2021年 春

2021年春号の配信ごあいさつ

今年の桜の開花は平年よりかなり早く、気象庁の発表では3月11日に広島県で開花し、桜開花前線は北上して一番遅い札幌が4月27日の予想となっております。また、新型コロナウイルス感染症により10都府県に緊急事態宣言が出されていましたが、首都圏を最後に3月21日解除されました。この状況が一日も早く解消され、平穏な日々が取り戻せるよう心から願っております。

新年度を迎えるにあたりまして、引き続き皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

1.國學院大學経済学部 教授 髙橋尚子 様

今回は、JABEE理事で、國學院大學教授、情報処理学会理事でもある髙橋尚子様に文理融合についてお話を伺いましたのでご紹介させていただきます。

髙橋様は、富士通(株)に女性SE(システムエンジニア)第一期生として入社し、その後、当時のスタートアップ企業であった(株)アスキーに転職、後にナウハウス(有)を起業されています。現在は、國學院大學の教員として教鞭も取られており、経営者・教育者として、豊富なご経験や知識をお持ちです。

*文理融合型学部について

高校では、大学進学を決めるときに文系と理系のどちらを志望するか?を選択して進学先を決めるため、高校の時点では文理融合という考えを持っている生徒は少ないのではないかと思います。

特に情報関連の教育を行っていると、経済学部経営学科の学生は、データサイエンス等に馴染みやすいと感じています。それは、経済や経営を学んでいる学生は理系に向いていることを意識していませんが、やって見て自分自身がはじめて理系的な考え方をしていることに気づくようです。

この解決策として、文系大学と理系大学がアライアンスを組んで、1つのプロジェクトで課題解決型学習(PBL)を行い、単位互換ができることが理想だと考えます。このようにして文理融合を進めていけたらとよいと思います。

*企業とデータサイエンス学部修了生の関係について

各大学ともに最近はデータサイエンスのカリキュラムを新設していますが、受け入れ先である企業側に2つの課題があると思います。

まず、企業にはデータを専門に扱う部署がない。このため、どのような部署に配属してよいかわからない。次に、まだ卒業生が少ないこともあり、能力評価が正しく行えるか、メンターとなるような上司も少ないことが、ボトルネックになっていると思います。このため、まず企業に在籍している方が、データサイエンスを理解していただくことが大切ではないかと思います。

最後に、文理融合の教育を修了した人材は、多彩な人と触れ合い、アクティブラーニングなどを経験し、リーダシップ、ファシリテーション、コーチングなどの能力を基礎として、その上にマネジメント力が身に付いているように感じます。社会に出たときに、非常にバランスの取れた人材であり、上流工程に向いていると考えます。さらに、工学やデザイン等も学んでいれば現場(モノ)も社会(コト)も理解することができるのでは?と考えています。

2.意見交換会のご紹介

新型コロナウィルス感染症の影響で2020年度以降しばらくの間、実地審査は原則的にWebを利用して実施します。こうした事情を踏まえ、2月22日に開催した審査員研修では、「Web審査に関する意見交換会」としてWebを利用した審査の手順に関し、審査員の方々との意見交換会を行い、Web審査の留意点、工夫、問題点、改善提案に関する情報共有を行いました。

昨年12月に行った審査で、実際にWeb審査を経験された審査チームから2名の方(建築分野、土木分野)に事例紹介をしていただきました。また、意見交換では、事前アンケートで審査員の方々からいただいていた質問に対し、佐藤之彦認定・審査調整委員会委員長から分かりやすく説明をしていただきました。

この意見交換会の動画は、当日参加できなかった審査員の方々や受審プログラムの方々にも視聴していただけるように、JABEEのWeb講習サイトにて公開しております。ご関心をお持ちの方は、JABEE事務局までお問合せください。

3.2020年度プログラム認定審査

2020年度の技術者教育プログラム認定・審査が終了し、2プログラムを新規認定しました。また予備審査では1プログラムを暫定認定としました。

結果は2020年度JABEE Webページの年度別新規認定プログラム を参照ください。

〇 新規に認定されたプログラムの教育機関名とプログラム名

・宇都宮大学 地域デザイン科学部 社会基盤デザイン学科

・函館工業高等専門学校 専攻科 社会基盤工学専攻 社会基盤工学プログラム

〇 予備審査による暫定認定プログラム名

・東京都市大学 知識工学部情報工学部 情報科学科

今年のプログラム審査は、新型コロナ感染症による影響によりウェブ会議による審査で行いました。2月26日に開催した認定会議において審議・確認された後、3月3日開催の理事会で報告・承認されました。

尚、2020年度に予定していた認定継続および一斉審査につきましては審査スケジュールを1年遅らせて進めています。


事務局だより

ジェンダーバランスについて

JABEEの理事会についても、ジェンダーバランスを向上させることにより、多種多様な意見が出され、イノベーションが生まれることが期待出来るのでは?ともアドバイスをいただきました。今回初めて女性の理事にお話しを伺い、ご意見をいただきましたが、JABEEの事業を活性化するにもこのような考え方も必要であることを痛切に感じました。(谷)

編集後記

メールマガジン2021年春号を配信させていただきました。まだ不足な点が多々あるかと思いますが、有効な情報発信を進めてまいります。みなさまのご意見、ご要望等をお寄せくださいますようお願いいたします。

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