オタクというものはいわゆる、「本家」という物を把握しないと気が済まない生き物だ。
今の僕がそう。
いつも握っていた青色のギターを今日は置いて、目の前の大きなDJブースに立っている。
日頃からお世話になっている路地裏のライブハウスで演奏しているとある楽曲に惚れ込んだ僕は、その曲が実はこのDJブースから放たれた曲だと風の噂を聞いた。
そして、僕が愛してやまない、異次元を司る楽曲を意識して作られたとされる楽曲も、ここにあると言う。
まんまと釣られてしまった僕は、何もわからないまま、ここに立ち尽くしていた。
「やらない後悔より、やる後悔…とにかくやってみなくちゃ何もわからないさ」
こういう時は、なりふり構わず色んな物に触れてきた自分の勇気にいつも感謝している。
「きっと、まだ見ぬ出会いが沢山あるよね!」
そんなことを願いながら、僕は鍵盤に手を触れた。
この先に待っているものが、僕の人生をまた大きく動かすなんて、この時は思っていなかったけど。