第3波(2022年2月)調査速報
前回(2020年)調査にご協力いただいた方のうち、今後の継続調査のご案内を許可してくださった894名のみなさまに、2022年2月に第3回調査のお願いを差し上げました。回答を締め切った時点で、557名の方からのご協力をいただきました(回収率62.3%)。ご協力くださったみなさまに、厚く御礼申し上げます。
居住地域の分布
男女別に、第3波調査の時点でみなさまがお住まいになっている国・地域を帯グラフでしめしたグラフです。男性では3割弱、女性では2割弱の方が日本にお住いになっており、第2波調査からさらに日本に移動(帰国)されている方が増えていることがわかります。日本への移動以外では、第三国への移動はほとんどみられません。
日本への移動(帰国)理由
日本に移動された方には、移動の理由をうかがいました(複数回答)。COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の影響が理由として最多であるのは第2波調査と変わりませんが、その割合は約半分になっています。その他、ビザやワークパーミットの期限、日本で暮らす家族・親族関連の理由で日本に戻られる方が相対的に多いという結果も、第2波調査と大きくは変わりません。
日本での雇用形態
日本への移動理由と関連して、第2波調査時の働き方別に、第3波に日本に移動された方の雇用形態の分布を示しています。駐在員、非日系企業での現地採用だった方の大半は、日本に移動(帰国)後に正規雇用の仕事をしています。一方、日系企業での現地採用だった方は、半分以上が非正規雇用の仕事をなさっています。
海外での生活を通して身についたこと
第3波調査では、回答者全員に「あなたは、これまで経験した海外でのお仕事、生活を通じて、どのようなことが身についたと思われますか。思いつくことをご自由にお答えください。」という質問に対し、自由回答をお願いいたしました。この図は、自由回答の内容にもとづき、関連性の強い語同士を視覚的に表現したものです。
身についたこととして挙げられたことがらとして、(1)コミュニケーションスキル(特に英語や現地の言語を用いた)、(2)異文化理解、(3)多様性や寛容さ、(4)思考力・行動力、(5)積極的に意見を出すこと、(6)日本の相対化、などがあるようです。日本の相対化という点については、実際に自由回答の内容を精査すると、「日本を外側から見る視点が身についた」など、現地(海外)と比較しながら日本を振り返ることができるようになった、という回答がみられます。
【謝辞】自由回答データの処理、およびネットワーク図の描画には、樋口耕一氏(立命館大学)によるKH Coderを使用いたしました。記して感謝の意を表します。https://khcoder.net/
このアンケート調査自体は、2022年で終了いたしましたが、蓄積したデータやインタビュー調査の結果は、今後も学術的な研究に大いに役立ててまいります。今後とも、わたくしどもの活動にご感心をお寄せいただければ嬉しく思います。これまでご協力いただいた回答者のみなさまには、心より感謝を申し上げます。