第1波(2020年2月)調査速報
第1波(2020年2月)調査速報
このプロジェクトでは、日本国外で働く若年・壮年日本人の方を対象に、2020年1月にウェブによるアンケート調査を実施いたしました。第1回調査(2020年1月)時点で、日本国外で働く50歳未満の男女日本人の方が対象です。
調査対象者は、主に2通りの方法で募集いたしました。1つは、Facebook上での広告です。20歳~49歳の男女で、海外の日本語ユーザーを対象に広告を配信いたしました。もう1つは、海外就職に関連する人材紹介企業様のご協力を得て、メール配信や掲示板での告知などにより、情報をご周知いただきました。以上の経路を通じ、対象者条件に該当し、調査へのご協力意向のある方にご回答いただきました。
重複確認などを経て、第1回調査の最終的な回答者数は1011名となりました。
第1回調査にご協力いただいた方のうち、継続調査にもご協力いただける方には、2021年、2022年に1回ずつの追跡調査を実施します。同一対象者の方に繰り返し調査をさせていただく方法を「パネル調査」や「縦断調査」などと呼びます。この方法により、人々の状態や考え方の変化をより的確にとらえることができるようになります。
ここでは、第1回調査の回答データを用いて、基本属性やお仕事の具体的状況に関する集計結果をお知らせいたします。今回調査に協力いただけた方のうち、36%が男性、63%が女性であるという結果となりました。
生まれ年を6つに区分して集計すると、1995年以降生まれの方は3%と少ないですが、それ以外の区分はおおよそ同程度に分布する結果となりました。
ご協力いただけた方々がお住まいの国・地域について集計すると、単独の国・地域の区分として最も多いのはタイでした。アジア地域の割合は、今回の回答者全体の50%を占めています。欧米ではドイツからのご回答が最も多く、アメリカ、カナダからのご回答がそれに続きました。
働き方については、元々の選択肢に加え、「その他」にご記入いただいた内容を分類し、7つの区分を作成しました。日系以外の企業での現地採用の方が33%、日系企業での現地採用の方が26%を占め、今回のデータの半数強を占めます。日本から派遣されている駐在員の方は18%です。実際には駐在員の方の割合はより大きいと想定できます。今回このような分布になったのは、調査対象者の方々の募集方法によるものと考えられます。
また、自営・自由業主(フリーランス・個人事業主)としてお仕事をされている方が14%いらっしゃいました。
働き方に関する7つの区分を5つにまとめ直し、現在のお仕事についてあてはまることがらについて「あてはまる」または「どちらかといえばあてはまる」を選んだ方の割合を、グループごとに集計しました。
働き方により、現在のお仕事の状況が大きく異なっています。いわゆる「現地採用」と呼ばれる働き方をなさっている方のなかでも、日系企業か日系以外の企業かによりお仕事の性質が違うようです。現地日系企業で雇用されてお仕事をなさっている方は、駐在員の方と類似の回答傾向にあるようです。また、日系現地採用の方は、今回のデータでは平均的にキャリアアップ・スキルアップやワークライフバランスの機会に課題を感じておられるようです。
続いて、現在の職場でご自身に必要とされることが何かについてお答えいただいた結果を集計しました。上のグラフは、「必要とされる」または「どちらかといえば必要とされる」を選んだ方の割合を示しています。こちらも、働き方による状況の違いがみてとれます。
これらの質問でも、現地日系企業の現地採用の方々は、「業務時間外で同僚・仕事関係の人と親交を深めること」を除くと駐在員の方と類似の回答傾向を示しています。海外であっても、日系企業の組織内では日本での働き方と似た役割を期待されているのかもしれません。
今回の調査では、上記の事項だけでなく、働き方や生活に関する考え方、経済状況やこれまでの人生経験など、多岐にわたることを回答者のみなさまにお教えいただきました。今後、さまざまな要因が互いにどのように影響を及ぼし合っているのかを明らかにするとともに、継続調査の蓄積を通じて何が働き方や将来展望の変化を引き起こすのかについても、できる限り精確な分析を進めてゆきます。