植物多様性を次世代に継ぐために
日本の野生植物の約25%の種が絶滅の危機に瀕しています。植物の絶滅を引き起こす主な要因は、気候変動、開発、土地利用の変化、動物による食害、盗掘など。私たち人類の活動が、直接的または間接的に彼らを絶滅へ追いやっているのが現状です。
絶滅危惧植物の中には、人類が到達する以前から分布し、長い時間をかけて地域の環境に適応し分化を遂げた種が多くあります。ところが、その歴史や遺伝的多様性が、わずか数十年から数百年という短い期間に失われようとしています。種や遺伝的多様性がいったん失われてしまうと取り戻すことは困難です。手遅れになる前に個体数を回復させ、遺伝的に健全な状態で次世代へ繋ぐことが重要です。
植物の保全は、彼らの存続に大きな影響を与えている人類に課された責務です。私たち研究者は、絶滅危惧種の保全戦略を最適化すべく、個体群の遺伝的状況の評価、保全技術の開発と実践に取り組んでいます。