秋の気配も次第に濃くなってきましたが、新型コロナウイルス感染症によりマスクが手放せない日々が続いております。今回のメールマガジンでは、株式会社キャンパスクリエイトを経営をされている安田社長にお話を聞く機会をいただきましたので、ご紹介させていただきます。
キャンパスクリエイト(安田耕平 社長)は、「お客様の課題解決をオープンイノベーションで実践する広域TLO※1」をミッションとして、企業のニーズにあった大学の研究(シーズ)を提供することを目的に1999年に電通大内に設立した企業です。
主な業務としては、大学発特許の技術移転のコンサルティングを行っており、電通大のみに留まらず他大学75校と連携しています。その結果、これまでに、企業と大学、自社との三者での共同研究は1300件以上、また、公的資金による産官学連携も約120件以上の成果を出しております。
設立当初は、国の助成制度を活用して専門家の派遣等の支援を受けていましたが、なかなか上手く行かなかったそうです。これは、企業と大学をマッチングさせるコーディネーターの役割が大きく占めており、この役割を担う人材の育成により事業が順調に伸びた経緯があるとのことです。
コーディネーターは技術に先入観を持たない人材、企業と大学の間を取り持つことが出来る人材で、これらの方々は、長期に事業に向き合うことで、その分野に対する知見が深まっていると安田社長は考えられています。
このため採用後に、営業、技術、コーディネートなど全般を習得して、さらに真摯に取り組むことが企業との信頼関係を築く上で一番重要なことであるとのことです。
次に対応力ですが、これは高校生が進学で大学を文系、理系に選択するときに決まり、その流れに沿って就職してしまうことが多いかも知れません。しかし、それだけでは社会で通用しないと感じているとのことです。これは、海外の学生と比較すると日本の学生は、「プレゼン能力」や「ディベート能力」が弱いと感じており、この理由は機会が与えられていないためではないかと考えているそうです。
これを解決するには、広く浅く学び、それがきっかけとなり学生がある専門分野に興味を持つことによって深く学んでいく。これが本来の姿ではないかと考えているとのことでした。
このためには、大学も上記のカリキュラムを追加する必要がありますが、限られた単位数の中では現実的に困難であり、大幅な見直しを行わないといけないとのご意見でした。
これからは、大学においてカリキュラムを見直す時にJABEEが要求する (e)デザイン能力、(f)コミュニケーション能力※2に取り組んだ授業を強化し、このような能力を身に付けた学生に社会で活躍してもらいたいとのご意見をいただきました。
※2 JABEEプログラム修了生が身につけているべき知識と能力(a)~(i)より
【 参考URL https://sites.google.com/jabee.org/koho-magazine/top/back-number/2018-11 】
JABEEでは、長年JABEE認定・審査、委員会活動に携わり、JABEEの発展に多大な貢献をされた方をフェローとして認定し、更なるJABEE発展へのご協力をお願いしています。
この方々にご参加をお願いして、今回初めてとなる「JABEEフェロー懇談会」をウェブ会議方式にて実施しました。2019年度までに認定された65名のフェローの中から31名の方にご出席いただき、現在ある日本の技術者教育の課題から、それを踏まえた今後のJABEEの活動まで、幅広い活発な議論が行われました。ここでの主なご意見は以下となります。
・知識偏重の教育から、新しいものを作り出すための知識を活用する教育へ変革
・新たな教育へのJABEE認定基準の変革と企業と大学をつなぐJABEEの役割の拡大
現状、高等教育を修了するだけでは企業で即戦力となる技術者にはなれません。JABEEでは、今後、少しでも早く社会で活躍できる技術者教育の実現に向けて取組んでいくために、フェローの皆様にご協力いただきたいと締め括られ、フェロー懇談会を終了しました。
JABEEのユーザーである企業や大学の声を反映させることを目的として、今回はキャンパスクリエイト 安田社長と面談をすることができました。現在のコロナ禍において快くお引き受けいただいた安田社長に感謝するとともに、今後も現場の声を反映させたメルマガをお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
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