宗教のデザイン(2)

お話し 藤原修栄(本法寺住職)・2023年9月15日

東京文京区の本法寺と申します。今回は前回お話し致しました宗教のデザインの一つのポイントとなります左右対称左右不対称のお話の第2回目として香華灯と色の秘密のお話を致します。

まずは香華灯のお話しです。印度に於いて古来より人に対してのご接待、もてなしのふるまいとして

(1)香木を室内で焚き

(2)花の咲く草から花をもぎ花飾りを作り

(3)皿い植物油を入れ中に浸した布製の芯に着火させるオイルランプを置く。

以上3つを香華灯と言い佛像等の拝礼にももちいています。

この作法が中国に渡り佛像と礼拝者のあいだに横ならびに一列にならべるいわゆる平飾りの荘厳になりました。

印度で生まれた香華灯は中国に於いて三具足と呼ばれる

(1)香炉で香木を炭で焚き

(2)口の大きな花器に草木を束ねてさし

(3)背の高い火立てにローソクをたてる

かざりに産まれかわりました。

この3つの荘厳具を左・中央・右に配置するパターンは全部で六通り考えられます。左・中央・右の荘厳を左から読み上げますと

1番 火立て・香炉・花立て

2番 花立て・香炉・火立て

3番 香炉・花立て・火立て

4番 火立て・花立て・香炉

5番 花立て・火立て・香炉

6番 香炉・火立て・花立て

以上のパターンの中から選ばれた組み合わせは(左)花立て(中央)香炉(右)火立てであります。

選び方の基本にありますのは陰陽(オンミョウ・インミョウ)であります。花立ては花器の口が大きく広がり水面が良く見える型の道具が使われています。右の火立てと対をなし火と水の双極を作っています。

次に色の秘密のお話しを致します。

ドイツの有名の文学者ゲーテの色彩チャートに出合ったのは私が二十歳の時でした。今なら「ゲーテ」「残像テスト」でインターネット検索で画像印刷すれば体験ができます。

夏の強い日差しの下で二十秒間凝視した後、白地に中央が黒い点のみの紙に目を移せば赤と緑の残像が反対の位置に光って見えます。

以上ここで今回のお話しの結論を申し上げます。

ゲーテは日本で言えば江戸末期の人でありますが色彩の補色残像現象は古代から体験していた現象と思います。

赤の色彩が緑に変わり、緑の色彩が赤に変わる残像をおこす色の組み合わせを補色または反対色と申します。

三具足右のローソクの色と花立ての草木の緑の色を左右に配置して、三具足の奥川の神・佛・死者と手前側自分の関係性を(補)の関係。正反対であり、おぎない合う関係と私は理解致します。

以上で今回のお話しはお終ります。