やんばるの渓流帯で進化した新種のキク科植物
・種の特徴:草丈10-70cmになるキク科の常緑草本。増水した渓流帯で生育できるように線形の葉を有しています。従来、日本本土の渓流帯に分布するアオヤギバナと同一視されてきましたが、痩果の表面がほぼ無毛(アオヤギバナでは毛が密生)で、開花期が11月と遅い点で異なっています。さらに、遺伝分析によって、本種は琉球列島に分布するシマコガネギクから進化しており、アキノキリンソウから生じたアオヤギバナとは進化的起源が別であることも判明したため、2021年に新種として記載しました。
・生育環境:増水すると水没する渓流帯の岩の割れ目に生育します。近縁なシマコガネギクが近くの海岸部に分布しますが、開花期がずれているため交雑が起こっていません(シマコガネギクは12-2月に開花します)。
・分布域:沖縄本島北部の4本の河川沿いにのみ分布する希少種。一部の生育地はダム建設により水没しており、一般財団法人 沖縄美ら島財団総合研究センターで域外保全株が栽培されています。
・タイプ産地:沖縄本島北部の国頭村安波川。
・記載論文:https://www.jstage.jst.go.jp/article/apg/72/2/72_202012/_article/-char/ja/ ・プレスリリース:https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-09-10-0