複雑系
20世紀前半までの自然科学・社会科学は、対象を単純なものとみなすという前提のもとに成り立っていました。
例えば物理では(入試問題でよく扱われるような)都合のいい近似が成立すると仮定したり、経済学では人間は全員同一であると仮定されていました。
この状況に疑問を抱いた少数の専門家たちは、対象を複雑なものとみなす科学を作り上げてきました。
例えば経済学では人間は全員異なるという出発点から新たな潮流ができています[1, 2]。
本書は「複雑さ」の科学を生みだしたアメリカ・ニューメキシコ州にある非営利シンクタンク「サンタフェ研究所」とその設立に携わった様々な研究者たちの生きざまを描く物語であると同時に、
科学が今後どういう方向に向かうのかを示す1冊です。
参考文献
[1]Anderson, P. W. (2018). The economy as an evolving complex system. CRC Press.
[2]Arthur, W. B. (2018). The economy as an evolving complex system II. CRC Press.