マドレ式対話の場づくりラボ@オホーツク

開催期間:2019年12月1日~2020年2月22日/開催地:北海道北見市/参加メンバー:18名

【開催報告】第1日目~その1

開催日:2019年12月1日(土) /オホーツクラボ運営メンバー:櫻井由美子

■午前の部

12月に入りいよいよオホーツクの寒さも本格的な厳しさを増してきたこの日、オホーツクラボの初日を迎えました。

マドレボニータが同年4月から6月にかけて取り組んだクラウドファンディング「マドレ式対話メソッドを次世代へ~8,386人と育てた10年の知見~」において、マドレ・オホーツク(有志メンバー)が「マドレ式対話の場づくりラボ」開催招致権を購入してから約半年。

マドレ・オホーツクメンバーを中心とするラボメンバー18人と、運営メンバー6人のあわせて24人のメンバーでオホーツクラボをスタートすることができました。

そして、この日はオホーツクラボの初日であるとともに、午前中(10:00-12:45)は一般の方にもご参加頂ける公開講座の日でもありました。

《公開講座》家庭や職場やコミュニティで、もっと聴ける関係をつくりたいあなたへ

オープニング

まずはオホーツクラボとはいったい何なのか? というオホーツクラボ開催に至る経緯をお伝えしたあと、3人一組でチェックインをしました。一人1分を目安にお名前や参加された動機などをお話頂きたかったので、1分ごとにタイマーならぬ熊除けの鈴を鳴らし、お知らせをしました。私は当日司会としてこの部分の進行をさせて頂きましたが、オホーツクならではの熊除けの鈴の音で、緊張していたわたしの気持ちもほぐれていったように思います。ご参加者のみなさまにも声を発したりほかの参加者のお話を聴いたりして頂くことで、少しずつ場の空気もあたたまっていく感じがしました。

(左)進行役:櫻井由美子(右)マドレオホーツク代表:川尻沙織

熊よけの鈴♪

第1部 「マドレ式対話」から見る、もっと聴ける関係づくり

前半の第1部では、認定NPO法人マドレボニータの高橋葉子さんと一緒に、マドレ式対話をひもといていきました。

マドレ式対話が生まれた背景である「産後」。産後に失われる「体力」と「言葉」。その産後に失われた言葉を取り戻し、社会とのつながりを取り戻すために生まれたマドレ式対話は、当初は産後女性に向けられたものではありましたが、実際には産後女性に限らず様々な立場や状況にあるひとが自分の思いに気づき一歩を踏み出すために有効なツールだと私は思っています。

ここで実際にマドレ式対話のプログラムをやってみよう! ということで、「シェアリング」というワークをやってみることに。

ここでのテーマは「私は、誰と、どんな関係をつくりたいか」です。

まずは1人で手を動かして絵を描きながら考えます。そのあと2人組になって話す聴くということを交替で行って、最後に全員で感じたこと気づいたことを分かち合います。

このとき2人組でやっていることは、本当にシンプルです。

話し手は、自分の心の中にあるものをひたすら言葉にする。

聴き手は、さえぎらずに聴く、要約する、メッセージを伝える。

文字にしてしまうとたったこれだけのことですが、たったこれだけの中にコミュニケーションの基本がつまっています。聴き手は話し手の話が終わったあとで要約しなければならないので、メモを取るのに必死になるということもあり、さえぎらずに聴くことが自然とできてしまうのがマドレ式対話の仕組みの一つです。

私も参加者のみなさんと一緒にワークをしましたが、たった3分聴いてもらっただけなのに、なぜかスッキリする。受け止めてもらった感じがする。そんな感覚を味わいました。

……とはいえ、日常生活の中で誰かの話を聴くときに、ペンと紙を持ってメモを取りながら聴いたり要約するということは現実的ではありません。実際には夫や子どもとの会話の中で何かを言われたらついそれに反応して相手の話にかぶせるように言い返してしまったりして、さえぎらずに聴くということは簡単ではありません。

そこで、さえぎらずに聴くための練習として、ここで、「話を聴いているときに自分の中で起きていることをみていく」そして「それを脇に置く」ということをしていきました。

ここでのお題は「最近あったイラッとしたこと」。

自分の中で起きていることを意識的にみていくと、相手の話をきいているようで、じつは途中から相手の話をきっかけに湧いてきた別のことばかり考えて相手の話はきいていないことに気づいてハッとしたり、ふだんの会話とはちがってただきいていれば良いという体験を通じて、いかにふだん「どう返そう……」というプレッシャーの中で相手の話をきいているかを感じたり。

限られた時間のなかではありましたが、第1部ではマドレ式対話の核となる部分をみなさんと共有できたのではないかと思っています。

第2部:呉さんに聴く ~対話が生まれる関係・チーム・コミュニティづくり~

私(櫻井)は、運営する立場でありつつも、今回のこの公開講座を本当に楽しみにしていました。それは、私自身が、相手と近い関係にあればあるほどぶつかることの怖さが先に立ってしまいコミュニケーションを取るのが難しい、本当はもっといろいろなことを話したいし話して欲しいと思っているのになかなかうまくいかないという思いを抱えていて、この公開講座できっとなにかヒントを得られるに違いないと考えていたからでした。

マドレ式対話を知ってそれを日常の中で活かそうとすればするほど空回りしてしまう。話を聴かせて欲しいと迫れば迫るほど、いやがられ、逃げられてしまう。どうしたら良いんだろう? 何か良い方法はないだろうか。

そう思いながら当日を迎え、第2部の呉さん(NPO法人CRファクトリー代表呉哲煥さん)のお話を伺っていました。

呉さんのお話の中で特に印象的だったのは、

・対話はツール・道具である。

・対話は相手との関係を良くするためのとても有効なツールだけれど、でもそれはすべてを解決する魔法ではない。

・関係性を築けていない家庭や職場やコミュニティに対話を持ち込もうとすればするほど、関係が悪化していくという可能性はあって、そういうときにはむしろ対話以外の方法でお互いを思い合う関係性をまずつくることで、そこから対話が生まれてくることがあるのではないか。

どうにかして対話しなければ、相手に話をしてもらわなければと焦るあまり、私は大切なことを見落としていたような気がしました。

どうして私はこの人に話したい、聴いて欲しいと思っているんだろう。

どうして私はこの人の話を聴かせて欲しいと願っているんだろう。

それは、自分の気持ちや状況を知ってもらうことが自分自身の安心につながっていたり、相手の話を聴かせてもらうことでより相手の気持ちや状況を理解し、相手を思いやることができると思っているからで、それはつまり、その相手がお互いに大切にしたい・されたい相手だからでした。

そうだとすれば、たとえ対話からスタートすることはできなかったとしても、まずは相手を大切に思う気持ちを持ちながら関係性を築いていくことはできるかもしれない。そうする中で、対話を諦めるのではなく、長い目でみて対話できる関係をつくっていけたらそれでじゅうぶんかもしれない。

第2部の呉さんのお話をききながら、そんなことを思っていました。

~午後の部へつづく~

呉さんに公開インタビュー!

感想を2人組でシェア

全体で感想や質問を共有

最後に全員で記念撮影!