福岡県
朝倉彰さん(仮名・死亡)
朝倉典子さん(妻・仮名)
管轄裁判所 福岡地裁
障害の有無・内容 聴覚障害
訴訟年月日 2019年12月24日
訴訟時年齢 70代
被害状況(典子さん談)
結婚する1週間前に突然夫の職場に夫の父親が来て、社長と何か話をした後、説明もなく病院に連れていかれ、否応なしに手術を受けさせられました。来週結婚するから健康診断かなと思ったそうですが、処置室に連れていかれて、突然拘束され、強引に子どもができなくなる手術を受けたそうです。手術の後も医師からも父親からも何の説明もなかったそうです。
私は子どもを見るたびにうらやましい、さみしい、つらい思いをしてきました。この手術の事は死ぬまで秘密にするつもりでしたが、2018年に仙台の裁判の報道を見ました。そこではじめて事実を知りました。夫は2021年5月に他界し、私は一人になりました。命のあるうちに、国の責任を明確に認める判決が言い渡される事を心より切望しています。
裁判の情報
第1回 2020年7月16日
第2回 11月5日
第3回 2021年1月21日
第4回 4月15日
第5回 8月2日
第6回 10月28日
第7回 2022年1月27日
第8回 3月24日
第9回 6月20日
第10回 8月29日
第11回 10月27日
第12回 12月22日
第13回 2023年2月20日
第14回 4月24日
第15回 9月21日
結審 2024年1月24日
原告の朝倉典子さんの思い
私たち夫婦が裁判を起こすことを決意するまでには、とても勇気がいりました。何故なら、優生手術を受けたということは、夫婦で死ぬまで言わないでおくべき、恥ずかしいことだと思っていたからです。また、私たち耳の聞こえない者は聞こえる人のいうことには従いなさい、耐えなさいと言われて育ってきたため、国の政策に対して反対することなどありません。裁判などを起こして前に出ることは、障害者なのに生意気だ、わきまえろと思われるのではないだろうかという不安がありました。
しかし、夫が裁判を起こすと決意したため、私も一緒に頑張ろうと思い、私も原告になりました。夫は手術を受けて今まで、私に対して申し訳ないと手術を受けた自分を責めまし た。そんな夫が裁判を起こすことを決意したのは、やはり心の奥底には、何の説明もされな いままに勝手に手術されたことへの悔しさがあったからだと思います。
夫は2021 年5 月17 日に亡くなりました。これまで二人で必死に生きてきましたが、これからは夫がいない人生を送っていかなければならないと思うと、本当に辛く、寂しいです。ですが、夫が求めていた「障害がある人が尊厳を持って生きられる社会としたい」という思 いは、私が引継いでいきたいと思います。
裁判所は、長年被害を放置してきた国の責任から目を背けるような判決ではなく、勇気を振り絞って原告になった被害者に寄り添う判決をして下さい。
旧優生保護法裁判を支援する福岡の会
(構成団体:一般社団法人福岡市ろうあ協会・きょうされん福岡支部・福岡市手をつなぐ育成会・公益社団法人福岡県精神保健福祉会連合会・障害者の生活と権利を守る福岡県連絡協議会・一般社団法人福岡市視覚障害者福祉協会・特定非営利活動法人北九州市聴覚障害者協会・福岡聴覚障害者団体連合会・久留米ろうあ協会・福岡県手話通訳問題研究会・福岡県手話通訳士会・福岡県手話の会連合会・福岡市障がい者生活支援事業所連絡会)
支援する福岡の会は、 2020年7月16日(木)、福岡県弁護士会館にて、スローガンを「いのちに優劣はない」として発足しました。
会の目的は(1)全国の裁判を連携し、福岡の旧優生保護法裁判を支援していく(2)社会から優生思想をなくす取り組みを進めることです。