最近では,地図アプリを使えば目的地までのルートがすぐに検索できますが,どのような仕組みになっているのでしょうか.実は,これは最短経路問題という数学の問題になっていて,効率的に計算するためのアルゴリズムが研究されています.他にも,誰がどんな仕事をするかをうまく割り当てる問題など,身近な問題の多くは数学を用いて表すことができます.このように,与えられた問題に対して最も良い解を求める方法を考える分野を数理最適化といいます.離散数学研究室では,この中でも特に頂点と辺からなるグラフを用いた「組合せ最適化」について,問題のモデル化やアルゴリズムの研究を行っています.
自動車の渋滞は大きな社会問題になっていますが,その原因は何なのでしょうか.こういった問題へのアプローチとして,数学を使って現象を単純化するという方法があります.例えば,車があることを「1」,ないことを「0」で表現すると,渋滞が形成される様子を0と1の数字の変化で表すことができます.セルオートマトンとよばれるこのような単純なモデルでも,渋滞を減少させるには車間距離が重要であるという結果を得られることが数学の面白さの1つです.研究室ではセルオートマトンを用いたモデルの解析だけでなく,上にある数理最適化とセルオートマトンに共通の数学構造であるmax-plus代数の理論的な研究も行っています.