メンバーがこれまで勉強してきた経験を基に、参考になりそうな本を独断と偏見でご紹介します(随時更新中)。
水野一晴(2015): 自然のしくみがわかる地理学入門,ベレ出版,272頁(2025年春に全カラーページ増補改訂版が出版予定).
本研究会主宰者の水野先生の本。フィールドでの実例や図版が多数載っており、自然地理学の世界に自然と引き込まれていきます。自然地理学の入門書であるとともに、学習後にも新たな発見が得られる本(角川ソフィア文庫より文庫化)。
水野一晴(2018): 世界がわかる地理学入門-気候・地形・動植物と人間生活,筑摩書房(ちくま新書),318頁.
熱帯、温帯、寒冷帯、乾燥帯など気候帯ごとに、そこの気候や地形のメカニズム、動植物の分布、そこに暮らす人びとの生活や社会・文化について理解できます。
水野一晴(2021): 世界と日本の地理の謎を解く,PHP研究所(PHP新書),251頁.
なぜ、そこに山があるのか?砂漠の砂丘はどのようにしてできたのか?フィヨルドはどのようにしてできたのか?・・など、世界や日本の自然の成り立ちが理解できます。
大山正雄・大矢雅彦 (2004):大学テキスト自然地理学(全2巻),古今書院.
杉谷隆・平井幸弘・松本淳(2005):風景のなかの自然地理 改訂版,古今書院,140頁.
高橋日出男・小泉武栄編著 (2008):自然地理学概論(地理学基礎シリーズ 2),朝倉書店,173頁.
Clifford John Lines, Laurence Henry Bolwell and Anne Fielding Smith(伊藤喜栄監訳) (2000):自然地理学の基礎(大学の地理学 1),古今書院,136頁.
松山洋・川瀬久美子・辻村真貴・高岡貞夫・三浦英樹(2014):自然地理学,ミネルヴァ書房,324頁.
吉田英二(2019)第二版 はじめての自然地理学,古今書院,118頁.
松原彰子(2020):自然地理学 第6版―地球環境の過去・現在・未来―,慶応義塾大学出版会,248頁.
小野映介・吉田圭一郎編(2021)みわたす・つなげる自然地理学,古今書院,112頁.
自然地理学を一通り勉強するのに適しています。 大山・大矢 (2004)は入門として適。コラムなども充実していて読みやすいです。 高橋・小泉 (2008)はより専門的。ある程度深く広く知りたい方向け。 Clifford et al. (2000)はそこそこ専門的にしながらも簡潔にまとめています。松山・川瀬・辻村・高岡・三浦(2014)や吉田(2019)は文献案内もうれしいです。松原(2020)は、自然地理学の視点から防災・環境問題などを考えたい方向け。
杉谷・平井・松本(2005)、吉田(2019)、小野・吉田編(2021)は、学習内容を身近に感じることができ、ボリューム的にも読みやすいです。
国立科学博物館編 (2006):日本列島の自然史(国立科学博物館叢書 4),339頁.
一般的な内容を踏まえ、では日本はどうなのかを具体的に知りたい方はこの本をどうぞ。
貝塚爽平・阪口豊・高橋 裕・鎮西清高・中村一明・中村和郎・堀越増興編 (1995-1996):新版 日本の自然(全8巻),岩波書店.
貝塚爽平・阪口豊・小疇尚・小島圭二・中村和郎・野上道男・大場秀章・内嶋善兵衛編 (1994-1997):日本の自然 地域編(全8巻),岩波書店.
日本列島の自然を網羅的に記述しています。 前者はテーマごと、後者は地域ごとに書かれています。
小池一之・山下脩二・岩田修二・漆原和子・小泉武栄・田瀬則雄・松倉公憲・松本淳編(2017):自然地理学事典,朝倉書店,480頁.
自然地理学についての事典。見開きで項目を解説。自然地理学全般について、入門書よりも踏み込んだ内容を学びたい方向け。防災など応用面の記載もあります。気候学や、植生地理学の扱う範囲や基礎知識を確認したい方にもおすすめ。
F. Stuart Chapin III, D. Pamela A. Matson, D. Peter M. Vitousek(加藤知道監訳)(2018):生態系生態学 第2版,森北出版,608頁.
自然地理学の本ではありませんが、植物生理・水文・土壌などが、生態系という統一的な視点から提示されています。他の学問の視点から、自然地理学を相対化してみませんか。中上級者向け。
数研出版編集部編(2014):もういちど読む数研の高校地学,数研出版,400頁.
杉本憲彦・杵島正洋・松本直記(2020):はじめて学ぶ大学教養地学,慶応義塾大学出版会,336頁.
高校程度の地学の基本的な学習に向いています。地学の基礎知識があると、地形学・気候学などの内容が理解しやすくなります。数研出版編集部編(2014)は少し古いですが、フルカラーに近く、ページを開きたくなります。アセノスフェア・アイソスタシーなどの序盤は、初読で理解できなくても落ち込む必要はありません。杉本・杵島・松本(2020)は、網羅性には欠けますが、語り口が魅力的です。説明もわかりやすいです。
入舩徹男 (2005):ダイヤモンド号で行く地底旅行,新日本出版社,174頁.
ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」のように、地球内部を旅しながら、地球科学を楽しく学べる本。
小出良幸 (1995):石ころから覗く地球誌,NTT出版,220頁.
石ころ。目の前にあっても気に留めない人が多いと思いますが、その中には膨大な情報が隠されています。地球の謎を解く手がかりでいっぱいなのです。そんな「石ころ」から地球科学の面白さを説いた本。
鳥海光弘 (2008):地球システム学のすすめ(やりなおしサイエンス講座 4),NTT出版,228頁.
「システム」という観点から固体地球を体系的に、しかも分かりやすく紐解いた好著。このシリーズは、表紙と帯のイラストが素敵です。
酒井治孝 (2016):地球学入門:惑星地球と大気・海洋のシステム 第2版,東海大学出版会,319頁.
固体地球から流体地球までまんべんなく一通り勉強するのに適しています。(原著は品切ですが、新装版で東海教育研究所から再出版されています。)
Arthur Holmes(上田誠也他訳) (1983-1984):一般地質学(全3巻),東京大学出版会.
固体地球科学を体系的に学ぶのに適した好著。
さらに理論的に固体地球科学を学びたい方は以下の本をどうぞ(ただし、偏微分方程式や物理学についての前提知識を要します)。
Donald Turcotte , Gerald Schubert(木下正高監訳)(2020):ジオダイナミクス 原著第3版,共立出版,630頁.
原山智・山本明 (2003):超火山「槍・穂高」,山と渓谷社,240頁.
山好きの山好きによる山好きのための地質本! 足かけ30年以上に渡って北アルプスの山々を調査してきた原山教授(信州大)が、北アルプスの山々の来歴を解き明かす!
(原著は品切ですが、『「槍・穂高」名峰誕生のミステリー 地質探偵ハラヤマ出動』が、ヤマケイ文庫より出版されています)
竹下光士・原山智(2023):槍・穂高・上高地 地学ノート,山と渓谷社,176頁.
槍ヶ岳・穂高岳などの北アルプス南部を地質の観点から解説した本。カラー写真や解説の効果もありとても面白い。山の形や模様の意味が読み取れるようになることで、今まで意識していなかったものが風景として見えるようになります。
広島三朗 (1991):山が楽しくなる地形と地学,山と渓谷社,245頁.
日本の高山に特有の地質・地形をわかりやすく説明した本です。日本の山の独自性に気づくと、何気なく登っていた山々がひと味違って見えることと思います。
日本勤労者山岳連盟編 (2000):登山と自然の科学Q&A,大月書店,221頁.
山の自然・気象の不思議にQ&Aで答えてくれます。読みやすく、山の自然を知るための最初の1冊としてオススメ。
小疇尚 (1991):山を読む(自然景観の読み方 3),岩波書店,147頁.
山と一口に言ってもその姿形は様々。その違いが何によって形作られたのかがわかります。 (原著は品切ですが、新装ワイド版で再出版されています。)
岩田修二 (1997):山とつきあう(自然環境とのつきあい方 1),岩波書店,136頁.
現在の山々の自然はどのように作られたのか、山の自然を守って行くにはどのようにすればよいか、語られています。
小疇尚研究室編 (2005):山に学ぶ,古今書院,141頁.
高山の地形・植生など、高山の自然地理的側面を概観する名著。オールカラーで4000円は安い!
水野一晴 (1999):高山植物と「お花畑」の科学,古今書院,145頁.
本研究会主宰者の水野先生の本。高山植物の作る「お花畑」がどういう条件のところにできるかを解き明かした本。
増沢武弘 (2009):高山植物学,共立出版,445頁.
ついに出ました。高山の植物に関するこれまでの知見をまとめた決定版です。
増沢武弘 (1997):高山植物の生態学,東京大学出版会,220頁.
高山の環境とそれに対する植物の適応について詳しく書かれています。
工藤岳 (2000):高山植物の自然史―お花畑の生態学―,北海道大学図書刊行会,222頁.
高山植物やハイマツ、森林限界について総合的に知りたい方はこの本。起源、生活史、立地条件など詳しく書かれています。
松岡憲知・泉山茂之・楢本正明・松本潔編(2020):山岳科学,古今書院,127頁.
山岳について、自然や文化といった幅広い視野から解説している本。前半部分では、自然地理学や森林科学についての基礎知識が、山ではどうなっているのかを知ることができます。
日本の主な山が学問的にどのような面白さをもっているかを知りたい方は、以下の本をどうぞ。個性豊かな山々の魅力を再発見できると思います。
小泉武栄 (1998):山歩きの自然学 日本の山50座の謎を解く,山と渓谷社,142頁.
小泉武栄・清水長正編 (1992):山の自然学入門,古今書院,178頁.
小泉武栄 (1993):日本の山はなぜ美しい―山の自然学への招待―,古今書院,228頁.
清水長正編 (2002):百名山の自然学 ―東日本編―,古今書院,128頁.
清水長正編 (2002):百名山の自然学 ―西日本編―,古今書院,126頁.
小泉武栄編(2012):図説 日本の山―自然が素晴らしい山50選―,朝倉書店,176頁.
小泉武栄(2020):日本の山ができるまで,エイアンドエフ,215頁.
ヒマラヤ山脈の地質、成り立ちについて詳しく知りたい方は以下の本をどうぞ。
酒井治孝(2023)ヒマラヤ山脈形成史,東京大学出版会,240頁.
地質情報整備・活用機構・産業技術総合研究所地質調査総合センター共編 (2009):写真と図で見る日本の地質,オーム社,145頁.
白尾元理写真 (2009):日本列島の20億年―景観50選,岩波書店,101頁.
全国地質調査業協会連合会・地質情報整備・活用機構編著 (2007):日本列島ジオサイト地質百選,オーム社,181頁.
加藤碵一・山口靖・渡辺宏・薦田麻子編 (2006):宇宙から見た地質―日本と世界―,朝倉書店,150頁.
地質学は美しいのです!地質学者の目から見た地球の写真集。 美しさに感動したら、ぜひご自身で行って、体感してみてください。
斎藤靖二 (1992):日本列島の生い立ちを読む(自然景観の読み方 8),岩波書店,147頁.
私たちが今いる日本列島はどんなふうにしてできたのでしょうか。そこには、地球、日本列島、そして地質学自体の壮大なドラマが隠されています。読みやすく、地質学を概観するのに最適。 (原著は品切ですが、新装ワイド版で再出版されています。)
須藤斎 (2008):0.1ミリのタイムマシン,くもん出版,135頁.
化石は化石でも、プランクトンの化石(微化石)を題材にした異色の児童書。写真も多く、児童書ながら、大人も楽しく古生物学や層序学など、地質学の基礎を勉強することができます。
Mauro Rosi, Paolo Papale, Luca Lupi, Marco Stoppato(日本火山の会訳) (2008):世界の火山百科図鑑,柊風舎,335頁.
火山を理解するための知識や著名な火山をオールカラーで解説した本。
H. Jay Melosh(山路敦・成瀬元訳)(2024):惑星地質学入門―惑星と衛星の表層過程―,京都大学学術出版会,652頁.
地質学や地形学は、他の惑星や衛星ではどうなっているのか。地球での場合と合わせてわかる本。隕石の衝突による地質過程(インパクト・クレータリング)について詳しく掲載されています。地形学・地質学について、理論的に踏み込みたい方にもおすすめ。
平朝彦 (2001-2007):地質学(全3巻),岩波書店.
日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会編 (2004-2012):フィールドジオロジー(全9巻),共立出版.
大谷栄治・長谷川 昭・花輪公雄編(2011-2019):現代地球科学入門シリーズ(全16巻),共立出版.
地質学を詳しく勉強したい人向けの教科書。
日本各地の地質を詳しく調べたい方は以下の本をどうぞ↓
日本地質学会編 (2006-2017):日本地方地質誌(全8巻),朝倉書店.
『日本の地質』刊行委員会編 (1986-1993):日本の地質(全9巻+総索引),共立出版.
日本の地質増補版編集委員会編 (2005):日本の地質 増補版,共立出版,374頁.(「日本の地質」(全9巻)刊行後の新知見を増補)
桑原啓三・上野将司・向山栄 (2001):空の旅の自然学,古今書院,151頁.
地形は空から見るとよく分かります。飛行機に乗る際はぜひ窓側で観察してみてください。本書では、筆者が撮りためた写真を使い、観察のポイントを解説しています。
籠瀬良明 (2000):地図読解入門 2000年増補版,古今書院,134頁.
日本各地の地形図を題材に、地形と人間活動の関わりを図解した本。
貝塚爽平・太田陽子・小疇尚・小池一之・野上道男・町田洋・米倉伸之編/久保純子・鈴木毅彦増補 (2019):写真と図でみる地形学 増補新装版,東京大学出版会,272頁.
世界中の典型的な地形を写真と地形図で示し、解説を加えています。
守屋以智雄 (1992):火山を読む(自然景観の読み方 1),岩波書店,166頁.
火山と一口に言っても、形も噴火の様子も様々です。何が違うのか、どうして違うのかを平易に書いています。
松田時彦 (1992):動く大地を読む(自然景観の読み方 2),岩波書店,158頁.
地震は断層が動くことで起こります。過去にいつ動いたか、動いた痕跡は地形や地層にどのように現れるかを分かりやすく書いています。
小疇尚 (1991):山を読む(自然景観の読み方 3),岩波書店,147頁.
山の地形の個性がどのように形作られるかをわかりやすく解説しています。 (原著は品切ですが、新装ワイド版で再出版されています。)
貝塚爽平 (1992):平野と海岸を読む(自然景観の読み方 5),岩波書店,142頁.
平野の地形のでき方を関東地方を例に解説しています。読みやすいです。
中野尊正・式正英 (1986):地形の教室,古今書院,267頁.
様々な地形を講義形式で読みやすく解説した本。地形学の入門に好適。
池田宏 (2001):地形を見る目,古今書院,152頁.
なぜそこにそのような地形ができているのか。どのように観察すればそれを説くことができるかを段階を追って解説した好著。
鈴木隆介 (1997-2004):建設技術者のための地形図読図入門(全4巻),古今書院.
地形図には膨大な量の情報が隠されています。それらを紐解きながら地形学の知識を体系的に学べる、地形学教科書の決定版! 今までいかに地形図を「読め」ていなかったかを思い知らされ、地形図を「読む」とはどういうことをいうのかを身を持って実感できます。ボリュームも感動も百点満点です。
松倉公憲(2021):地形学,朝倉書店,320頁.
地形はどのように形成されるのか。そんなプロセス地形学を詳しく学びたい方の必読本。豊富な図版や具体例が用いられ、解説が頭に入ってきます。とても面白いです。ただし、発達史地形学の内容は、他の本で補う必要があります。
氷河地形については、以下の本が詳しいです。
岩田修二 (2011):氷河地形学,東京大学出版会,400頁.
貝塚爽平 (1998):発達史地形学,東京大学出版会,286頁.
様々な地形の成り立ちを体系的に、かつ簡潔にまとめています。『日本の地形』(全7巻)は、発達史地形学の観点から叙述されているため、このシリーズを読む前に、貝塚(1998)、特に「2 地表形態と地形の年代」に目を通しておくことをおすすめします。(原著は品切れですが、2023年に新装版で再出版されています。)
太田陽子・小池一之・鎮西清高・野上道男・町田洋・松田時彦(2010):日本列島の地形学東京大学出版会,212頁.
『日本の地形』(全7巻)のグループによる、日本列島全体の地形についての解説本。どのように地形が形成されてきたかを時系列順に解説する発達史地形学の立場から書かれています。『日本の地形』(全7巻)の内容に挑戦する前に目を通しておくと、全体を俯瞰する鳥の目を得ることができます。
鈴木毅彦(2021):日本列島の「でこぼこ」風景を読むーその風景はどのように創られてきたのか?―,ベレ出版,304頁.
一般向けの読みやすいフルカラーの本。風景写真を多用しており、身近な風景を地形の観点から読み解くヒントを得ることができます。専門書への入門としても適。
日本各地の地形を詳しく調べたい方は以下の本をどうぞ。
貝塚爽平・太田陽子・小疇尚・小池一之・鎮西清高・野上道男・町田洋・松田時彦・米倉伸之編 (2000-2006):日本の地形(全7巻),東京大学出版会.
福嶋司・岩瀬徹編著 (2005):「図説」日本の植生,朝倉書店,153頁.
沼田眞・岩瀬徹 (2002):図説日本の植生,講談社,313頁.
日本の植生を概観するのに最適な一冊。後者は前者の旧版の文庫版で読みやすいです。福嶋・岩瀬編著 (2005)については、以下の新版が出ています。
福島司編著(2017):図説 日本の植生 第2版,朝倉書店,196頁.
山中二男 (1979):日本の森林植生,築地書館,219頁.
少し古いですが、森林植生を知るなら教科書的一冊。森林帯論や遷移、日本の森林の分類、植物地理区分などが要領よくまとめられています。
大場秀章 (1991):森を読む(自然景観の読み方 4),岩波書店,161頁.
日本の森林植生について、読み物調でわかりやすく書いています。
水野一晴編 (2001):植生環境学―植物の生育環境の謎を解く―,古今書院,222頁.
本研究会主宰者の編著。植物とその生育環境にまつわる謎を、13人の著者が解き明かす。 各章が「疑問」「研究の動機」「謎解きのための調査と判明したメカニズム」「なぜ,この研究が必要か?」の4項目で構成されているのがミソ。
高田研一 (2006):尾瀬の森を知るナチュラリスト講座,山と溪谷社,206頁.
南尾瀬を舞台に、森林の更新、植生と地質の関係、湿原やお花畑の成立など、色彩豊かな写真と明快な図でとても易しく解説しています。
大住克博・杉田久志・池田重人編 (2005):森の生態史―北上山地の景観とその成り立ち―,古今書院,221頁.
東北の北上山地を舞台に、人間の活動と植生景観がどのように関わり合い、変化してきたのかを解き明かした一冊。
小見山章・加藤正吾(2024):森の来歴―二次林と原生林が織りなす激動の物語―,京都大学学術出版会,268頁.
どのように森が形成されたのかという森の来歴を探る本。様々な森林がある岐阜県をフィールドとして推理を展開。鬱蒼とした森にも、比較的最近に人為的な攪乱を受けていた(人の手が入っていた)二次林が多いことに驚かされます。
中静透(2004):森のスケッチ,東海大学出版会,236頁.
攪乱や二次林などからの森の形成過程の具体例を知ることができます。森林生態学の本とも相性がいいです。日本には二次林が多いので、二次林の章を読むと、身近な森林について新たな見方が得られるかもしれません。
'''梶本卓也・大丸裕武・杉田久志編著(2002):雪山の生態学-東北の山と森から-,
東海大学出版会,289頁.'''東北地方の山々で雪と植物生態との関係を探った本。
沖津 進(2002):北方植生の生態学,古今書院,212頁.
ロシア極東各地の植生誌をまとめ,重要な群落の成立機構と植生変遷を考察した本。
小椋純一 (1992):人と景観の歴史,雄山閣出版,238頁.
古い地形図や絵図を使って、その場所の過去の植生を明らかにしようというとてもユニークな書。今でこそ、こういう研究は増えていますが、その草分け的一冊です。
千葉徳爾 (1973):はげ山の文化,学生社,233頁.
ちょっと昔まで、日本では一木一草も生えていない山があることは当たり前だった。そのはげ山の形成要因、過去の分布などを様々な角度から読み解いた一冊。
菊池多賀夫 (2001):地形植生誌,東京大学出版会,220頁.
地形が植生に与える影響を様々な空間スケールで論じた好著。
森林生態学・植物生態学について詳しく知りたい方は以下の本をどうぞ。『~の生態学』と題された本や、菊池(2001)などを読む際に役立つかも知れません。
日本生態学会編(2011):森林生態学,共立出版,316頁.
小池孝良・北尾光俊・市栄智明・渡辺誠編(2020):木本植物の生理生態,共立出版,262頁.
石井弘明編集代表(2019):森林生態学,朝倉書店,184頁.
寺島一郎(2024):植物の生態 改訂版-生理機能を中心に-,裳華房,288頁.
日本生態学会編(2011)はやや専門的。植物個体レベルだけでなく、個体群や、群集、景観スケールの内容も扱っています。小池・北尾・市栄・渡辺編(2020)は、木本植物(いわゆる木)についての解説。ササやツル性木本植物・マングローブ植物まで扱っています。巻末の「参考図書」がとても参考になります。石井編集代表(2019)は入門として適。重要な部分に下線が引いてあり、独学の際に助かります。寺島(2024)は、植物個体レベルに着目した生理生態学を中心とした内容。物理的・化学的なアプローチを交えて解説。読む前に、光合成について高校生物レベル以上の理解をもっておくとよいです。
河村哲也 (2003):大気の科学(環境と科学 2),山海堂,136頁.
身の回りの様々な気象現象を平易に解説しています。
中村和郎 (1991):雲と風を読む(自然景観の読み方 6),岩波書店,152頁.
気象現象の中でも特に雲と風に注目し、様々なスケール・地域における雲と風の特徴を書いています。 (原著は品切ですが、新装ワイド版で再出版されています。)
杉本憲彦(2015):風はなぜ吹くのか、どこからやってくるのか,ベレ出版,392頁.
局地風を含め、風のことがたくさんのっています。一般向けの本で読みやすく、コラムが豊富です。
仁科淳司 (2019):やさしい気候学 第4版,古今書院,152頁.
文字通り、やさしく読みやすい気候学の教科書。
住明正 (2008):気候変動がわかる気象学(やりなおしサイエンス講座 5),NTT出版,229頁.
住明正 (1993):地球の気候はどう決まるか?(地球を丸ごと考える 4),岩波書店,133頁.
大気の運動を理解するための物理的基礎から始まり、気候の分布や変動まで一つ一つ丁寧に解説していっていっています。とかく政治問題として取り上げられたり感情論に流されたりしやすい気候変動問題を科学的に理解するのに役立ちます。
吉野正敏(1978):気候学,大明堂,350頁.
気候学の古典。仁科(2019)などの入門レベルを終えた方向け。過去の気候や、中スケール・小スケールの気候(中気候・小気候)も詳しくのっています。山に関心のある方には、「4.2 山地と丘陵地の気候」の部分がおすすめ。
佐藤典人(2017):大気の理とその諸相,青山社,480頁.
比較的最近に出た気候学のテキストです。文科系に向けた丁寧な説明があります気象学と気候学がセットで解説されているのがミソ。
釜堀弘隆=川村隆一(2018):トコトン図解気象学入門,講談社,244頁.
小倉(2016)(『一般気象学』)への接続を意識して書かれた本。カラーの図解とわかりやすい説明で、気象学のエッセンスを理解することができます。
小倉義光(2016):一般気象学 第2版補訂版,東京大学出版会,320頁.
気象学の本。中級者以上向け。気象学についてある程度の知識・理解のある方が、理解を深めるために資する本。
杉田倫明・田中正編著(2009):水文科学,共立出版,292頁.
池淵 周一・椎葉 充晴・宝 馨・立川 康人(2006)エース 水文学,朝倉書店,216頁.
田中丸治哉・大槻恭一・近森秀高・諸泉利嗣(2016)地域環境水文学,朝倉書店, 224頁.
大槻恭一・久米朋宣・笠原玉青編(2022):森林水文学入門,朝倉書店,256頁.
榧根勇(1980):水文学,大明堂,272頁.
Wilfried Brutsaert (杉田倫明訳・筑波大学水文科学研究室監訳)(2024):水文学 〔原著第2版〕,共立出版,576頁.
水文学を勉強したい人向けの教科書。榧根(1980)、Wilfried Brutsaert (杉田倫明訳・筑波大学水文科学研究室監訳)(2024)は中上級者向け。
William Dubbin(矢内純太・舟川晋也・真常仁志・森塚直樹訳)(2009):土壌学入門,古今書院,130頁 .
文字通り、やさしく読みやすい土壌学の入門書。Soil Taxonomyという土壌分類の大枠をカラー写真とともに知ることができます。
永塚鎮男(2014):土壌生成分類学 改訂増補版,養賢堂,402頁.
中上級者向けの本。土壌の生成分類について詳しい解説があります。後半は、土壌の博物学的記載が満載で、事典のようになっています。土壌断面写真CD-ROM付。
農学系の土壌学のテキストとして、以下があります↓
松中照夫(2018):新版 土壌学の基礎―生成・機能・肥沃度・環境―,農山漁村文化協会,247頁.
犬伏和之・白鳥豊編(2020):改訂 土壌学概論,朝倉書店,208頁.
妹尾啓史・早津雅仁・平舘俊太郎・和穎朗太編(2024):土壌学,朝倉書店,368頁.
松中(2018)は、カラーが多く、説明が分かりやすいです。カラーでは、土壌断面の色が見やすいという効果があります。犬伏・白鳥編(2020)は、土壌教育なども含め、土壌について網羅的に説明されています。妹尾・早津・平舘・和穎編(2024)は、中上級者向け。豊富な内容を扱っており、土壌学の広がりを実感できます。デジタル付録から、カラー写真を見ることができます。
柴田英昭編(2018):森林と土壌,共立出版,262頁.
森林によせた土壌の本。生成分類の要約に加え、広域風成塵と火山灰、土壌動物、土壌微生物、土壌有機物についての詳しい解説があります。入門書やテキストで大枠をつかんだ後に読むのが吉。
日本各地の土壌を詳しく調べたい方は次の本をどうぞ↓
日本土壌肥料学会・日本ペドロジー学会監修/波多野 隆介・真常 仁志・高田 裕介編 (2023):日本の土壌事典―分布・生成から食料生産・保全管理まで―,朝倉書店,384頁.
石弘之・安田喜憲・湯浅赳男 (2001):環境と文明の世界史,洋泉社,270頁.
人間の歴史は人間が作る。一昔前までそう固く信じられてきましたが、果たしてそうなのでしょうか。 文明の誕生と崩壊、社会情勢の変化、宗教史、文化史など、あらゆるものの裏には気候・環境変動の影響が読み取れます。人類誕生から現代まで、人類がどれだけ環境に影響を与えてきたか、環境からはどのような影響を受けてきたかを読みやすく対談形式で書いています。
安田喜憲 (2004):気候変動の文明史,NTT出版,265頁.
「環境と文明の世界史」を充実させた内容。 人類文明の膨張が地球の限界に近づきつつある中で、文明の崩壊を防ぐ上で日本人の果たすべき役割についても触れ、提言を行っています。
吉野正敏 (2006):歴史に気候を読む,学生社,197頁.
歴史上の出来事に隠された気象・気候の影響を読み解いていきます。
桜井邦朋 (2003):夏が来なかった時代,吉川弘文館,223頁.
14世紀半ばから19世紀半ばの「小氷期」と呼ばれる寒冷期の中でも特に18世紀から19世紀に注目し、人類の歴史がこの気候変動によってどのように影響を受けたかを書いています。
安田喜憲 (2007):環境考古学事始,洋泉社,346頁.
日本に絞って自然と人間の関わりについて書いています。
塚谷恒雄 (1997):環境科学の基本―新しいパラダイムは生まれるか―,化学同人,141頁.
各方面の専門分野の知見を踏まえて、環境史を読み解き、未来への提言を行っています。
シリーズもの
日曜の地学,築地書館.(続刊中)
地学のガイド,コロナ社.(続刊中)
高橋正樹・小林哲夫編(1998-2000):フィールドガイド日本の火山(全6巻),築地書館.
地図で読む百年(全10巻),古今書院.
小泉武栄・青木賢人編(2000-2002):日本の地形レッドデータブック(全2巻),古今書院.
関西地方
地学団体研究会大阪支部編 (1998):関西自然史ハイキング,創元社,306頁.
大阪市立自然史博物館友の会 (2006-2007):自然観察地図(全4巻),大阪市立自然史博物館友の会.
地学団体研究会大阪支部兵庫教師グループ編 (1994):兵庫自然史ハイキング,創元社,225頁.
兵庫県生物学会但馬支部編 (1990):但馬の自然,神戸新聞総合出版センター,293頁.
地学団体研究会大阪支部編著 (1999):大地のおいたち,築地書館,224頁.
田中眞吾 (2007):兵庫の地理 地形で読む大地の歴史,神戸新聞総合出版センター,222頁.
兵庫県監修 (1998):ひょうごの地形・地質・自然景観,神戸新聞総合出版センター,190頁.
田中眞吾編著 (1994):播磨の地理 自然編,神戸新聞総合出版センター,251頁.
田中眞吾編著 (1988):六甲山の地理,神戸新聞総合出版センター,297頁.
玉起彰三 (1997):六甲山博物誌,神戸新聞総合出版センター,246頁.
横山卓雄 (2004):京都の自然史,京都自然史研究所,235頁.
横山卓雄 (1995):移動する湖、琵琶湖,京都自然史研究所,312頁.
横山卓雄 (1988):平安遷都と「鴨川つけかえ」,法政出版,235頁.
丹波自然友の会編 (1995):丹波の自然,神戸新聞総合出版センター,334頁.
藤田昇・遠藤彰編 (1994):京都深泥池 氷期からの自然,京都新聞社,183頁.
京都滋賀自然観察会編 (1992):鞍馬山・貴船渓谷(総合ガイド 1),京都新聞社,126頁.
京都滋賀自然観察会編 (1992):京都御苑とその周辺(総合ガイド 2),京都新聞社,135頁.
京都滋賀自然観察会編 (1993):比良山系の自然(総合ガイド 3),京都新聞社,136頁.
京都滋賀自然観察会編 (1993):伏見稲荷・伏見桃山(総合ガイド 4),京都新聞社,135頁.
京都滋賀自然観察会 (1993):嵯峨野・保津峡(総合ガイド 5),京都新聞社,132頁.
京都滋賀自然観察会編 (1994):糺の森・鴨川(総合ガイド 6),京都新聞社,135頁.
京都滋賀自然観察会編 (1994):琵琶湖・竹生島(総合ガイド 7),京都新聞社,133頁.
京都滋賀自然観察会編 (1995):比叡山・大原・坂本(総合ガイド 8),京都新聞社,135頁.
京都滋賀自然観察会編 (1995):上賀茂・府立植物園(総合ガイド 9),京都新聞社,135頁.
京都滋賀自然観察会編 (1995):山科・醍醐・宇治(総合ガイド 10),京都新聞社,136頁.
東京
貝塚爽平 (1976):東京の自然史 第2版,紀伊国屋書店,228頁.
(原著は品切ですが、講談社学術文庫で再出版されています。)
東京地図研究社 (2006):地べたで再発見!東京の凸凹地図,技術評論社,127頁.
五百沢智也 (1988):図解新東京探訪コース,岩波書店,223頁.
松田磐余 (2009):江戸・東京地形学散歩 増補改訂版(フィールド・スタディ文庫 2),之潮,318頁.
東京都地理教育研究会・東京私立中学高等学校地理教育研究会編著 (2002):地図で歩く東京 エリアガイド(全3巻),古今書院.
鈴木理生 (2006):江戸・東京の地理と地名,日本実業出版社,190頁.
鈴木理生 (1989):江戸の川・東京の川,井上書院,305頁.
貝塚爽平編 (1993):東京湾の地形・地質と水,築地書館,211頁.
尼川大録・長田武正 (1988):検索入門樹木1,保育社,207頁.
尼川大録・長田武正 (1988):検索入門樹木2,保育社,206頁.
中川重年 (1994):検索入門針葉樹,保育社,188頁.
葉から樹木を検索するのにお手軽な図鑑。持ち運びに便利。『樹木1』『樹木2』は2冊セットで広葉樹をカバーしている。重版出来!
平野弘二 (1989):検索入門冬の樹木,保育社,207頁.
葉がない時期の落葉樹はどう見分ければよいのか?冬芽や樹皮から冬の樹木を同定する数少ない図鑑。
大場達之監修・永田芳男写真 (2009):高山植物 増補改訂(フィールドベスト図鑑9),学習研究社,267頁.
分布や花期に加えて生息環境も書いてあるのがミソです。 いわゆる高山植物だけでなく、高木や動物や鳥についても載っています。
阿部正敏 (1988):葉による野生植物の検索図鑑,誠文堂新光社,502頁.
蔓植物・木本・草本が1冊にまとまっているのが魅力の検索図鑑。
茂木透写真 (2000):樹に咲く花 離弁花1(山溪ハンディ図鑑3),山と溪谷社,719頁.
茂木透写真 (2000):樹に咲く花 離弁花2(山溪ハンディ図鑑4),山と溪谷社,719頁.
茂木透写真 (2001):樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物(山溪ハンディ図鑑5),山と溪谷社,719頁.
ハンディという名前はどう考えてもウソ。だけど、葉・芽・花・種・樹皮など多岐にわたる写真の豊富さは圧巻!見ているだけでも楽しい図鑑です。
佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫編 (1989):日本の野生植物 木本1,平凡社,321+304頁.
佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫編 (1989):日本の野生植物 木本2,平凡社,305+288頁.
さらに専門的な樹木図鑑。属ごとの検索表付き。植物を専門にしたい人向けです。
林 将之(2019):増補改訂 樹木の葉(山溪ハンディ図鑑 14),山と溪谷社,824頁.
木原 浩・門田 裕一・清水 建美(2014):増補改訂新版 高山に咲く花(山溪ハンディ図鑑 8),山と溪谷社,512頁.