2018-11

2018年11月号配信のごあいさつ

JABEEメルマガ第3号をお届けします。

2018年も残り少なくなってまいりました。みなさまご清祥のこととお慶び申し上げます。 たくさんの方々にJABEEを知ってもらおうと、2018年5月にメルマガの配信を始めさせていただきました。早くも第3号になります。

本号では,みなさまには見えにくいJABEEの日常的な活動を報告させていただきます。また、活動紹介にも関連しておりますが、新しく改定いたしましたJABEEの新パンフレットを紹介いたします。JABEE事務局長から,日常的な活動の一端をコラムとして紹介いたします。

JABEEは技術者教育の国際的な相互理解を深めるため、そして日本人技術者の国際的な付加価値を高めるために継続的に活動しております。みなさま、本メルマガを活用いただき、JABEEとJABEEプログラム修了生のご理解を賜りたくよろしくお願いいたします。

1.JABEE認定とは

【第3回】

認定プログラム修了生が身に付けている能力・知識

JABEE認定基準では修了生が9つの能力・知識を身に付けていることを要求しています。工学教育の根幹と思われている専門分野の科学技術の能力・知識は、(c)と(d)だけです。その他の7つの能力・知識は科学技術の能力・知識を使ってエンジニアとして活動するための基本的な能力です。

このうち近年特に求められているのは、次の2つの項目でしょう:

(b) 技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、及び技術者が社会に対する 貢献と責任に関する理解の能力

この項目は、技術者倫理、すなわち、技術と自然や社会等との係わり合いと技術者の社会的な貢献と責任の理解を示しています。ここでいう理解とは、知識の修得だけでなく、どう行動すべきかを正しく認識していることを意味しています。技術者として必要な責任ある判断と社会貢献を含む行動の準備をさせることが重要であり、多くの機会を捉えて学生に自ら考えさせることによって得られる実践的な倫理について、次のような理解と能力の修得を求めています。

  • 当該分野の技術が公共の福祉に与える影響の理解
  • 当該分野の技術が、環境保全と社会の持続ある発展にどのように関与するかの理解
  • 技術者が持つべき倫理の理解
  • 上記の理解に基づいて行動する能力

最近、いくつかの企業による技術や情報の不正問題が多発しています。その防止のためには技術者がここに規定されている能力を身に付けていることが必須です。

(g) 自主的、継続的に学習する能力

いま第四次産業革命と言われAIなどの新しい知識や、技術融合が必要とされる時代になっています。大学で学んだ専門分野の科学技術の能力・知識の賞味期限は5年程度と言われ、その先は生涯にわたって自分で新たな知識や適切な情報を獲得し、自主的に継続して学習することが必要です。そのため、講義、卒業研究、実験、実習、演習、宿題等を通して、自発的で継続的な学習の習慣を身につけ、次のような能力の修得を求めています:

  • 将来にわたり技術者として活躍していくための継続的研鑽の必要性の理解
  • 必要な情報や知識を獲得する能力

【参考図書】遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方、2018/4/25 トーマス・フリードマン (著)

2.インタビュー

今回は2名の方のインタビューをご紹介いたします。

JABEEの認定プログラムを修了後、技術士の資格を取得し、技術者として河川の減災、防災関係のお仕事をされている方のインタビューです。

髙阪 加奈代 様

JABEE認定プログラムの審査員ご経験もある豊橋技術科学大学の先生に、最近の大学の状況を含め、インタビューさせていただきました。近日中に公開予定のページです。

寺嶋 一彦 様

3.JABEEパンフレット

皆様にJABEEのことをもっと知っていただくために広報活動をすすめており、パンフレットを更新いたしました。

JABEEウェブサイトからPDFファイルでも閲覧ができます。

JABEEパンフレット

印刷されたパンフレットをご希望の方はこちらをご参照下さい。

広報・普及活動>刊行物

4.JABEEの活動

(1) 2019年度からの認定基準改定

JABEEはプログラム認定を行うためのルールや基準を定めています。

時代の進化とともに工学系教育も少しずつ変化してきています。これに合わせ検討を重ね、新基準では、従来細分化されていた審査項目を統合し、受審側/審査側の負荷軽減と審査の質の向上につなげるとともに、修了生の学修成果保証を主眼とする教育が継続的に改善される仕組みの確認を重視しました。

来年度から新基準で審査を行います。このため高専、大学のプログラム関係者や審査員の方々にこの改定の内容をよく理解していただくための認定基準改定説明会を全国5ヶ所で実施します。

第1回が11月20日東京の芝浦工業大学で開催され、約80人の出席がありました。JABEE有信会長から改定の趣旨が説明された後、2時間にわたり改定のポイントの解説があり、さらに出席者からの質疑応答が行われました。

第1回 認定基準改定説明会

(2) ワークショップ

JABEEでは『教育の質保証システム』をよりよくしてゆくことを目的としたワークショップを開催しています。

今年度2回目のワークショップを9月15日に開催しました。

メインセッションとして東北工業大学 大石加奈子先生にコミュニケーション力向上のポイントや、話し合い学習のやり方等について、先生の研究結果をもとに解説いただきました。

コミュニケーション力を向上させるための研修は企業でも行われています。SNSや携帯メールによるコミュニケーションが主流の今の学生に対して、学生が主体的に動けるようしてゆくコミュニケーションスキルについての説明をしていただきました。学生が自発的に活動できるようにしてゆくやりかたは会社での上司と部下の関係でも使える興味深い内容でした。

次回のワークショップは12月15日(土)に開催いたします。→ 詳細

ワークショップ

5. JABEE事務局だより

日本経済新聞社主催 大学の約束 トップメッセージフォーラム2018 『グローバル化・第4次産業革命が進む社会を担う理工系人材をどう育ててゆくか!?』を聴講しました。

国立、私立の総合大学、工業大学 計4大学の学長・総長から次代を担う理工系人材の育成について、それぞれの大学での取り組みについてのプレゼンがありました。

私が大学に在学していた当時(1970年代)は、数名の留学生は在学していたものの、海外研修、インターンシップ、産学連携などの言葉は聞かなかったように思います。プレゼンでは各大学とも3学期制、4学期制として数ヶ月の期間、授業の一環で海外留学/研修で海外の大学や研究機関に行ったり、インターンシップにて企業での実務経験を積むことができる仕組みがあること、また産学連携にて企業の技術者とともに研究することができるとの説明はとても興味深いものでした。

IT化、AI、IOTと技術が日々進化する中で、学校を卒業した学生が技術者としての活躍の場となる企業でも、更なるチカラを発揮することを期待されています。

このフォーラムでは変わりゆく大学を知る良い機会となりました。(事務局長 三田清文)

編集後記

"JABEE"を多くの方に知っていただけるように、メルマガ第3号を配信させていただきました。第2号のアンケートではシステムの設定が悪く、一部の皆様にはご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。まだ不足な点が多々あるかと思いますが、有効な情報発信を進めてまいります。みなさまのご意見、ご要望等をお寄せくださいますようお願いいたします。

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