2019年 夏

2019年夏号の配信ごあいさつ

日本技術者教育認定機構(JABEE)では皆様にJABEEのことをもっと知っていただくためにメールマガジンを配信させていただいております。

2019年度から富田新会長によるあたらしい体制となりました。引き続き技術者教育に関する話題を発信してまいりますのでよろしくお願いいたします。

リンク先 ⇒ 富田新会長のご挨拶


1.JABEE認定プログラム修了が途上国の開発事業で求められる事例も

5月30日付け日刊工業新聞に「建設業務管理で評価」「技術者認定 途上国開発で証明」と題し、技術者の海外での活動に、JABEEのプログラム認定が役立った事例が紹介されました。

建設・開発コンサルティング会社の(株)オリエンタルコンサルタンツグローバルがモザンビークでの公共事業の建設案件に関し、その管理業務を行う技術者は現地で10年の勤務経験とワシントン協定加盟団体の認定プログラムの修了生であることが求められました。担当技術者は卒業した大学がJABEE認定を受ける以前だったのですが、認定プログラムと同じ学科で同等の教育を行った旨の説明文書をJABEEより提出したことで、案件対応ができました。

この記事に関連し、日刊工業新聞の関連サイト「ニュースイッチ」の解説記事をご覧ください。

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2.技術士資格

技術士第一次試験に合格した人、またはJABEEの認定プログラム修了者は通常7年の実務経験をつむことにより技術士第二次試験を受験でき、合格して登録することで「技術士」になることができます。

2018年度 技術士第一次試験の合格率は 37.8%でしたので、JABEEの認定プログラム修了者はこの第一関門を省略できます。

また、第二次試験の受験者全体に対する合格者全体の平均年齢は 43.2歳ですが、JABEE修了者は32.0歳と11歳若く、早くから技術士として活躍することができます。

3.2018年度は長浜バイオ大学の3プログラムが新規認定されました

長浜バイオ大学 バイオサイエンス学部

・ アニマルサイエンス学科 アニマルバイオサイエンスコース

・ コンピュータバイオサイエンス学科 コンピュータバイオサイエンスコース

・ バイオサイエンス学科 バイオサイエンスコース

長浜バイオ大学

  • 2019年5月29日の認定証授与式で、蔡学長から次のようなお話をいただきました

長浜バイオ大学は2003年にバイオサイエンスに特化した大学として日本で初めて開学した大学で、滋賀県琵琶湖畔にあります。世界最先端の研究を行い、これを基盤にした最高の教育を行う、そして地域社会の問題に対応できる中核大学となることを目指しています。

中教審の答申に従い2014年度から教育改革に取り組んできました。技術者、研究者を育成するためにJABEE認定を受けることで教育の質を一段あげることにしました。

誰もJABEEを知らない状況の中、審査員の経験のある学内の先生などのアドバイスを得てスタートしましたが、当初は学内の反対が強くありました。しかし先生方に認定によるメリットを細かく説明を行い、認定を受けることで教育の水準も上がり、学生の為になることを理解してもらうことができ、JABEEの取組により教員の意識も変わりました。

AI、データサイエンスとともにバイオサイエンスも早いスピードで進んでいます。学生もこれに対応できるようにJABEEのシステムを生かして教育システムを発展させて行きます。

蔡学長

4.東京工業大学がJABEEの暫定認定を取得しました

東京工業大学はJABEE認定取得の準備を進めており、2018年度は2プログラム(機械系、電気電子系)が、準備段階として暫定認定を取得しました。


  • 2019年5月29日の社員総会で岩附工学院長からJABEE認定に向けたねらいについてお話をいただきました。

東京工業大学では2016年から教育改革をはじめ、すでに組織改革については完了しました。その改革の重要な柱として国際認証を得なければ教育改革が成り立たないとの認識を深めました。そのため学内ではいろいろ反対もありましたが、JABEE認定を受けることにしました。教育改革としての成果を早く出さなければならいため、まだプログラムの修了生(卒業生)がでていなかったこともあり予備審査を受審しました。教育には自信をもっていましたが、第三者としてのJABEE審査にて指摘、助言を受けて教育の体系を直してゆかなければいけないことを痛感しました。早い機会に本審査を受けるように取り組んでゆきたいと思います。

東京工業大学

5.JABEEフェローができました

2018年度よりフェロー制度を設立し、審査員や各種委員会の委員として長年に亘り携わっていただいた39名の方をJABEEフェローとして顕彰しました。そのうちの22名の方は企業出身者です。企業を離れた後でも「JABEEフェロー」の肩書で、継続してJABEEの活動に協力いただけることを期待しています。

フェロー総代の 淺見様(写真左)

  • 土木分野でフェロー認定を受けられた守分敦朗様(Mテクニカルソリューション合同会社 代表)からのメッセージを紹介します。

私は、大学の土木分野の学科を卒業後、建設会社に40年ほど勤めてきました。この間、いろいろな業務をしましたが、その中でも重要だったのは後輩や部下を育てることでした。しかし、今振り返ると思い通りにならないことのほうが多く、人を育てること、技術者としてさらに成長させることの大変さを改めて感じています。技術者の成長プロセスは、例えば最初の数年間は高等教育機関で教育を受けたのち社会に飛び立ち、その後何十年も社会の様々な環境で磨かれて、やがて一流の技術者に育っていくことが想定されます。このプロセスの中で、最初の段階にある教育機関での学習はその後の方向性を定め、自ら社会に立ち向かうためのスキルを鍛えるために、大変重要な時期にあると思います。

若い技術者に対する教育は多様であり、絶対的に正しい方法というものはないと思います。私が接した各教育機関の指導者は、学生がより成長するように絶え間ない努力を行っておられました。この先生方の絶え間ない努力に対して、私も参加させていただいたJABEEによる客観的な評価は、先生方の活動の大きな助けになったと思います。

一方で、多くの企業は各教育機関のJABEEを利用した教育に対する努力に、十分な理解を示してきませんでした。私の所属した企業でも、学生の採用に当たってJABEEの認定プログラムを修了したか聞くことはありませんでした。企業側には、「最終的には自分の会社で技術者を育てる」との意識が強いと思いますが、昨今、大学から社会につながる部分で、早期に躓いて退職する学生が多いことも考えると、企業こそ「教育機関から実社会まで一貫した人材の育成」のために、大学教育にもっと目を向ける必要があると思います。

守分敦朗様

6.事務局だより

JABEEは1999年11月19日に発足し、本年で20年を迎えます。これまでに国内で172教育機関の505プログラムを認定し、修了生の累計は30万人を越えました。20周年記念行事として11月26日シンポジウムを開催することで準備を進めています。大学と企業のそれぞれにおいて指導的な役割を担われている方から『JABEEへの期待』と題する基調講演をいただき、それに続けて国際協定関係者、大学関係者および国際機関の関係者に加わっていただき「国際認証の役割と課題」についてパネル討論を行います。

編集後記

メールマガジン夏号を配信させていただきました。まだ不足な点が多々あるかと思いますが、有効な情報発信を進めてまいります。みなさまのご意見、ご要望等をお寄せくださいますようお願いいたします。

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