SMASH22 Winter Symposium

MACC研究会アブストラクト

  1. 金融・経済分野におけるマルチエージェントシステム ~ 簡単なレビュー ~

    • 水田孝信 (スパークス・アセット・マネジメント)

    • 金融・経済分野におけるマルチエージェントシステム(人工市場)について簡単にレビューする。人工市場は金融市場の基本性質の解明、よりよい金融市場にするためのルールや制度の設計、自動取引の実験場、財政政策や金融政策を検討するための社会経済全体のシミュレーションなどに使われている。社会に大きく貢献できる分野であるが、歴史の割には研究者も少なく、課題も多い分野である。

  2. 作詞者情報量がBERTに基づく作詞者分類性能に与える影響についての評価

    • 森田光紀,菊地真人,大囿忠親 (名古屋工業大学)

    • 歌詞から作詞者を分類する問題は,作詞者と歌手の双方の個性を考慮する必要がある興味深い問題である.本研究では,作詞者が,歌手の個性を考慮して作詞を行うと考えている.すなわち,特定の歌手に自身の大半の楽曲を提供した作詞者は同じ個性について何度も作詞を行っており,作詞者の歌詞にも個性が反映されることが期待される.歌詞に作詞者の個性が反映されている場合,歌詞から作詞者を容易に分類できる.これを検証するために作詞者の楽曲提供数の偏りを作詞者情報量として定量的に定義し,作詞者分類における分類性能を比較した.

  3. ソーシャルネットワーク上での両方向マッチング

    • チョ ソンホ,東藤 大樹,横尾 真 (九州大学)

    • マルチエージェントシステムの分野において,エージェントにソーシャルネットワーク上での情報拡散の動機を与える意思決定メカニズムの設計が注目を集めている.本論文では,学生と学校との間のマッチング問題に関して,学生間のソーシャルネットワーク上での情報拡散を動機づけるマッチングメカニズムの設計を行う.提案するメカニズムは,誘因,効率性,安定性,公平性の4つの評価指標において,パレートフロンティアである.

  4. パーソナリティのEmbedding 表現獲得に向けたマルチレイヤRNNの提案

    • 石川雄一 (九州大学,KDDI総合研究所) , 中村優吾 (九州大学) , 石田繁巳 (九州大学) , 峯恒憲 (九州大学) , 荒川豊 (九州大学)

    • 映画, 音楽の鑑賞やEC サイトでの購買など様々なドメインにおけるユーザの行動に影響を与えるドメイン非依存な属性を, 行動データからEmbedding 表現(UE; User Embedding) として抽出する方式を提案する. これまでにRNN を用いて行動の時系列データからUE を抽出する方式が検討されてきたものの, 従来技術は単一ドメインの行動を対象としていたため, 特定ドメインの行動に影響を与えるUEしか抽出できなかった. 提案方式は, 異なるドメインの行動データを処理する複数のRNN レイヤ(DSL) と, DSL と隠れ状態の入出力を行う単一のRNN レイヤ (DIL) を設けることで, DIL から複数ドメインの行動に影響を与えるUE を抽出 する. Movielens の映画ジャンルを疑似的に行動ドメインとみなして評価した結果, 一部のドメインの行動データから得たUE が同一ユーザの他のドメインから得たUEと類似すること, 一部ドメインから得たUE が当該ユーザの他のドメインの行動予測に寄与すること, が確認できた.

  5. 敵対者が存在する重み付き MaxSAT の定式化と厳密アルゴリズムの提案

    • 山下魁人,菅原知也,越村三幸,横尾真 (九州大学)

    • 本発表では,MaxSAT に敵対者を導入した R-PMaxSAT を考察する.敵対者は割当が決定されたブール変数に対して,定数個以下の割当を変更可能であり,充足する節の数を最小化することを目的とする.R-PMaxSAT は敵対者を導入した CPP である robust CPP を表現できるため,多くの現実的なモデルに応用可能である.また,現実的な時間の下で R-PMaxSAT の最適解を出力するアルゴリズムを提案する.

  6. 獲得報酬の分布に基づくエージェント間の暗黙的協調行動学習とその効果の検証

    • 上野 史 (岡山大学)

    • マルチエージェント強化学習では,獲得報酬に含まれる他エージェントの振舞いの影響を推定し,互いの獲得報酬最大化を目指す.本稿では,報酬関数がエージェント自身または他エージェントの行動のみに影響する項と相互作用のみに影響する項の三つに分割可能であると仮定し,相互作用の影響を該当する項の分散と置き換え最小化し,獲得報酬最大化と学習の安定化を同時に実現させる協調行動学習手法を提案し,その効果を検証する.

  7. 深層強化学習による最適な分散衝突回避

    • 郷原一眞 (神戸大学),平山勝敏 (神戸大学),沖本天太 (神戸大学),キム ドンギュン (木浦海洋大学校)

    • 衝突回避の自動化は自律移動体の実現に向けた重要研究テーマの一つである.近年,我々は,エージェント間の継続的な意図交換を想定した分散衝突回避アルゴリズムDSSA+を提案した.DSSA+では,全エージェントが協調的に安全な衝突回避行動を求め実行するが,各エージェントのビューが限定的なので一部のエージェントの経路が過度に非効率になる場合がある.本研究では,DSSA+に深層強化学習を導入した新しいアルゴリズムDSSQを開発し,その有用性を実験的に検証した.

  8. 強化学習による交差流歩行者エージェントの行動規則の自動生成とその評価

    • 木村哲 (名古屋工業大学),森山甲一 (名古屋工業大学), 武藤敦子 (名古屋工業大学),松井藤五郎 (中部大学),犬塚信博 (名古屋工業大学)

    • 本研究では歩行者シミュレーションにおいて、事前にエージェントの行動規則を設計することは設計者への負担となっていること、交差流においてエージェントの行動規則を定量的に評価できる手法が確立していないことを踏まえて、強化学習を用いて交差流におけるエージェントの行動規則を自動生成し、そこで獲得された行動規則を現実世界の歩行者の行動習性に基づいて定量的に評価することを試みる。

  9. マルチエージェント交通シミュレーションに基づく大都市交通規模のCO2排出量抑制策の検証

    • 杉江直紀,出口尚哉,森崇,加藤新,服部宏充 (立命館大学)

    • 内燃機関を持つ自動車からのCO2排出量抑制は、環境負荷低減の代表的な論点のひとつである。マルチエージェントシミュレーション(MAS)は、模擬交通流からCO2排出量を算出することで排出量抑制施策の事前検証を可能とする。本研究では、首都圏を中心する広域を対象とした大規模MASに基づく排出量抑制施策の効果検証可能性を調査する。具体的には、高速道路を介して首都圏を往来する多数走行車両を空間的に平準化する施策について、排出量への影響を検討・分析する。

  10. マルチエージェント経路探索アルゴリズムの改良のための一検討

    • 柴田航志,木村慧,東藤大樹,横尾真 (九州大学)

    • マルチエージェント経路探索 (Multi-agent pathfinding, MAPF) 問題を解くための有力な厳密アルゴリズムとして,Meta-Agent Conflict Based Search (MA-CBS) が知られている.MA-CBS の動作は,マージポリシーと呼ばれる条件に応じて変化する.本論文では,アルゴリズムの性質を動的に変化させる新たなマージポリシーを提案する.また,提案したマージポリシーを実装したアルゴリズムが,従来と比較して多様なインスタンスで効率的に動作することを計算機実験で示す.

  11. Open-Loop MCTS の木の再利用における適切な初期値設定

    • 横川滉太 (名古屋工業大学),森山甲一 (名古屋工業大学),武藤敦子 (名古屋工業大学),松井藤五郎 (中部大学),犬塚信博 (名古屋工業大学)

    • モンテカルロ木探索の派生手法である開ループMCTSと木の再利用の2つの手法は、併用すると不適切な情報までも再利用してしまうという問題が生じる。従来手法では減衰係数を用いて情報の減衰を行うことで、不適切な情報による影響を軽減しているが、適切な効果のある減衰係数の値を事前に設定することは困難であるという問題がある。そこで本研究では減衰係数を使わずに木の再利用を実現する適切な初期値設定を提案する。

  12. デバイスの位置情報を利用したARコンテンツ配置支援機構について

    • 伊藤花帆,菊地真人,大囿忠親 (名古屋工業大学)

    • 拡張現実(AR)技術の活用方法の一つとしてスマートフォンデバイスを利用したARアプリケーションが存在する.ARアプリケーションではARコンテンツを閲覧するだけでなく,ユーザの手でARコンテンツを配置することも可能である.本発表では,ARコンテンツの配置においてデバイスの位置情報を利用したコンテンツ配置手法について説明する.