やればできる

 「 やればできる 」


 皆さんは、「やればできる」と思ったことがありますか。

 私は、生まれつき目に障がいがあり、ずっと見えにくい中で生活してきました。地元の小・中学校で過ごしてきた私は、今まで「やっても無駄」だとずっと考えて過ごしていました。

 小学校の頃は、友達もたくさんいました。私は、体を動かすことが好きで、外で遊び、小学四年生からはバスケットも習っていました。勉強の方も単眼鏡を使いながら行っていました。単元テストだったため、勉強もできていました。特に困ることはありませんでした。

 中学校に上がってからも友達はいて、最初のうちは、授業にもついていくことができ、楽しく学校に通っていました。ところが、中学一年の秋ぐらいから授業のスピードが速くなりました。それまでのように単眼鏡を使って何とかついていこうとしました。ですが、先生が黒板に書く文字が多く、しかも話しながら書くようになりました。授業の内容が入らず、授業に集中することができなくなりました。やってもやってもついていけず、テストの点が取れなくなりました。そして、いつからか「自分はバカだ。勉強なんてやっても無駄だ。」と思うようになりました。それからというもの、学校に行く日が少なくなり、中学三年生の一学期の途中からはほとんど学校に行かなくなりました。

 しかし、そんな私が唯一学校に行っていた日がありました。それは、盲学校のつばさの巡回相談と通級がある日でした。その二つは、午後にあることが多く、その時間に合わせて登校し、その授業が終わるとすぐ帰るようにしていました。

 中学二年の三学期のつばさ巡回相談のとき、盲学校に高等部があることを知りました。私はもともと、小学校を卒業したら盲学校に入りたいと思っていました。しかし、視力が上がっていたため、入学はできませんでした。でも、高等部ならいけるかもしれない。勉強なんてやっても無駄とあきらめかけていた今までの自分とは違う、新しい自分が見えた気がして、盲学校の受験を決意しました。

 高等部に無事合格し、入学してみると、最初はとても緊張し、不安な気持ちでいっぱいでした。一番不安だったのは、この先、三年間もここで勉強を頑張ってやっていけるだろうかということでした。中学校の「やっても無駄だった」経験が心の奥によみがえっていたからです。

ですが、その不安は、すぐに消えました。盲学校の先生方はとても優しく、丁寧で、分かりやすく教えてくださいました。授業にも集中して取り組めるようになりました。そして、久しぶりに授業が楽しいと思えるようになりました。そのうち、だんだんと自分にも自信がつき、「勉強を頑張ろう」と思えるようになりました。

 高等部に入っての初めての中間テストでは、今までで一番勉強したといえるほどたくさん勉強しました。結果は、中学校の自分では、考えられないような点数を取ることができました。

「やればできた」

とても嬉しかったです。それからの中間・期末テストも点数が下がることはありましたが、中学校の時のような絶望的な点数を取ることはなくなりました。

 その経験から、私は「やればできる」という言葉と「頑張っていれば、必ず結果はついてくる」という言葉の本当の意味が分かりました。「頑張っていれば、必ず結果はついてくる」という言葉は、あるアニメのキャラクターの言葉です。本当にその通りだと、身をもって実感することができました。

 これからも、この言葉を忘れずに、いろいろなことを頑張っていきたいと思います。

ご静聴ありがとうございました。