共知塾設立趣意書

超少子高齢化に伴う労働力の補填や,介護対策,地域活性化,そして,With Covid-19社会への適応という要求も追加されての社会のDX化が求められる現在,巨大化及び複雑化が加速しているサイバー空間を起因とする混乱は,人類にとってもはやサイバー空間に留まらず,実生活全般への脅威となっている.そして,本来有用な道具であるはずのITに人が翻弄される状況が加速的に進行しており,人間社会崩壊となりかねない状態にあり,現時点でのAI技術もこの流れを加速させる要因となってしまっている.

このような状況において,膨大な実空間の情報をサイバー空間に取り込み,AIによる統合的な処理を行い高い効率性や生産性の実現による超スマート社会の実現を目指すSociety 5.0は,日本が進むべき正しい方向ではあるものの,社会(Society)は一人一人の社会活動から創発される実体のない概念に過ぎず,社会への過度な注目は肝心の個々人を覆い隠してしまう懸念も併せ持っている.注目すべきは社会(Society)ではなく,社会を構成する一人一人個性の異なる人間でなければならない.

この混乱した状況を元に戻すことは不可能であろうが,新たな調和へアップグレードすることはできる.その鍵となるのが,「人」と「人から信頼された次世代AI」との共生社会の実現である.そして,人と次世代AIとの共生が成熟した,実社会とサイバー空間が融合した社会の実現を目指すことを目的として,共生知能創発社会研究センターが設立された.

「共知塾」は,共生知能創発社会研究センターに設置された勉強会であり,多様な産学官分野に所属する会員で構成され,人とAIが共生する社会の実現に向けた学際的な議論を行うことを目的とした,「お互いを知る場」であり,「偶発的発見の場」であり,「現場を知る場」であり,これを通して「イノベーションを起こす場」である.


2022年1月13日