験としてみんなの中に残っていくのではないかなと思います。

●全体シェアリング

お昼休憩をはさんで、今度はテーマを変えて、二つのグループにわかれて話をしていきました。ここでのテーマは「ラボに参加してきて、今自分の中に起こっていること」です。

この時間は、ラボメンバーは(進行役ではなく)話し手となって自分の中に起こっていることを言葉にしていきました。

この全体シェアリングに入る前に、運営メンバーから

  • 今自分の中に起こっていることを話して欲しいけれど、「絶対本音で話してね!」ということではない
  • 「この場は安心安全な場だからさぁなんでも話して!」と話すことを強要するようなことがあるとすれば、それは安心できる場ではない
  • 話すか話さないかは自分で選んで決めて欲しい

というような話がまずありました。

自分が進行役になるときには、つい「本音を聴かせて欲しい」「なんでも話して欲しい」という気持ちがわいてくることがあるなぁ、でも「話さない自由」も大事にしたいな、話さない自由も大切にしつつやっぱり話してみたいと思うことは、そっと置けるような場をつくりたいな。そんなことを思いながら話をきいていました。

わたしは進行役として片方の輪の中に入り、みんなの中に起こっていることを聴かせてもらいました。自分と重なってすごく共感できる話もありましたし、自分の中にはない発想や思考だったために理解しようとして時間がかかった場面もありました。

それぞれに大切にしたいものや価値観が異なるからこそ、このひとが大切にしたいものは何だろう? この出来事やそこから生まれた感情の奥にある希望はどんなものだろう? 何が叶ったから、何が叶わなかったから、こういう気持ちになっているんだろう? ということを心の中に持ちながら聴かせてもらいました。

今までラボで扱ってきた、「相手のために話を聴く」「そのために自分の中に湧いてきたものはいったん脇に置く」ということに、わたし自身もチャレンジし続けた時間でした(集中し過ぎて疲れたー!)。

ラボメンバーにとってはどんな時間になっていたのか、ということはラボメンバーからの感想にゆずりたいと思います。

●振り返り&チェックアウト

最後に今日一日の振り返りと、今感じていることを聴き合ってこの日のラボは終了しました。

たくさんの体験・実験をして、わたしもそうですが、みんなの中でも何かが動き始めているようなそんな感覚がありました。

(文責:オホーツクラボ運営メンバー櫻井由美子)

「day3を終えて、の気持ち」(井田亜希子さん)