医師のかたへ(IWSAより)
"WAGR Syndrome Overview: Families and Researchers Working Together to Improve Clinical Outcomes"
VIDEO:WAGR Syndrome Overview
VIDEO:BDNF gene deletion in WAGR syndrome
VIDEO:The cornea in WAGR syndrome
Phenotypic Characterization of WAGR Syndrome (Jennifer Kalish, MD, PhD)
概要
WAGR症候群は稀な遺伝性疾患であり、約100万人の出生に1人に発生します。男女比は同じです。「WAGR」は症候群の主な特徴の頭文字からとられています:Wilms tumor(ウィルムス腫瘍)、Anirida(無虹彩症)、Genitourinary abnormalities(泌尿生殖器の異常)、Range of developmental delays(発達遅延)。すべての特徴が全員に生じるわけではありません。たくさんの関連疾患を生じる可能性があり、体に広範な影響を及ぼします。
WAGR症候群は、染色体11p13上のWT1とPAX6のヘテロ接合性欠失によって引き起こされます。欠失のサイズと位置は個人によって異なり、その結果、さまざまな表現型が生じます。
最初の兆候は通常 、虹彩の部分的またはほぼ完全な欠如である無虹彩症です。男の乳児にはしばしば尿道下裂および/または停留精巣があります。女性では内性器の異常 がある可能性があります。 ウィルムス腫瘍 は約50%で発生し、ほとんどの場合1〜3歳で発症しますが、19歳まで報告されています。発達遅延 および知的障害の範囲は軽度から重度で、多くは軽度から中等度です。少数ではありますが、正常またはほぼ正常なIQを持つ人もいます。
WAGR症候群に関連する他の疾患は次のとおりです。
・BDNF遺伝子の欠失
・聴覚および感覚統合障害
・行動障害および精神障害
・心肺異常
・慢性腎臓病
・頭、耳、鼻、喉の異常
・代謝および内分泌の異常
・神経学的異常
・睡眠障害
WAGR症候群の治療法はありません。しかしながら、この症候群の子どもたちは、早期からの医学的支援と、理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語療法(ST)などの発達支援が役に立ちます。特別支援教育も有益です。WAGR症候群の平均余命は研究されていませんが、ウィルムス腫瘍や末期腎不全などの生命予後を左右する可能性のある病態の早期発見と迅速な治療介入により、長期予後を改善することができます。
診断
孤立性無虹彩の乳児は、遺伝子検査を受けるべく紹介すべきです。推奨される遺伝子検査は次のとおりです。
・Fluorescent in situ hybridization (FISH)
・Array Comparative Genomic Hybridization (aCGH)
・Multiplex ligation-dependent probe amplification (MLPA)
注意:標準の中期核型(450-550bands)だけでは、小さなサイズの欠失を検出できない場合があります。Lymphocyte high resolution chromosome analysis (550-800 bands) は、小さな欠失に敏感ですが、臨床管理にとって重要なBDNF遺伝子の欠失を特定することはできません。
WAGR症候群:管理のための臨床的特徴とガイドライン
WAGR症候群に関連する状態の簡潔で包括的なガイドと臨床管理のための提案
→こちら:WAGR syndrome: clinical features and guidelines for management
Clinical Resources
医療従事者向けの印刷可能な情報
WAGR症候群に関連する疾患について、1ページにまとめた情報シートから、詳細に述べられた文書まで
→こちら:Printable Information(IWSAのウエブサイトページにリンク)
医療と科学の諮問委員会
IWSA 医療科学諮問委員会 は、IWSAのミッションを推進しているWAGR症候群の研究と臨床実践のリーダーで構成されています。献身的な専門家からなるこの国際的なチームは、研究を進め、WAGR症候群の臨床管理を改善するという目標の中核を担っています。
→こちら:Medical and Scientific Advisory Board(IWSAのウエブサイトページにリンク)
WAGR症候群患者登録
IWSAは、high-qualityなオンライン患者登録 を運営しています。
・IRB承認済み
・125人以上の参加者
・75以上のstandardized questions
・患者教育のための集計結果
・IRBの承認を得た研究者は無料でアクセスできます
・Coordination of Rare Diseases at Sanford(CoRDS)による安全なプラットフォーム
→こちら:WAGR Syndrome Patient Registry
(IWSAのウエブサイトページにリンク)
あなたの患者さんのための情報
新たに診断されたばかりの方へ
新たに診断されたばかりの患者さんの両親のための 情報、励まし、そして実践的なアドバイス
→こちら:新たに診断されたばかりの方へ
印刷可能な情報
WAGR症候群の子ども/おとなの親のための役立つ情報
→こちら:Printable Information(「Japanese」とあるものは日本語バージョンがあります)
研究
最新の研究情報を知りたい
→こちら:Recent Research(IWSAのウエブサイトにリンクしています)
WAGR症候群の研究に携わることに興味がある
→こちら:Information for Researchers (IWSAのウエブサイトにリンクしています)
このページは、International WAGR Syndrome Association(IWSA)の許可を得て、IWSAのweb siteの記事を翻訳・転載したものです
Translated by Madoka Hasegawa, October 2020