SMASH21 Summer SYMPOSIUM
MACC研究会 発表者アブストラクト

  • 9月15日(水)13:00--14:00

    1. 多様な読み手にとっての個人化リーダビリティの統合
      江原遥(東京学芸大学)


      自動リーダビリティ判定は、所与のテキストの読みやすさを自動的に判定するタスクであり、難度を考慮した教材検索など様々な応用を持つ基礎タスクである。一方、個人化リーダビリティ判定は、語彙テストなどの個人が受けたテストの結果をもとに、テストのある受験者が所与のテキストを読めるかどうかを判定するタスクで、外国語教育などの分野で広く行われるタスクである。本研究では、一般的な自動リーダビリティ判定器を、多様な学習者に対する多数の個人化リーダビリティ判定器を統合することで、構築する手法を提案する。実験の結果、多様な受験者の個人化リーダビリティ判定器を統合して作成した一般化リーダビリティ判定器は、大規模言語モデルを用いた一般化リーダビリティ判定器より良い性能を達成した。

    2. ファインチューニングを利用した少量音声からの韻律転送の試み
      徳島 大河、大須賀 昭彦、田原 康之、清 雄一(電気通信大学)

      本研究ではテキスト音声合成タスクにおける、学習に必要なデータ量の削減を目指している。一般的にテキスト音声合成モデルの作成には大量な音声データが必要とされているが、方言など特殊な音声はデータ量が少なく、モデルの作成が困難となっている。今回はファインチューニングを行い20分のターゲット音声でベースモデルへの韻律情報の転送を試みたところ、声の転送は実現できたが、アクセント等の特徴を転送することはできなかった。

    3. エージェント間の距離がタスク達成に影響する環境下における報酬の制御
      中田 瑛(名古屋工業大学)、森山 甲一(名古屋工業大学)、武藤 敦子(名古屋工業大学)、松井 藤五郎(中部大学)、犬塚 信博(名古屋工業大学)

      一般に強化学習は複数のエージェントが存在する環境下でエージェントに協力行動を学習させることは困難になるという問題がある。この問題に対し、我々はエージェント間の距離がタスク達成に影響する環境下で、学習に使用する報酬をその距離に応じて変化させることで問題の解決を図った。そして、より協力的な行動を学習させるような報酬の変化の度合いを遺伝的アルゴリズムを用いて進化させることで求めた。

  • 9月16日()13:00--14:00

    1. 深層学習による汎用性を考慮したピアノリダクションの自動生成
      星 雄輝、大須賀 昭彦、田原 康之、清 雄一(電気通信大学)

      本研究では、バンドやオーケストラなど複数のパートから構成される楽曲から、深層学習を用いてピアノ用の楽譜を生成する手法を提案する。これまで提案されてきたピアノ用の楽譜の自動編曲システムはルールベースによるものがほとんどであり、幅広いジャンルへの対応の困難さなどの課題があった。そこで演奏可能性を考慮し、教師ありのCNNを用いることで、複数のパートから構成される楽曲からピアノ用の楽譜に変換することを試みた。

    2. Supply Chain Management League OneShot Gameにおける取引データを考慮した自動交渉戦略
      清水拓夢藤田桂英(東京農工大学)

      自動交渉エージェント競技会(ANAC)というリーグの一つに,Supply Chain Management League (SCML) がある.本リーグでは,サプライチェーン内の各工場に参加者が作成したエージェントが割り当てられ,それぞれのエージェントが他の工場と交渉を行い,取引量を決定する.最終的に,様々な状況で複数回のシミュレーションを行い,最も多くの利益を得たエージェントが勝者となる.本発表では,SCMLに有効な交渉戦略をオファー戦略,受け入れ戦略,およびリスク管理の3つに大別して提案する.提案した交渉戦略は,2021年に開催された同部門で準優勝した.

    3. マルチエージェント都市シミュレーションのための移動手段の選択機構を持つエージェントの実装
      加藤 新、服部 宏充(立命館大学)

      都市部では個々の移動者の移動の集積により複雑な都市交通が創発されている。筆者らは、移動コストを考慮した移動手段の選択機構を備えた移動者エージェントを組み込んだマルチエージェント都市交通の構築を目指している。本研究では、移動手段の選択機構を備えた歩行者と自動車交通を模擬する混合環境を実装する。移動手段選択の効果を検証するため、路線バスと徒歩で移動可能な環境下で、同一の起終点の移動者数を変化させたシミュレーションを実施する。移動時間コストの変化に対して、移動経路の選択傾向が変化し、異なる結果が得られるかを検証する。