~左右対称と左右不対称~「正月と盆」
お話 藤原 修栄(本法寺住職) 2025年9月4日
東京文京区の本法寺と申します。
今回も宗教のデザインのひとつのポイントとなります 左右対称・
左右不対称のお話の 第三回目として お正月とお盆のお話を致します。
まずはお正月のお話です。
古来日本では 正月前に 床の間に、太陽と白い鶴の絵の掛け軸を掛け 赤い海老の飾り物を置き、十二月三十一日の夜十時頃より 寺の梵鐘を百八回鳴らし始めます。
宗教的「カズ」の意味合いは 偶数は凶事。奇数は吉事です。
従って新年を迎えるにあたっての「カズ」は 奇数を用いることが
妥当であります。
百八回の鐘の音は 偶数ではなく 九百九十九回を簡略化して
九十九回プラス九回として百八回鳴らします。
また 九百九十九回の意味は 次の「カズ」1000(千)は
イチ ゼロ ゼロ ゼロで、イチ+ゼロ+ゼロ+ゼロで「イチ」とみなし リセットを想起させます。
次に赤い海老の飾り物のお話を致します。
赤は魔除けの色、海老は脱皮する生き物。
新たな一年を迎えるにあたり あらたな人生を希(のぞ)む 象徴としてのかたどりです。
掛け軸の白い鶴は 黒い亀との片割れで 陽と陰のなかの陽の動物です。太陽は旭日(きょくじつ)で 朝の太陽を意味しています。
次に 七月十五日のお盆のお話を致します。
お盆は中元とも言い 本来 正月と対の行事であります。
正月の一月一日と対の中元は 六月末日が終わった時間のところを
十五日過ぎておこないます。理由は 満月を待ってからおこなうためです。歌川広重の『月に雁』の木版画が盆をよくあらわしています。
ここで正月と盆を表であらわすと、
正月 盆
↓ ↓
朝の行事 夕方の行事
新月 満月
白い鶴 黒い雁
生者の祝日 死者の祝日
となり 正月と盆が真逆のデザインとなっています。
ただし これは 太陰暦を使っていた過去の話であり 太陽暦の
現在では、盆・正月と月の満ち欠けはずれております。
以上で今回のお話は終わります。
小日向 本法寺