今年(2019年)、愛知県内の6つ市で教員対象の講習会講師を担当することになりました。そこでテキストとして使用するために私が考案した紙版画の各種の技法を紹介する冊子を制作しました。
テキストにはQRコードをつけ、各技法を紹介する動画にリンクできるようにしてあります。
柔らかい鉛筆で描いた下絵を版に重ね、ビンの底で擦って転写する技法です。
複雑な図柄、複数のパーツからなる図柄を台紙に貼ることで壊れにくい、汚れにくい、剃り易くい、保管しやすい版にします。図柄の形に穴を開け紙をつけることで台紙の汚れが作品に写らなくすることができます。これをマスキング版といいます。
コラグラフの表面をアルミホイルでコーティングすることで、ほとんどの素材を版に密着させることができます。スプレーのりを使うことで、素材が貼り易くなり、また乾燥時間を待つ必要がなくなります。
各種の素材を押し付け、紙に凹凸を作る加工を「エンボス」といいます。エンボス加工した紙を版にするのがエンボス版紙版画です。これまでの紙版画にはなかった独自の表現が可能です。他のドライポイントの技法が併用できるのも大きな魅力です。また製版にかかる時間が短いのも特徴です。
スポンジを使って図柄にいろいろな色を置いていきます。ぼかしや濃淡調子、版面で混色した繊細な調子、ランダムな色の変化はローラーでは出すことができません。
バレンを使う代わりに、足踏みで用紙を版に押し付けます。バレンではとどかない深い部分や狭い部分のインクも刷り取ることができます。
表面のあらいボール紙にニスを塗って平滑な面をつくります。ニスを塗る回数で表面の粗さを調整することで様々な濃淡階調を表現することができます。ニスは液体なので筆致を活かしたり、スタンピングやステンシルをすることもできます。
紙版凹版にインクを詰める道具と手順を紹介しています。
プレス機で圧力を加える代わりにビンの底で擦って使凹版画をする技法です。用紙の上にクッキングシートを敷くと用紙を傷めず、スムースに擦ることができます。