試料に高速のイオンをぶつけると、試料に含まれる原子が弾き飛ばされます。この弾き飛ばされた原子(反跳原子)を測定することによって試料内のどの深さにどのような元素が含まれているかを知ることができます。このように、試料にイオンを照射して放出される反跳原子を測定することによって 元素分析、深さ分析を行う手法を弾性反跳粒子検出(ERDA)法といいます。私たちの研究室では、飛行時間(TOF)法を用いて反跳原子を精密測定することによって、 深さ分解能に優れて複数の元素を同時に分析できるTOF-ERDA法の開発を行っています。また,次世代二次電池である全固体リチウムイオン二次電池の分析への応用も行っています。
原子核反応を起こすには,原子核同士が重なり合うくらいまで近づかなければなりません。原子核の大きさは原子の10万分の1程度と原子に比べて非常に小さいため,原子核反応に原子が影響することは通常はありません。近年,低エネルギー(数十keV)における核融合反応では固体中において反応率が増大するなど通常の核反応では見られない様々な現象が生じることがわかってきました。これは核融合反応が原子,あるいはもっと大きなスケールでのまわりの環境に影響されるためと考えられます。私たちの研究室では重水素核融合反応における新規現象の発見とそのメカニズムの解明を目指して研究を行っています。