1つの種が2つ以上に分かれることを種分化と言います。種分化が繰り返し生じてきたことは明らかなのですが、種分化がどのように生じるのかは謎だらけです。例えば。種分化の過程では「交配できない」とか「子孫が生存できない」といった形質が進化する必要があるのですが、そもそも最初に「交配できなくなった」個体は、一体どの個体と交配して子孫を残したのでしょうか? 当研究室では、新種の記載や分類体系の構築といった研究と並行して、種分化のメカニズムとプロセスも重点的に研究することで、昆虫の膨大な多様性を生み出してきた仕組みを解明しています。
昆虫には、擬態をするものや毒草を食べるものなど、実に様々な進化が見られます。その一方で、擬態をしない種や、毒性の低い植物種を餌とする昆虫も多数います。では、擬態をするしないや、毒草を食べる食べない、といった進化の方向性はどのように決まるのでしょうか? 植物を餌とする昆虫種のほとんどは、種ごとに特定の植物種しか利用しません。では、個々の昆虫種は、数多とある植物種の中からなぜそれぞれ特定の植物種へと進出したのでしょうか? 植物側の類縁関係だけでは説明できないような餌植物の乗り換えを起こした昆虫たちを相手に、進化の方向性を決める要因を探れないかと挑戦中です。