【卒業論文】
高校生の楽しめる「八戸市中心市街地」に向けて
- 社会性を獲得する場の構築 -
【卒業論文】
高校生の楽しめる「八戸市中心市街地」に向けて
- 社会性を獲得する場の構築 -
宇佐美優斗
現在の「高校生」が街で心から楽しめているか?しかし答えは NO であった。
八戸市中心市街地を訪れても、マチニワ施設内の階段に座っているだけの姿が目につき、衝撃を受けた。「マチニワ」「はっち」など行政が設置した施設では若者向けイベントを実施しているものの、若年層に受け入れられているとは言い難い。人間が生活する重要なものの1つが「プライベート」の充実である。中心市街地は来街者にとってコミュニケーションの機会を与えるという機能を持っており、中学時代に比べ行動範囲が広がる高校生にとって八戸市の全高校生同士の交流の場となる。そこで共有の趣味をもつ仲間と出会い群れるだけで終わるのではなく、そこから他の趣味をもつ人と繋がり、学力格差関係なく豊かな人格形成を自然とプライベートの充実に繋がると考える。結果として高校生の地元定着、地元の企業等への優秀な人材確保も期待される。既存の施設である「チーノ」や「マチニワ」などを高校生の活動拠点として活用し、またリモート配信(リモート内クラブ)の試行により、放課後や休日など気軽にプライベートで立ち入り可能な、交流拠点の分散化の可能性について考察する。これにより、将来的に高校生が地元を愛し、八戸中心市街地が高校生同士で社会性を獲得する場の構築に繋げることを目的とする。
【卒業論文】
青森県南部地方および周辺の伝統文化・手仕事の継承
~南部菱刺しを事例に~
小笠原緋里
地方にはさまざまな伝統文化・手仕事がある。暮らし方や気質の違い、技術の発達と共に役割は薄れていき、今では伝統工芸品・手仕事を行う人はほとんどいなくなってしまった。江戸時代、農民は麻と木綿しか着ることを許されず、南部地域は冬の寒さが厳しく綿花が育たない中、麻で衣類を作らなければならず、布の機能性を高める目的で、糸を刺していったのが南部菱刺しだ。平織り麻布の縦の織り目に対し、規則的に偶数の目を数えて刺していくことで、横長の菱文様を作り出す。伝統文化・手仕事について「美しさ・手軽さ・細やかさ」が魅力・良さであることをより多くの使い手に知ってもらい、高級品としてではなく、日用品のような身近なものとなる「カタチ」を創る。各地にある伝統文化・手仕事に関するアンケート調査・取材により、使い手側に対する作り手側の情報発信に関する現状と問題点を明らかにし、伝統文化・手仕事を継承していくための仕組み作りに繋げる。
【卒業論文】
風間浦村の伝統行事の保存と継承に向けた体制の構築
〜易国間地区大石神社祭典を事例に〜
獅子内陽
風間浦村の伝統行事への参加は地域の自然やその恵みに対する感謝の気持ちの素晴らしさを知ると同時に、同村の住民や出身者にはもう一度自らの地域を見つめ直す機会にもなると考えられる。更に同村の住民が自発的に伝統行事に参加し、取り上げていくことにより、他地域の住民に対しても伝統行事の良さを広めていくことでIターン・Uターンに加え、祭りへの参加者の増加といった交流人口の増加が、ひいては定住化につながる可能性があるのではないか。
こうした伝統行事への参加によって、住民同士の連帯感、郷土愛や地域への誇りを育むと共に人々を繋ぐ役割を発揮し、交流人口の拡大により伝統文化が盛り上がることで、同村の活性化にも繋がるのではないかと考えている。同村内で何百年も受け継がれている伝統行事はその土地で生きた人たちの誇りや思いであり、後世に向けて保存・継承していく事が重要である。保存に向けて必要なことは地元出身者、転出者、近隣の地域の協力が必要であり、様々な人々が長い時間かけて築き上げた歴史ある行事が簡単に無くなることのないように、伝統行事の由来や伝統な技術などが失われることを避けなければならない。本研究では今後の伝統行事の保存・継承に向けた自治組織主体とは異なる新たな体制の構築について考察する。
【卒業論文】
おいらせ町定住化への現状と課題
〜町民意識調査の分析から〜
成田顕士
我が国は、戦後復興期の地方の若者による東京圏への人口集中により、地方の人口減少が問題視されてきた。それに対して、国、自治体が対策として、「全総」、「定住自立圏構想」、「まち・ひと・しごと創生法」が行われてきた。しかし、いまだ多くの自治体が人口減少問題に悩まされている。地方の人口減少が深刻化する中、青森県内市町村の人口動態を見ると、近年おいらせ町は人口増加傾向にある。また、隣接している八戸市や十和田市、三沢市などは人口が減少している。東京圏への転出による地方の人口減少問題が深刻化する中で、なぜおいらせ町では、他市町村と比べて人口が増加しているのか、その要因を明らかにし、今後の同町の定住化に繋げることを目的とする。同町の人口増加の段階において「定住化」に繋げることは、重要なことであり、現在に至るまで上記のように多くの定住施策が行われてきたが、では実際はどうなのか住民の定住意識は高いのかを確かめる必要がある。それにあたり、同町の平成25年、平成28〜令和元年までの「町民意識調査」のデータをもとに、同町の居住地区満足度に着目し、定住志向を分析・考察する。