多くの植物では、葉の周縁部に鋸歯と呼ばれるギザギザ形態が形成されます。この鋸歯の深さや間隔などの特徴がどのように決まるのか、という問題については、関連する遺伝子やホルモンは複数知られていますが、それらが形を作る仕組みはまだまだわかっていないことが多いのが現状です。これまでの私たちの研究から、EPFL2というペプチドホルモンがギザギザした形を作る上で重要であることを見出しています。私たちはペプチドホルモンが葉の形を決める仕組みを詳しく調べているところであり、観察と数理モデルによって現象の裏にある原理の解明を目指しています。
気孔は葉の表皮に点在する孔で、葉の中と外気とのガス交換を担っています。気孔は、点在すると言っても植物種ごとに様々なパターンで分布しており、例えば食糧の代表であるコムギの葉ではタテとヨコに規則正しく美しいパターンで気孔が並んでいます。私たちはこれをモデルケースとして気孔の分布パターンがどのように決まるのか解明することを目指しており、様々なコムギや近縁種の気孔の分布パターンを調べて、遺伝子の解明や数理モデル化を目指しています。気孔の数や分布が最適になることでその植物がよく成長できる可能性があるため、地球環境の変化に適応した食糧品種の改良にも役立つと考えています。