この研究は、人と人との「距離感」――たとえば親しさや緊張感といった心理的な関係――を、実際の距離データや人の行動から数値としてとらえようというものです。具体的には、RTK-GNSSという高精度な測位技術とRGBカメラ画像からの物体認識、アイトラッカーから取得できる視線や顔の傾きといった生体情報を併用し、得られた定量データと質問紙(アンケート)との関係を探ります。これにより、これまで感覚でしかわからなかった「距離感」を、科学的に測ることができる可能性があり、教育や福祉の現場など、さまざまな場面での活用が期待されています。
自己効力感(自分にはできるという感覚)やタスクへの集中度といった、みなさんがなんとなく理解している感覚の「内在状態」を、身体に負担をかけずに推定しようという研究です。たとえば豆を箸で掴んで移動させる巧緻性課題時の、予期的・先取りする視線の動き(予期的注視)と実際の手の動き、課題自体の成績などをセンサーで記録し、それらの情報から本人の自己効力感の程度や集中具合をリアルタイムで読み取る技術を開発しています。リハビリ時の声がけや周辺環境の自動的な調整(エアコンや照明のオンオフなど)への活用を目指しています。