発光細菌の分離

Isolation of luminous bacteria

発光細菌を分離する!

海産生物から発光細菌(発光バクテリア・発光微生物)を分離する方法を簡単にまとめます。

準備するもの

新鮮な海産生物(一度冷凍されているとうまくいかないことがあります)

寒天培地(Marine Agarを使うのがいいと思います。塩分濃度が重要です。)

滅菌済みの爪楊枝

70% エタノール(もしあれば)

*私のラボでは、1/2 Marine Agar(ペプトン 2.5g、イーストエクストラクト 0.5gを人工海水(or Aged seawater)1Lに溶かし、1.5%の寒天で固めたもの)をよく用います。

魚やイカなどを購入

ほとんどの魚やイカから発光細菌を分離することができます!

分離の準備

作業しやすい場所に必要な道具を揃えてください(魚、寒天培地、滅菌爪楊枝などなど)*机の表面や手を70% EtOHで消毒!

寒天培地の準備

あらかじめ寒天培地のシャーレに魚の名前などを書いておくと良いと思います

爪楊枝で体表を引っ掻く

滅菌爪楊枝で魚の体表をガリガリと引っ掻きます

寒天培地に撒きます

寒天培地上に塗り広げてください

腸管からも分離

発光細菌は魚の腸管内に多く生息していますので、肛門(腸管など)などからも分離します

寒天培地にこんな感じに画線する

室温(20-25度くらい)で1-3日放置します。*滅菌爪楊枝を3本くらい使うと、一度で単離できるかもしれません。全てのコロニーが光っていることを確認できたら、単離成功です!

こうなります!

コロニーのほとんどが光っています!!!

(明暗で比較すると)

詳細は以下に示します。

明条件1

暗条件1

明条件2

暗条件2

明・暗条件1を合成

カサゴ(I-1&I-2)とキンキ(I-1&I-2)の腸管から分離した細菌、ほとんど発光細菌なんじゃない!っていうほど光るコロニーだらけです。カサゴの表皮(S-1)から分離したコロニーもほとんど発光細菌、しかも腸管から分離したものと発光の様子が少し違う。アユ(淡水魚)からも発光するコロニーが!

明・暗条件2を合成

アジ、マダイ、ニシンから分離した細菌はそれほど発光するものが多くはないが、複数の発光コロニーが観察できる。

魚をタイムラプス撮影

体表や腸管などに生息していた発光細菌が増殖し、光を放つ様子の撮影に挑戦してみました!

魚を暗室に放置

乾燥すると発光細菌が増殖しにくいので(+臭くなるので)、ラップをしています

魚が光ります!

イカが光りすぎなので、他が光ってないように見えますが、、、他の魚も光ってます

結果

無事にたくさんの発光細菌が分離できました!

この時の様子をYoutubeにアップしていますので、興味のある方はこちらをご覧ください!

コツ1:魚から分離する場合は、肉眼で発光が確認できるまで待つ必要はないです。魚を購入してすぐに発光細菌の分離に挑戦しましょう!(イカは肉眼で確認できるまで待ってから分離しても大丈夫だと思います)

コツ2:体表と腸管に生息する発光細菌は種類が違う可能性があります(光の色が少し違う)、やるなら両方から分離しましょう!

おまけ

イカを解剖したら魚が!

3度見しました!!!

体表が光ってる

イカ以外の魚も光っています

今回使った魚です

アユだけ淡水魚です。発光細菌は淡水には生息しないと言われていますが、、、なんとアユの腸内からも発光細菌が分離できました。(アユはちなみに両側回遊をします)

分離した発光細菌からDNAを抽出して、16S rRNAの塩基配列を決定し、種の推定を行います!

また遺伝子解析(16S rRNAやゲノムの解析)を通して、以下のことを調べたいと思います。

2020年度のインターンシップで遺伝子解析を行ったところ、これまで発光細菌として知られていなかった種が見つかりました

*興味のある人は、なぜ魚の腸管に発光細菌が多いのか考えてみてください!!!私まで仮説を送ってもらっても良いです!