本研究は、障害のある子どもの母親にとっての就業継続およびワーク・ライフ・バランスを支える、あるいは阻害する背景を、母親らの生活時間(time use)の観点から明らかにすることを目的としています。日本では、発達障害等を中心に、「通級による指導対象」として、または特別支援学級に在籍する児童生徒の人数、割合がともに増加傾向にあります。一方、障がいのある子を取り巻くDEI(Diversity, Equity, and Inclusion)に関する課題はその子らだけのものにとどまりません。現実には、子どものケアに関わる家族の社会的、経済的活動にも大きな影響が生じます。とりわけ、現在でも性別役割分業の根強い日本では、その子らの母親への大きな負荷が予想されます。
そこで、本研究では初中等教育段階の子のいる母親のあいだで、子どもの障害の有無、母親の就業状況、またそれらの組み合わせによって、生活時間の状況がどのように異なるのかを検証することを目的とします。子どものケアの時間の長さや、ケアの内容の違いによる生活時間の断片化(他の活動や睡眠など)が、母親の置かれる状況によりどの程度異なるのかを明らかにしてゆきます。また、母親が利用可能な公式、非公式のサポートとして何が考えられるのかについての示唆を得ます。これらの知見をもとに、発達障害のある子どもの母親にとっての就業継続およびワーク・ライフ・バランスを支える、あるいは阻害する背景を明らかにすることが、本研究の最終的なねらいです。
本研究は、2023年度(令和5年度)日本経済研究センター研究奨励金の支援を受けて実施しています。
石田賢示(東京大学社会科学研究所)
別府崇善(東京大学大学院教育学研究科)
Azzarina Zakkaria(Universiti Teknologi MARA)
2026年2月に、調査会社の登録モニタを対象とするウェブ調査を実施しました。
こちらのページ(石田のGitHubにリンクします)から、主要な調査結果をまとめたレポートをご覧いただけます。